その正体は…
わたしを担当してくれていた看護師さんは、まだまだとてもお若い。
全く気づかなかったが、その看護師さん、実は看護師さんではなく助産師さんなのだそうだ。
それを知ったのは、同室の患者さんから教えてもらったからだ。
その患者さんと、その看護師さん、とても懐かしげな会話を繰り広げている日があった。
看護師さんが、作業を終えて退室すると「あの人、助産師さんよ。」と。
その患者さんが何年も前に出産した時に取り上げてもらった、と。
オマケにその時ご懐妊中なのだと。
全く気づかなかった。
その後、確かにお腹が大きいのがわかったが、ご自分からは一切その事に触れなかった。
食事の上げ下げ、歩行訓練の付き添いなどなど、大きなお腹では心配だ。
こちらとしてもできる限り気遣って差し上げたかったが、正直戸惑った。
恐らく、その看護師さん?助産師さんはそれを望んでいないと思ったからだ。
歩くのもままならない様な私に気遣ってもらっても…ねぇ。
病院の勤怠事情はわからないが、もし、看護が出来ない状態であったなら、他の作業を選ぶことが出来るのではないか?
それをせず、担当看護師として、作業して下さっているということは、こちらがとやかく心配したり、遠慮すべきではない、ということではないのか?
そう考えた私から、ご懐妊の事に触れる会話はしなかった。その助産師さんのプロ意識に敬意を表したつもりだ。
ただ、母子共にお元気で出産の時が迎えられるよう、心の中で見守った。
全く気づかなかったが、その看護師さん、実は看護師さんではなく助産師さんなのだそうだ。
それを知ったのは、同室の患者さんから教えてもらったからだ。
その患者さんと、その看護師さん、とても懐かしげな会話を繰り広げている日があった。
看護師さんが、作業を終えて退室すると「あの人、助産師さんよ。」と。
その患者さんが何年も前に出産した時に取り上げてもらった、と。
オマケにその時ご懐妊中なのだと。
全く気づかなかった。
その後、確かにお腹が大きいのがわかったが、ご自分からは一切その事に触れなかった。
食事の上げ下げ、歩行訓練の付き添いなどなど、大きなお腹では心配だ。
こちらとしてもできる限り気遣って差し上げたかったが、正直戸惑った。
恐らく、その看護師さん?助産師さんはそれを望んでいないと思ったからだ。
歩くのもままならない様な私に気遣ってもらっても…ねぇ。
病院の勤怠事情はわからないが、もし、看護が出来ない状態であったなら、他の作業を選ぶことが出来るのではないか?
それをせず、担当看護師として、作業して下さっているということは、こちらがとやかく心配したり、遠慮すべきではない、ということではないのか?
そう考えた私から、ご懐妊の事に触れる会話はしなかった。その助産師さんのプロ意識に敬意を表したつもりだ。
ただ、母子共にお元気で出産の時が迎えられるよう、心の中で見守った。
2度目のギプス
入院当初から、つけていたギプスを、一度新しく作り替えてもらった。
前回は、起きあがることができなかったので、寝たきりの状態で、胴体があいているベッドに寝かされ、ギプスを巻いてもらった。
今回は、起きていられる。
まず、陽気な妖精のいる処置室のベッドに座った。
担当医師が、電動カッターの様な道具で、脇腹辺りのギプスを切断していく。
何となく緊張する。
そのカッター、肌に触れると血が出るのか?
なんて事はない、器用で優秀な医師だ。
あっと言う間に、ギプスは切断された。
??
…、一緒にギプスの下につけていた肌着代わりのチューブトップのような巻物までカットされた。
それでは、胸が丸出しなんですけど。
医師のほうが少々慌てていた。
私は、病院なので特に恥ずかしいわけでもなかったが、自分のすぐ脇に座って作業している人が、丸出しの胸に慌てている状況に、どう反応したらよいかわからない。
ヘラヘラ「いいですよぉ」って言うのもオバチャンっぽいし、恥じらって「きゃっ!」と胸を腕で隠すほど乙女でもない。
とっさの判断で、無表情に少しだけムッと顔のエッセンスを入れてみた。
全く怒っているわけではないのだが…。
そんな私の葛藤は、やはり関係なく作業は次へ進む。
でもそこは、ベテラン看護師さんの部屋、さっとタオルを胸にかけてくれた。
新しいチューブトップをつけてもらい、このタイミングで退院後の準備をした。
退院後には、ギプスから、コルセットへ替わる。
コルセットは、取り外しが可能なので、入浴もできる。
あくまでも、ギプスの代替えと説明された。
そのコルセットは、義肢屋さんにオーダーメイドで作ってもらう。
その為の採寸を、ギプスを外した今からするのだ。
スーツの男性が、処置室内で待機していた。
私のギプスが外れると、手際よく採寸し、手続き上の説明をしてくれた。
このコルセット、実に5万円を超えた。オマケにこの場で保険がきかない。現金で支払うそうだ。
後日、自分で社保に請求できるとの事。
同じ病院でやってもらっているのに全く別の請求なのだそうだ。ややこしい。
完成は、しばらく先だった。
さて、採寸が終わると、新たに巻き直すギプスは、立った状態でつけてもらう。
少し高さのついた台に乗り、両腕をあげるよう指示された。
そこへぐるぐる、ギプスを巻いていく。
前回のギプスは、うつ伏せの上、背中を反った状態だったので、いざ完成したら、普段から出気味のお腹が妊婦のように強調されていた。
なので、今回は少しお腹を引っ込めて、スリム化してもらおう、と思ったが、やめた。
案外、ギプス巻きの作業時間が長かったから、引っ込めているのがつらいのと、万一、キツすぎた時どうにもできなくなるからだ。
ギプスを医師に巻いてもらい、完成すると、無敵の気分だ。
ギプスをしているだけなのに、服でも着ているようで安心した。
前回は、起きあがることができなかったので、寝たきりの状態で、胴体があいているベッドに寝かされ、ギプスを巻いてもらった。
今回は、起きていられる。
まず、陽気な妖精のいる処置室のベッドに座った。
担当医師が、電動カッターの様な道具で、脇腹辺りのギプスを切断していく。
何となく緊張する。
そのカッター、肌に触れると血が出るのか?
なんて事はない、器用で優秀な医師だ。
あっと言う間に、ギプスは切断された。
??
…、一緒にギプスの下につけていた肌着代わりのチューブトップのような巻物までカットされた。
それでは、胸が丸出しなんですけど。
医師のほうが少々慌てていた。
私は、病院なので特に恥ずかしいわけでもなかったが、自分のすぐ脇に座って作業している人が、丸出しの胸に慌てている状況に、どう反応したらよいかわからない。
ヘラヘラ「いいですよぉ」って言うのもオバチャンっぽいし、恥じらって「きゃっ!」と胸を腕で隠すほど乙女でもない。
とっさの判断で、無表情に少しだけムッと顔のエッセンスを入れてみた。
全く怒っているわけではないのだが…。
そんな私の葛藤は、やはり関係なく作業は次へ進む。
でもそこは、ベテラン看護師さんの部屋、さっとタオルを胸にかけてくれた。
新しいチューブトップをつけてもらい、このタイミングで退院後の準備をした。
退院後には、ギプスから、コルセットへ替わる。
コルセットは、取り外しが可能なので、入浴もできる。
あくまでも、ギプスの代替えと説明された。
そのコルセットは、義肢屋さんにオーダーメイドで作ってもらう。
その為の採寸を、ギプスを外した今からするのだ。
スーツの男性が、処置室内で待機していた。
私のギプスが外れると、手際よく採寸し、手続き上の説明をしてくれた。
このコルセット、実に5万円を超えた。オマケにこの場で保険がきかない。現金で支払うそうだ。
後日、自分で社保に請求できるとの事。
同じ病院でやってもらっているのに全く別の請求なのだそうだ。ややこしい。
完成は、しばらく先だった。
さて、採寸が終わると、新たに巻き直すギプスは、立った状態でつけてもらう。
少し高さのついた台に乗り、両腕をあげるよう指示された。
そこへぐるぐる、ギプスを巻いていく。
前回のギプスは、うつ伏せの上、背中を反った状態だったので、いざ完成したら、普段から出気味のお腹が妊婦のように強調されていた。
なので、今回は少しお腹を引っ込めて、スリム化してもらおう、と思ったが、やめた。
案外、ギプス巻きの作業時間が長かったから、引っ込めているのがつらいのと、万一、キツすぎた時どうにもできなくなるからだ。
ギプスを医師に巻いてもらい、完成すると、無敵の気分だ。
ギプスをしているだけなのに、服でも着ているようで安心した。
ちょっと見るだけだから
相変わらず、ポートタワーや博物館は、ライトアップの自粛をしていた。
まるで、誇らしげに煌々としていたものが、一気にオーラを消している。
さみしいものだった。
エレベーターホールのお散歩リハビリを終えると一旦病室に戻り、次に売店へ向かった。
何度か行くうちに、正面玄関の鏡面仕上げの床にもなれ、念のため、転ばないよう壁際を歩き売店へ向かう。
乗り継ぎするガタガタと揺れるエレベーターは、あれから1度も乗っていない。単に怖いからだ。
階段も手すりに掴まってゆっくり降りられる。
売店は楽しみの一つになっていた。
コンビニが併設されていて、新発売のお菓子がいろいろある。
いい歳してお菓子がやめられない。
ただ、今回は見に来るだけだ。
まわりの多くの大人達に迷惑かけながら入院している。
楽しんでいる反面、非常に反省していた。こうなったのは全部、自分の不注意と気の緩みからだった。
それなのに、まさか入院中にお菓子を食べて太ったなんて、自分の状況としては許せない。
だから、コンビニには、新作お菓子をみにくるだけなのだ。
入院が、長くなると必要になってくる物がちょこちょこ出始めた。
爪切りもそう、リップクリームもそうだった。
病室は、思う以上に乾燥していた。
売店は、本当に感心してしまうほど、何でもそろっていた。
子供のおもちゃまでおいてある。
入院している子供の為か、はたまた、孫のお土産にしたいおじいちゃんおばあちゃんの為か。
ただ、コンビニも売店もとても狭いので、あまり長居をする事は出来ず、直ぐに病室へ戻っていった。
まるで、誇らしげに煌々としていたものが、一気にオーラを消している。
さみしいものだった。
エレベーターホールのお散歩リハビリを終えると一旦病室に戻り、次に売店へ向かった。
何度か行くうちに、正面玄関の鏡面仕上げの床にもなれ、念のため、転ばないよう壁際を歩き売店へ向かう。
乗り継ぎするガタガタと揺れるエレベーターは、あれから1度も乗っていない。単に怖いからだ。
階段も手すりに掴まってゆっくり降りられる。
売店は楽しみの一つになっていた。
コンビニが併設されていて、新発売のお菓子がいろいろある。
いい歳してお菓子がやめられない。
ただ、今回は見に来るだけだ。
まわりの多くの大人達に迷惑かけながら入院している。
楽しんでいる反面、非常に反省していた。こうなったのは全部、自分の不注意と気の緩みからだった。
それなのに、まさか入院中にお菓子を食べて太ったなんて、自分の状況としては許せない。
だから、コンビニには、新作お菓子をみにくるだけなのだ。
入院が、長くなると必要になってくる物がちょこちょこ出始めた。
爪切りもそう、リップクリームもそうだった。
病室は、思う以上に乾燥していた。
売店は、本当に感心してしまうほど、何でもそろっていた。
子供のおもちゃまでおいてある。
入院している子供の為か、はたまた、孫のお土産にしたいおじいちゃんおばあちゃんの為か。
ただ、コンビニも売店もとても狭いので、あまり長居をする事は出来ず、直ぐに病室へ戻っていった。