ORANGEの備忘記録 -15ページ目

なんと生検やり直し

生検も無事に終わり、次は一度診察をしてから麻酔科の診察を受ける予定となっていた。


ところがある時、仕事中に医師から電話が来て衝撃の事実を聞かされた。なんと生検のやり直しだった。

脂肪腫の大きさに比べて生検で採取した量が少ないとのこと。カンファレンスで指摘されたそう。取れない取れない言うてはったもんね、と心で思いつつ。


なので次は針ではなく切開して取り出すとのこと。

電話口ですぐ、生検やり直しの日程がくまれた。

またあの首元の不快な時間が始まるのか、とネガティブな気持ちになった。

心電図

疲労困憊した生検。


医師いわく痛みもあまりないでしょうと。にわかに信じがたい。でも、医師の仰る通り痛みも傷跡もほとんどなく過ごせた。唯一気になったのが、脂肪腫の腫れ。皮膚がつっぱる感覚があり、見た目にも大きくなっていたが特別痛いわけではなかった。


年が明け、生検の結果発表。


脂肪腫全体から少しずつ採取したものの中に悪性はありませんでしたとのご報告。


そこから、入院までの怒涛の予定くみの話に移った。入院予定は次の月はもういっぱいなので再来月にしましょう、とかその前に麻酔科の診察を受けます、とか。ご時世柄直前のコロナ検査もある、とか。


全てを聞き漏らさないよう集中して聞く。

ひと通り予定が組めたところで、やや雑談問診タイム。『今まで入院したことは?』

もちろんある。10年前にスキーで転倒し腰椎圧迫骨折ヒビ多数で3週間入院している。出産もそうだ。でも『出産よりは遥かに楽ですよ』って。オー、安心。

雑談ついでに、親族が肉腫でなくなっている話をチラリと話す。診察当初は知らなかったのだが、年始の実家の集まりで初めて知った。数年前に亡くなったおじは胸に珍しい肉腫ができそれが原因で亡くなっていたそうだ。でも、今回の生検で悪性がないと聞いて安心しましたよーなんて軽く話した。

が、医師の空気が変わったのがわかった。

だからといってこれまでの流れに変更はなく慌てる様子もなかった。


次の診察を決め、帰りがけに入院準備としてレントゲンと心電図をとって返って下さいとのこと。


レントゲンは何事もなく。心電図はパッドみたいなのを胸に貼るのだがなんだか少し熱かった。

すっかりそのことを忘れ、その日の夜お風呂に入ろうとしたとき、鏡に映る胸の濃いあざにびっくりした。体の内側から変な病気みたいなのが出てきたのかと思った。下着を取ったらあざが3つ並んであり、そこで心電図のパッドが熱かったのを思い出し、あー、と安心した。得体の知れない病気じゃなかった。


普通こんなんなるんか?すぐ消えたし、痛みとか無いからいいけど。

初めての生検

初めての生検


相変わらず病院の診察受付システムが身につかない。

入り口から入って、消毒、検温したらそのまま再診受付機に診察券を通し、印刷される受付票を自分でファイルに入れて受付票に書かれた番号の診察受付窓口へ移動する。

診察窓口受付にある受付確認機に、印刷された受付票を読み込ませ、血圧を測り診察室前で待つ。という流れ。今でこそできるようになったが、誰にも一連を説明されることなく断片的に指示されて動くと中々この流れが身につかない。コロナだからなおさら患者が全部やるシステムなのだろうけど。


これを年配の人が一人でやるなんて至難としか言いようがない。


さて、今回も受付が不完全だったのだが、まぁさほど問題どならず、初めての生検が始まった。

上半身だけすべて脱ぎ、病院着に着替えた。

そこから先は医師二人と看護師さん一人で、その場その場の臨機応変な対応になった。


まずは台に寝転がるところからどういう向きにするか、サクサク話し合い『んじゃ右肩下で横になろっか』と決まる。

ここは完全に手術台で、頭上には手術用の大きなライトがある。


指に心拍計がつけられ、部屋の中に心拍のピッピッが聞こえる。


まずは消毒し、患部を覆うようなシートをかけられる。患部だけが穴のあいてる、ドラマの手術シーンなどでよく見るアレだ。次に局所麻酔を打つ。肩とも首とも言えないところに打つ。医師が痛いですよとおっしゃる通り。ちゃんと痛い。そして怖い。何か怖い。


医師は麻酔が効くまで、秒単位で把握している。その間、生検に必要な道具を看護師さんへあれこれ指示を出している。

医師が要求するものの中には無いものもあったりして。代替え品で事足りるらしい。そういうのもなんだか怖い。準備万端じゃないの?!とマイクロ不安が積み重なる。


『今触ってますけどこれ痛いですか?』突然聞かれた。なんとなく動きがあるのがわかる。「痛くはないけどなんか・・」と戸惑っていると『はい、じゃあと30秒待ちましょう』と。30秒経った後もう一度聞かれた。『結構痛いことしてますけどこれ痛いですか?』何してんの?と心で思いながら痛みや感覚は全く無い。いよいよ始まる。


事前の話では太めの針のようなものを幹部に刺し針の中に入った脂肪を取り出す、といった内容だった。イメージする限りは手術とはほど遠くまるでマックシェイクにさしたストローの感じを想像していた。簡単なことだと。

いざ始まると、思ってたのと全然違った。何をどう動かしたりしているかは全くわからないが、やたらとグイグイちからで押される。

どの方向に押されているか感覚がないので踏ん張りようがない。


親知らずを抜いたとき、感覚はないがやたらとグイグイちからを込められ不快だった感覚によく似ている。

それが横向きで首辺りの不安定な場所で起こっている。不安で怖い。

その間、医師の二人は『もっとホニャララしないと』『あんまり取れないねぇ』などネガティブトークが続く。針を刺し、何かグイグイしたあと引き抜く前にカツンッと乾いた音と強めの衝撃が来た。これは、子供の頃おもちゃのピストルを打ったときのような空っぽの衝撃。この最後のカツンは全く何が起きているか想像できない。

これを何度も繰り返す。怖いのと不安なのと、薄着で寒いのとでブルブル時々震えが来る。カツンのときはもう、少し可怪しくなって笑けてくる。

5、6回は繰り返しただろうか。不快な時間に耐えられず早く終わってほしくてイライラすらしてきたところでやっと終わった。

もう二度と局所麻酔はゴメンだと思った。

何もしてないが疲労困憊だった。