ムチャは禁物
次第に呼吸が落ち着いてきた。
痛みで、手すら動かせないが、話をする事ができるようになった。
気がつくと、ゲレンデのレスキューが到着している。
もうここからは、ひたすら詫びていた。
するとスタッフの方が、言った。
「息できなかったでしょ。」
でも大丈夫だからね、というニュアンスだった。
ゲレンデのスタッフは、ほとんどが、スキーやスノーボードを鍛練しにきている人ばかり。
夫もかつて、その一人だ。
限られた時間の中で上達を目指す。素晴らしいこと。
でも、何事もムチャはいけない。夫もゲレンデスタッフだった時に、脳震盪を起こしている。
就業時間後に練習していた時の事だ。
おそらく、今回助けに来てくれたスタッフも、同じ様に練習中に痛い思いをした事があるのだろう。
でも、そのひと言がちょっと緊張した心をほぐした。
自分の状況が理解されているという安心感がうまれた。
Android携帯からの投稿
痛みで、手すら動かせないが、話をする事ができるようになった。
気がつくと、ゲレンデのレスキューが到着している。
もうここからは、ひたすら詫びていた。
するとスタッフの方が、言った。
「息できなかったでしょ。」
でも大丈夫だからね、というニュアンスだった。
ゲレンデのスタッフは、ほとんどが、スキーやスノーボードを鍛練しにきている人ばかり。
夫もかつて、その一人だ。
限られた時間の中で上達を目指す。素晴らしいこと。
でも、何事もムチャはいけない。夫もゲレンデスタッフだった時に、脳震盪を起こしている。
就業時間後に練習していた時の事だ。
おそらく、今回助けに来てくれたスタッフも、同じ様に練習中に痛い思いをした事があるのだろう。
でも、そのひと言がちょっと緊張した心をほぐした。
自分の状況が理解されているという安心感がうまれた。
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動けない
全身に衝撃があった次は、お尻がひどく痛い。
派手に尻餅をついていた。
いつもの転倒なら、どんなに痛くても、照れ隠ししながら、起き上がることができる。
しかし、この時ばかりは、衝撃と痛さで呼吸もままならない。
遠くに夫と子供達が見えたが、目を開けてもいられなかった…。
いつものように、自然に痛みが消えるのを待った。
しかしいつまでも痛みは消えることなく、呼吸も全く整う気配がない。
するとそのうち、「大丈夫ですか?」と女性の声がした。
ゲレンデは、週末でそこそこにぎわっていた。痛みに耐えながらも意識ははっきりしていて、この状況を目撃した人によって、いずれ誰かに声を掛けてもらえるであろう事は考えていた。
とてもありがたかった。
「大丈夫ですか?」
その問いに答えたかった。
でも実際出来たことは、微動だにできないまま、一度頷く事だけだった。
意識は失っていませんよ、という精一杯のジェスチャーだった。
この時声を掛けてくださった女性にお礼を言えずじまいになった。
痛みで目を開けていられなかったから姿もわからない。
スキーヤーかスノーボーダーかもわからない。
その後、先を滑っていた夫が異変に気づき、ゲレンデを戻って来てくれた。
きっとその時夫が、その女性にお礼を言ってくれているはずだ。
夫が来てくれて安心したのか、そのあたりの記憶があまりない。
声を掛けてくださった女性、その節は本当にありがとうございました。そして、さぞ驚いたことでしょう。驚かせてゴメンナサイ。
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派手に尻餅をついていた。
いつもの転倒なら、どんなに痛くても、照れ隠ししながら、起き上がることができる。
しかし、この時ばかりは、衝撃と痛さで呼吸もままならない。
遠くに夫と子供達が見えたが、目を開けてもいられなかった…。
いつものように、自然に痛みが消えるのを待った。
しかしいつまでも痛みは消えることなく、呼吸も全く整う気配がない。
するとそのうち、「大丈夫ですか?」と女性の声がした。
ゲレンデは、週末でそこそこにぎわっていた。痛みに耐えながらも意識ははっきりしていて、この状況を目撃した人によって、いずれ誰かに声を掛けてもらえるであろう事は考えていた。
とてもありがたかった。
「大丈夫ですか?」
その問いに答えたかった。
でも実際出来たことは、微動だにできないまま、一度頷く事だけだった。
意識は失っていませんよ、という精一杯のジェスチャーだった。
この時声を掛けてくださった女性にお礼を言えずじまいになった。
痛みで目を開けていられなかったから姿もわからない。
スキーヤーかスノーボーダーかもわからない。
その後、先を滑っていた夫が異変に気づき、ゲレンデを戻って来てくれた。
きっとその時夫が、その女性にお礼を言ってくれているはずだ。
夫が来てくれて安心したのか、そのあたりの記憶があまりない。
声を掛けてくださった女性、その節は本当にありがとうございました。そして、さぞ驚いたことでしょう。驚かせてゴメンナサイ。
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決定的瞬間
みんなの後を漠然と滑っていた。いつもより、スピードが出ていることに気づかずに。
この1本を滑り終えたら、ランチにしようと決めていた。
その時!
一瞬の出来事だった。
フワリと浮いた感覚と同時に、見えるはずのない、視界一面の空。
自分の身に何が起きているのか一瞬でわかった。
ヤバい!!と思ったが、体は抵抗できなかった。
死ぬ間際に走馬灯のように人生を振り返るとはよく聞く。
その一瞬で、自分の今の滑り方を振り返り、「あの時重心の位置がもっとああすれば良かったんだ」
とか
「出来ないことに挑んでしまったんだ!なんて愚かな!」
とか、いろいろ後悔が頭をよぎっていく。
次の瞬間、衝撃が突き抜け、身動きが取れなかった…
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この1本を滑り終えたら、ランチにしようと決めていた。
その時!
一瞬の出来事だった。
フワリと浮いた感覚と同時に、見えるはずのない、視界一面の空。
自分の身に何が起きているのか一瞬でわかった。
ヤバい!!と思ったが、体は抵抗できなかった。
死ぬ間際に走馬灯のように人生を振り返るとはよく聞く。
その一瞬で、自分の今の滑り方を振り返り、「あの時重心の位置がもっとああすれば良かったんだ」
とか
「出来ないことに挑んでしまったんだ!なんて愚かな!」
とか、いろいろ後悔が頭をよぎっていく。
次の瞬間、衝撃が突き抜け、身動きが取れなかった…
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