いよいよ入院当日
入院当日。
13時からの入院だった。
午前中に家の掃除を済ませ、夫に病院まで送ってもらった。
入院中家のことはすっかりお任せする。心配することは何もなかった。
食事が足りなかったら宅配頼めばよいし、予め欲しいものが出たら病院からネットスーパーを頼めば良い。受け取りは誰かしら家にいるから問題ない。洗濯物は乾燥まで一気にできるから長男にお任せしてある。
あとは自分のことに集中して入院できそうだ。
荷物はハードケースのほうが持ち運びが楽なのはわかっていたが、病室がどんな感じかわからなかったから、万が一荷物の出し入れがしづらいとなると一気に厄介になる事が想像できる。次男に小さめの旅行バッグを2つ借りて小分けで持っていくことにした。
前回入院した病院は、枕やシーツに自前のタオルを敷いて使うのが主流だった。
それを踏まえ自前のタオルを3枚も持参した。入院用に薄手の物を購入しておいた。
入院中は何回着替えるのか下着はどれだけ必要かとか見当がつかない。手術を始めた結果によって大きく術後の動きが変わってくる。いずれにしても術後は売店に買いに行くこともできないだろうからやはり気持ち多めに用意してしまう。
室内履きも新たに購入し、忘れずに入れた。
一番の難点生理用品。かなりかさばる。おそらくピークは手術前後から数日続くだろう。最悪のタイミング。準備だけは手抜かりないようにしないと。脅迫的準備。
入院書類も別のバッグにしっかり入れ、最後に、ペットボトルの飲み物を6本ほど持っていくことにした。足りない分は買えば良い。
あっという間に持ちきれないほどの荷物になってしまったがどうにもできない。
在宅ワーク中の夫に送ってもらい、入院受付へ。
ここから先は面会禁止の世界。
大荷物を抱え初めての手続きに挑む。
コロナ検査と面談
コロナ検査の提出日。
午前中は出勤し、午後に病院へコロナ検査提出する予定にした。
いったん帰宅したものの、昼食を取る時間がなかった。時間は10分もあれば食事を済ませることはできるが、コロナ検査用の唾液の採取前の1時間半は、食べたらダメと書いてある。歯磨きもだめだった。水は10分前までは飲んで良いとあるので必死に水を飲んだ。
病院に向かうまでまだ30分以上時間がある。その間に、前日に亡くなったおじの葬儀の予定の確認などしていた。おじはもう高齢だが、歳の離れた姉兄達に可愛がられた末っ子。奥さんにもとても大事にされていた、仲良し夫婦だ。二人で人生を謳歌しているような、羨ましい夫婦だ。
そんなおじが、余命幾ばくもなく、最後になるかもしれないと、テレビ電話で連絡を取る約束をしていたその直前に亡くなった。
そんなおじの事を、まだ若いのに残された奥さんのことを想うと涙が止まらず、検査用の唾液に水分が全然まわらない。困って前に受付の人に教わった梅干しとかレモンを想像してみるも出てこない。
ちびちび絞り出し容器の赤いラインギリギリまで頑張った。
病院に持っていく書類の数々をチェックし、忘れ物のないよう準備をして病院へ向かった。
コロナ検査のの唾液の提出は、再診機に診察券を通さず、直接窓口に来てくださいと予め説明されていた。
はいはい、いつもと違うのねと。この説明を忘れていつもどおり再診機に診察券を通すとおかしなことになってしまうのだろう。
窓口で検査容器を提出。中身が足りてるか確認するので待ってるように、と。
待合室に座っていると、このあと入院前面談予約がありますね~。診察券通しましたか?と聞かれる。そりゃ通すなと言われたから通してないのだが、代わりにここで通せるから貸して下さいと。なんやねん、なんなんやねん。
怒りはないけどこれ、お年寄りはわけわからなくなるよね~と思いつつ、病院のスタッフさんがその分丁寧に接してくださるから全然良しと思った。
唾液の量もOKが出たので、次は入院前面談に進む。
看護師さんと小部屋に入る。説明をするための看護師さんのようだ。
前回入院受付でもらった書類や説明とほとんど同じことの繰り返しだった。
パジャマやタオルのレンタルがあるほか、日用品を提供できるセットがあると。
個々の状態によって違うからどこまでどの程度渡させるのか借りてみないとわからない。
スリッパや歯ブラシ、など書かれていたが、室内履きは持ってきてください。と言われた。
下着は紙パンツがいいと教えてもらった。洗濯の手間も省けるから持参する人結構いらっしゃると。なるほどフムフム。
このセットは入院当日に申し込んでくださいと。それまでに借りるのか借りないのか考えておくことにした。
看護シートなる、緊急連絡先や、体質の問診などをチェックしてもらい、またすべての書類を入院当日に持ってきてください、と。
薬剤師さんとの面談もあったが一瞬で終わり、本日の面談は終了した。
早く帰ってお昼を食べよう。
入院面談予約
麻酔科診察のあとは、コロナ検査用の容器の受け取りと入院前面談の予約だった。
入院前には面談があるのか。その予約か。
いろいろ知らない事がたくさんあるなぁと気を引き締めながらまずはコロナ検査の容器の受け取りに向かった。
大きな袋に小さなボトル型の容器を渡される。この容器には赤い線がありここまで唾液を採取して持ってくること、とのこと。
なかなかたくさん採取が必要そうだ。思わず「結構多いですね」と言ったら、受付の人が真顔で「梅干しとかレモンとか。想像するといいですよ」って、想像なの?想像でいいんだ。すごいアナログ。でも確かにそのとおりだなと。
ちょっと面白かったので唾液を取るのは大変そうだし、袋が無駄にデカいけどなんか許す、と思った。
最後に入院受付へ向かった。
ただでさえ、近頃物忘れや思考力が低下しているのを実感しミスを連発しているのに、コロナ禍でスタッフによる手取り足取りではなくなった病院の案内を覚えきれるか不安だった。
言われた通り入院受付へ到着。
院内コンビニが目の前にある。何度か通ったことのある場所だった。いつもは受付待ちの人達が多く座っているが、その日は誰もいなかった。夕方に行ったから、その時間から入院する人がいないのだろう。
窓口で茶封筒に入った入院案内と、書類の数々を受け取る。もう内容が少し上の空だ。
こういうことがホントに多く、むしろ集中して聞くことができなくなっていた。
窓口の人は、ハイスピードででこれとこれと、ココとココと、マーキングしながら説明している。もう自分を信じるしかない。頑張れ自分。
持ち物やら、高額医療費の保険の話など一通り終わると次は入院面談の予約をするためにまた移動だ。
なんだ、RPGかなにかか?
なかなか一箇所では済まない。
入院面談の予約窓口に行くと、そこはびっくりするくらい端っこの狭〜い片隅にあった。
面談の予約だけだったので、日程をコロナ検査の提出日と同じ日にしてもらい予約完了。
さぁいよいよ入院に近づいてきた。