外交官が書いた本。外交官は数字がダメな人種の集団なので、マーケットの自立度が人口に比例する事実を知らない点をもろに露呈していた。ネオリベラルの危険も全くわかっていない。
 

他方で日本の「エリート」は営業ができない、現地に行って足を運び、自分の目で見て確かめる力が極端に弱く、中東ビジネスの最前線で全く通用していない現実を再三指摘している。まあこれも予想通りですね。


決まっていないことに対してなんのストーリーも描けなければ、責任も取らないのでUAEの要人を激怒させた。まあその通りでしょうね。見ていればわかります。安全な橋しか渡ろうとしませんから。愚かですね。エリートというのは自分が先陣切ってリスクを取ってでも結果を出す人間です。受験エリートのそれではありません。


 

 


cocでもプレゼンの授業を設置していますが、以下はそのサブテキストの一つであり、プレゼンで著名なガーの本。特別な技術が並んでいるわけではなく、誰もが知るtipsを一通り整理したものになっている。

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プレゼンをする上で大切なのは空(白)の使い方。時間的、空間的なもの双方を指しています。タイトルのzen(禅)も、禅の精神のアナロジーとしてプレゼンの有り様を捉えることができるという意味。わびさびなどについても触れています。むしろこちらをどれだけ自分のものにしているかのほうがはるかに難しい。
 

日本人はプレゼンが下手だと言われて久しいですが、それは盲目的な主にアメリカのスタートアップ文化への劣等感があるとは思います。しかしそのエッセンスを禅の精神にまとめていることからわかる通り(鈴木大拙は数十年前にアメリカで流行った)、本来日本人のidentityを素直に生かした表現をすれば相手に伝わりうるものだ、ということがわかります。
 

要するに足元すくわれるような取り組み方をするなという話です。あとは本人のストーリー展開能力に大きく依存するところでしょうね。当然人間の才能がもろに出ます。


同時に、この本を読んでいると、講義において書かせることが相手の意図を伝えることと相反する行為であることがわかります。数理科学における手元の訓練は重要ですが、これが過剰だと人の話を聞かない人間が量産されるのはそういうことです。ストーリー展開能力を養うためにはむしろ、手元の訓練を休め、ビジュアル中心の見せ方で話に集中させる必要があります。

 

 

 

経済の授業で導入として使おうかと思います。
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なおこれだけ読んでも経済学はわかるようにはなりません。経済原論を学ぶ必要があります。

ストーリーテリングの形なので読みやすい。スティグリッツが書いているから安心感もある。元は政策提言集なので無駄もない。資本市場の話が多め。70年代以降の話題が含まれている。最初のとっかかりとしては良いので授業で使う予定。でも経済原論やる前だとすぐに迷子になるだろうな。

邦題は「教科書」とついてますが、これは教科書ではないですね、やはり提言集です。ただし的を射たものです。これだけ読んでわかった気になってもらっても困る。