こんにちは、培養部門です。
今回はAMHについて説明します。
Case report 「 低AMH(0.03ng/ml)症例の方の妊娠、出産 」
以前にもAMHについて紹介させていただきました。
AMHを調べることで、卵巣内の卵胞数の推定つまり卵巣内にどのくらいの卵子が残っているのかある程度予測することができます。
年齢が若いにも関わらず、AMH値が低いと早発卵巣不全( 早発閉経 )が疑われます。
AMHと卵子の質には直接的な関係はないと多くの論文で報告されていることから、AMH値が低くても妊娠率・出産率に影響しない可能性が高いです。
しかしながら、AMH値が低いと排卵誘発を行って採卵を行った場合も採取できる卵子の数が少なく、妊娠・出産に至るまで複数回の採卵が必要になる可能性があります。
年齢が若ければAMH値が低くても時間はかかるかもしれませんが、妊娠・出産できる可能性は高いです。
自分のAMH値を早くから知ることはお子様を望む場合の人生設計・将来設計を立てる上で非常に重要です。
AMHについて記された最新の論文のデータです。
若齢( 28歳~38歳 )のAMHが高いグループ( 1.0mg/ml以上 )とAMHが低いグループ( 1.0mg/ml未満 )、高齢グループ( 39歳~42歳 )のAMHが高いグループとAMHが低いグループで分けて一回当たりの採卵数、累積妊娠率・出産率を比較検討したデータです。
まとめ
若齢の低AMHグループは胚盤胞移植をすることができれば、妊娠・出産できる可能性は極めて高いが、年齢が上昇するにつれてAMHの値が低いと妊娠・出産できる可能性が低下することが報告されています。将来お子様を望む場合は、早くからAMHの値を知ることが重要です。
参考
Maho M et al. Live birth outcomes from IVF treatments in younger patients with low AMH. JBRA Assist Reprod. 2021 Jul 21;25(3):417-421.
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PRP療法とは再生医療の一つです。
様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。
子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。
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文責:培養部門
〔生殖医療専門医〕古井憲司