制御できない「感染」

オタクは「感染」します。オタク化することで「当面のところは」無害なストレス解消手段を手に入れることができ、またその「楽しみ」を共有できる人間ができるためです。そして法的に、また学校側もこれを制御する具体的な手段を持ち得ていません。
加えて親も普通の「趣味」と変わらない、さほど問題がないものであろうと高を括っていることが通常で、スコアが出ればまあいいだろう、くらいに捉えていることもまた深刻です。
日頃から個々の学生のことをよく把握し、かつ学生の人格が徐々に育っているのであれば自制を促すことはできるかもしれませんが、まず無理でしょう。数の暴力にはかないません。

 

cocでは男女はもとより、学年や居住地が異なる学生同士を一緒にして授業を展開しています。当然ながら節々で価値観や物の見方のぶつかり合いが生じることになります。ですがそれこそが大事な要素であり、自立を促すのです。

なお、本日21時からはgenocidal organ(虐殺器官の洋書)の通読になります。学年は問いませんが難易度は高めです。指導要領5科に加え、情報科学・デザイン・経済学・プレゼンを提供。お問い合わせはhpをご参照ください😃

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渋谷での食事会にて。

 

 

’17年度は東大理Ⅱ1名・藝大芸術学科1名・医科歯科歯後期1名合格、累計11名中9名国立合格(合格率82%)と言う結果になりました。

 

もう一人受験生はいましたが、当初から仕上がりが悪く、また本人も備えを怠ってきた自覚は重々あり、浪人する流れとなりました。

指導の詳細については面談をした学生・家庭にのみお伝えしています。面談は通常ビデオ通話で行なっています。お問い合わせをご希望の方は、

 

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よりお問い合わせください。
 

 

 

[4/4現在 20名と4/16&23で調整中 大学生は一旦締切・中高生募集中]

 

4/16&23の昼(日時はこれと前後する日程も含め調整中)にいつもの食事会の変形として、千葉県立幕張海浜公園バーベキューガーデンでのBBQを催したいと思います。

参加予定・調整中一覧


・渋幕2名 (og1名(文Ⅲ)・ob1名(理Ⅲ))
・oinog5名(理Ⅲ・東大理情・浪人・高1 各 1名)
・jgog1名(理Ⅱ)
・開成ob1名(プリンストン)現役生数名
・豊島岡og1名(筑波芸術学群)
・武蔵ob1名(文Ⅲ)
・大阪星光ob1名(東大理情 1名)
・筑駒2名 (ob1名(理Ⅲ)・高2 1名)
・灘ob3名(医科歯科歯・慶医・慶應看護各1名)
・明星ob1名(文Ⅱ)
他2名

 

開成・灘・大阪星光・神女OBOGを中核とするスタッフ、及びこれに準じる学生が同席し、リベアルアーツとマクロ経済成長戦略に関するワークショップを踏まえ、私たちの提供する、ビデオ会議少人数指導の理念と競争力も、あわせてお伝えするようにしています。
 

食事会にお越しいただくことで得られるポジティブな経験は、


・文系理系を分けないで関心を突き詰めて学んでいきたいと思うっている学生の皆さんが楽しめる話題を皆で共有できる
・自分の学校や環境を他の学校の子達、特に首都圏の子達とも一緒になって外から客観視して、足りないものが見えるようになる

といったものがあります。
 

詳細はfacebookイベントページの方へ記しておきました。
https://www.facebook.com/events/1832832026978851/


景色もとても良い場所で、潮風も心地よいです🙂 どうぞご検討ください。
 


[’17年度 東大理Ⅱ1名・藝大芸術学科1名・医科歯科歯後期1名合格]
 

4/16,23のお昼に葛西臨海公園にてBBQを実施します。

いつも実施している食事会の変形です。


食事会での趣旨と同様、coc内外の学生を一堂に会し、自身の置かれている状況を違いが生きる文化の違いなどから考え対話を交わすとともに、cocとして指導が提供できるかどうか、マッチングする場としても大事にしています。

対象:中高生と大学1,2年生

定員:16,23 各々20名(現在計17名と調整中です)
費用:2000円


現在出席予定の学生の出身校・在籍校;

渋幕・開成・筑駒・櫻蔭・大阪星光・灘・ICUHS 豊島岡 明星 

どうぞ奮ってご参加ください。
お問い合わせはコメントからでも大丈夫です
 

 

 

辛夷祭にて
ポップコーン美味しかった:)

 

 

[学芸大附属生&暁星生&父兄向]
事件に見る組織論的な限界

keyword: 学芸大附属,暁星,組織論,マネジメント, いじめ,傷害

 

 

 

10月、11月と続いたいじめによる両校の事件。細部は知る由もありませんが、両校のみならず、 多くの学校に共通しているであろう、組織論的な面から見た学校の限界について考えて見ます。

 

 

 

 

 

 

学芸大附属でのいじめ/暴行事件

 

 

 

 

11月に学芸大附属で男子(学年不明)が酷いいじめにあっていた事実がまずあり、 その検証に著しく時間がかかったとのことで大きく報道されました。

 

 

学芸大附属は首都圏では渋谷幕張に次ぐ共学の進学校として知られていますが、 ここのところ徐々に実績を落としてきている学校でもあります。 とはいえ、以前から接点のある学生も心身も安定していれば極めて優秀な子だったので、かなり衝撃でした。

先日文化祭にもお邪魔しましたが、校内の雰囲気は悪くなく、恒例の演劇の宣伝を校内の各所でゲリラ的に行うなど、 一定の逞しさも感じさせていたので、大多数の学生にとっては取りあえずは問題ない状況のようにも見えます。

ちなみに、学芸大附属は一応一貫校の体裁をとっていますが、システムはかなり変則的で、国立附属であることも含め通常のそれとは大分異なります。 そのため浪人率も高めで、感覚的には高校受験組が主力の公立とさほど変わりはありません。 そういう意味では一貫特有のオタク率の高さや偏ったタイプはさほど多くはない印象です。

他方で、こう言ってはなんですが、国立附属は総じてPTAその他での細則がうるさかったり、面倒な付き合いもしばしばある、 という話はobogからは伺うところでもあり、学芸大附属もまた御多分に漏れない体制ではあったのかもしれませんが、 憶測はこの辺りで留めておきます。

ここで大事なのはなぜ発覚が遅れたのだろうか、という点です。一般論としては教師の業務は多忙であるため、 グレシャムの法則よろしく通常業務に追われすぎている結果、微細な変化を察知したり、粘り強く懸念事項について様子を漏れなく伺う、 ということが出来なくなっているのではないかと思われます。

 

 

naverまとめで発言の出どころもはっきりしないためソースとして使うのは問題がありますが、 1ヶ月ごとに校長が変わるというのは相当特殊な状況です。 また責任が大学の学長が一括して背負うなど、組織論的な問題が大きいように見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

暁星文化祭にて
竜巻発生装置!
他では見たことありません

 

 

 

暁星の傷害事件

 

 

 

 

10月には暁星の傷害事件がありました。報道を伺うに,斬りつけた学生は思慮深い学生のようで、 そうであるがゆえに相当鬱屈した感情を溜め込んでいたようです。 また家からわざわざ持ってきたとあることから、計画的であることもわかります。

 

しかしこの事件についても副校長のコメントでは、いじめの事実を把握できていなかった、とあります。

ちなみに暁星にも文化祭にはお邪魔しました。カトリックの学校全般に共通して見られる特徴ですが、校内の雰囲気は穏やかで、 勢いや激しさのある子がパフォーマンスで弾けまくる、という場面は見ませんでした。

サイズも小さな学校であり、 進学実績にこだわるタイプの学校でもないため、多くの学生にとっては居心地の良い学校であることが想像されます。 ちょっとお話に乗ってくださった2名の先生もとても感じのよい方々でした。

 

 

 

もちろんこうした問題は一部の学生の人間関係から生じる、局所的なものです。学校の基本方針や理念、 教師の基本的な対処の仕方に問題があるとは思えません。 しかし両校に限らず、いじめや自殺といった事件が起きると殆ど全ての学校はその事実を隠そうとすることは、 他校のobogからも各方面から伺うところです。

 

 

 

 

 

ではなぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか、また、起きた折にそれを隠そうとするのでしょうか。 少し考えて見たいと思いました。

 

 

 

 

 

箱庭の「自由」

 

 

 

 

多くの上位の学校に通う学生は「自由」を標榜します。ただし彼ら彼女たちの自称する「自由」の定義は、 学校の歴史・理念・戦略・方針その他が暗黙理に織り込まれたものであり千差万別です (が、当事者はその構造に自覚していることはほぼありません)。

 

学校側としてはなるべく学生に箱庭の「自由」であることを伺わせないよう、ゆったりと構えようとします。 そしてそれができる学校はさほど多くありません。

まず学生の粒が揃い、ある程度判断能力が信用できること、施設やカリキュラムが整い、 意図的に管理せずとも自然と良い「実績」なり業績を上げられるような環境が整っている学校は限られているためです。

その与えられた「自由」の中で、気ままに学生たちは生活をし、自分の限界に挑み自分を伸ばしていこうとします。 しかし逆説的ですが、優れた学生、思慮深い学生であればあるほど、その舞台装置としての、 つまり組織論的な面から見た学校の限界に気づくことになります。

 

 

 

classoncloudさん(@classoncloud)が投稿した写真 -

 

 

 

 

目を行き届かせるにも限界が

 

 

 

舞台装置としての学校の設備や、教師の指導力に全てを求めるのは無理があります。 まず通常の学校では1クラス40人前後のサイズを抱えていることが通常で、 これは授業内で学生全員の思考を読み取れるような環境ではありません。

 

これに加え日常業務が多忙であるのが通常の教師であるため、 一人一人の学生に十分な時間を割くことはまず無理であろうことが容易に想像されます。

筆者自身も第三者の立場で学生に関わる立場にありますが、授業中把握できる学生の数はせいぜいどんなに多くても10人程度が限界、 日常的に心身の状況をリアルタイムで逐一把握するにも、最大で100人程度が限界であると感じます。

これに対し学校教師は更に学年団の形で1学年全体の指導に責任を負っていたり、 更に部活や学園祭の単位でまた別の学生とのコミュニケーションに時間と労力を割くことになります。

これは相当超人的な人間でないと務まらない仕事でもあれば、やはり組織としての限界を感じずにはいられません。 把握すべきは人間であり、情報や物の管理と違うため、ただデータを集めて理解できていれば良いというものではありません。

 

 

隠そうとする学校の態度の(組織の構造上の)限界

 

 

 

教師としてもベストを尽くされていらっしゃるとは思います。しかし組織としての問題を個人の能力でカバーするにも限界があります。 ましてや許容量を超えている前提でやりくりしているわけですから、基本的に無理なことを期待している構造が浮かび上がります。

 

 

大企業の不祥事と相似をなすかのよう

以前他の記事でも指摘しましたが、リーマンショックに始まり、オリンパスやVWといった誰もが知る大企業での粉飾や詐称行為が頻発しています。 最大の原因はベンチャーや小規模の組織に主役を奪われ、構造的に収益を上げられず、 犯罪に手が伸びてしまう状況になってきたためだと指摘する専門家も多くいます。

つまり問題解決能力を組織に期待できないという構造です。こうした学校の事件や日常的な隠蔽行為を目の当たりにするに、 大企業と相似をなすかのように学校に多くを期待することが無理ではないのかと、直観的に考えています。 機動力の低さと、ドラッカーが指摘するような、エスタブリッシュメントである伝統的な組織に対する過大な期待が 学校を自滅に追い込んでいるのではないかという疑念です。

 

 

 

 

classoncloudさん(@classoncloud)が投稿した写真 -

 

 

 

科目学習に追われすぎて
読書の時間すら削られている多くの学生

 

 

人の考えが見抜けない進学校の学生

 

 

 

ここ10年程度のトレンドで学生を眺めて見ると、周囲の知人や友達が腹の底で何を考えているのか、 見抜くなり共有できていない学生が増えたなと感じています。

 

原因はいくつか考えられ、関心を持つ娯楽や専門分野の細分化、加速度的に情報量が増え、 より多くの時間と労力を要求されるようになった科目学習、 そもそも対話が前提とされていない集団指導などが重層的に影響を与えている手応えがあります。

その結果多くの一貫校ではオタクが量産され、「人権がない」などと愚痴をこぼしたり、 「コミュ障」と自称したりと、多くの学生の間で人間疎外が恒常的に起きる状況になっています。

 

 

歯止めがかからない人間疎外

 

 

 

それでもなお多くの父兄は進学において理想の結果を残すため、その慣性に歯止めをかけ、科目学習、 それも極端に受験指導に偏ったそれから離れることができない現状があります。

 

なるべく受験を意識したくないと考える学校側との間にも摩擦が生まれることに加え、 コミュニケーションを不得手としている教師も少なくない(というより大多数ですらある)ことから、 歯止めがかからない状況が続いていると考えられます。

もちろん個人の能力やたまたま恵まれていた家庭環境によって、リーダーシップやコミュニケーション能力に磨きをかける学生もいますが、 学校全体でそうしたポジティブなドライブがかかる構造にはなっていません。

 

 

machine(ドライな組織)として受け取るべき学校

 

 

 

こうした構造を鑑みるに、学校組織にエドマンド・バークの言うところの中間組織や、 家庭的な共同体の運営を求めることは極めて困難になっていることがわかります。 今の子供達が精神的に疲弊している、と言われることが多いのもこうした背景があります。

 

そもそも学校に多くを求めすぎだと言う話もありますが、教師も人間であれば組織も制度疲労を起こしているのが多くの学校です。 共同体としての学校を蘇らせたいと考えるのであれば、人件費を2倍3倍に増やし、クラスの規模を少人数に分割し、 教師一人当たりのストレスを下げ、組織論的な問題やオペレーションにより取り組めるような余裕を 持たせるなどの対策が必要であると考えられます。

しかし現状では外部機関に求めるしかないかもしれません。役所と同様、学校組織を短期間のうちに大きく変えることは、 学校間での競争原理が働きづらい性質上、極めて困難であるためです。

 

 

現状を鑑みるに、こうした問題の構造を解決するための自浄作用を学校に求めるのには無理があると考えられます。 論理的な帰結としては上記に指摘したとおりですが、教育には多額の投資がかかるのは今更言うまでもないところです。 理想を望むのであれば、それだけの費用がかかります。

 

 

代替手段として科目学習についてはfreeのビデオ講座などを利用し、 更に奨学金を受けると言う手もありますが、かなり変則的な対応です。家族にとって本当に必要な教育は何なのか、 そして何に対して対価を支払うのか、今一度再考していただく必要があるのではないかと思われます。


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天王寺前夕陽ヶ丘出口から

 

 

首都圏の学生にとっては縁がないであろう、他方で名前だけは聞いたことがある、という子が多い、大阪男子校トップの星光。 現在cocにはobの子達が直接間接で関わってくれており、彼らのやりとりを元に星光の課題について考えてみたいと思います。

 

最寄りは天王寺前夕陽ヶ丘

 

文化祭にもお邪魔しましたが、天王寺前夕陽ヶ丘からアクセス0分という好立地で校舎もとても綺麗です。 これだけでも安心感を持って通わせたいと思う父兄は多いんじゃないでしょうか。

 

 

 

生徒一流

 

 

 

校内にゆったりした雰囲気が流れている大きな理由の一つに、学生のポテンシャルの高さがあります。 「上から下までピンキリですよ」とはいうものの、今関わってくれている子たちは抜群のものを備えている子たちです。

 

具体的には科学にも理解を示せれば、人を束ねる力もあり、心身も健康で力強く、自分をよくわかっている子達です。 これは他校;例えば灘や開成obの子達と比べても、特に上の方の子達はポテンシャルではまったく引けを取らない手応えがあります。

星光の受験のスタイルでも、センターそこそこで二次の底力で抜けていくというのが通常で、 これができるということはポテンシャルが高いことを意味しています。

他方で多くの学校では、二次で巻き上げることが難しい学生が多いため、 センター叩き上げでなんとか抜けようというスタンスにならざるを得ないのが通常です。

 

 

合宿文化からくる連帯感

 

 

 

大阪星光と言えば長野と和歌山にある合宿所です。実際に見たことはありませんが、obの子達曰く、 「校舎と変わらぬ規模の物が建っている」とのこと。

 

合宿を通じて同じ釜の飯を食うことで、心を互いに打ち明けることがより円滑にできるようになるようです。

 

 

コンパクトなサイズ(200)

 

 

 

1学年200人と、人間が強い絆を持って認識できる130-230程度のレンジに収まっており、 これも同期同士の結束の強さを促しています。横の強さはかなりのものであるようです。

 

 

 

裁量の幅

 

 

 

ここから弱点に入ります。あくまでobからのヒアリングに基づくものですが、学園祭や学内のイベントをするにも、 例えば灘と比べても中々裁量を与えられず、予算の割り振り具合やインセンティブも含め、 大体な企画をやりきれていないことに歯がゆさを感じることがあったようです。

 

なお一般論として、直接的な因果関係は証明できませんが、学生に与える裁量を限定する傾向は、 カトリック系の学校全般にあります。

首都圏でもカトリック系の名の知れた学校がいくつかありますが、 特に学部への情報公開や個人単位での活動の背中を積極的に後押しするスタンスを明示している学校は中々見当たりません。

事実競技やコンテストでもカトリック系の学校の学生は中々名前を目にすることはありません。

 

 

縦の関係・後輩への指導力

 

 

 

生徒会をはじめとして体育祭や部活動でも、縦の繋がりが弱く、企画や文化を引き継ぐということも少ないようです。 これも他校との比較ですが、縦の強さが弱いため、先輩に対するrespectも手応えとしては曖昧なものを感じているようです。

 

後輩を育てる能力が備わっている現役生が中々育ちにくい環境にあるようです。原因はわからないとobの子達とも話していましたが、 能動的に語りかけたり、声をかけてアドバイスを送ると言った文化は、彼らが所属していたところではなかったようです。

 

 

縦の組織力

 

 

 

総じて組織力、具体的には段取りをしたり周りを見ながら調整していく力には不安が残るようです。 もちろんこれは個々の学生がリーダーシップの資質を備えていないということではなく、能動的に組織を作り、 自分たちの力で動くという機会が中々無いようで、周りを見ていても磨かれているなと実感がある子はさほどないようです。

 

 

 

近くて遠い四天王寺

 

 

 

宗教の壁や男女の差も多分に影響しているかとは思いますし、これは星光側に問題がある、ということではないのですが、 星光ob、四天王寺ogの双方から伺う限り、至近距離にある四天王寺とすら、付き合いはほぼないようです。

 

四天王寺は大阪トップの女子校のポジションでもあるため、また京阪神には上位の共学が中々見当たらないですから、 この2校の学生同士が連携すればできることも多くあるとは思われるものの、断絶状態にあるのは極めて残念だなと感じます。

なお首都圏にも校外との接触を暗黙裡に戒める女子校は多くありますが、 リベラルな一部のポテンシャルの高い子が揃う学校はこれにはあたりません。

 

 

(個ではなく)学校としてのカラー

 

 

 

大阪の学校全般に感じられることですが、学校自体のカラーには、明示的なものは感じられない、とobと意見が一致しました。 具体的には開成の運動会で見られる組織力や、JGの文化祭で見られる段取りの安定感といったものです。 こうした認識はobにもあるようです。

 

尤もこれは関西圏の学校全般がその傾向を感じるところでもあり、首都圏と比べても科学寄りの学生が多いということもありそうです。 自身のidentityを日頃から他者や外部環境と照合しながら生きている学生は少ないのかもしれません。

 

 

obとの対話を通じて今も昔も度々感じていることは、「ポテンシャルは高いのだけれども、外部との交流が盛んなわけでもなく、 尖っている子は、灘や開成あたりと較べてもさほど多くないのかもしれない」「リーダーシップを磨く機会はさほどないのかもしれない」という2点です。

 

 

他方で立地や校内環境の居心地の良さから、外の同世代の子達に目が向きにくいというのはあるのかもしれません。 例えば海外進学をする子も(但しこれは多ければいいということではないのは百も承知ですが、)年に1人いるかいないか、 という点も若干気になれば、四天王寺はもとより、灘や神女、甲陽や東大寺の子達と 活発に交流があった、という子は、周りのobにはいません。当然首都圏の学生とも無かったようです。

cocではdiversity(多様性)という言葉を繰り返し用いていますが、一貫校の場合、6年間同じ環境にいると同質化してしまい、 個の能力がvariation(固体差)が生まれたとしても、価値観を形作る基盤の部分が同じであるので文化障壁を超える力が 衰えてしまいがちです。

まずは兵庫や奈良の学生から、慣れてきたならば首都圏や地方の学生とも交流することで、自分の世界と可能性を広げてほしいと思います。


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数年前まで神戸女学院高等学部長を退いて、現在は院長の森孝一先生。 今も現役生(高校生)からの信頼が厚く、また宗教の対立軸を超えた対話の場を設ける活動をしていらっしゃるとの話を 現役生から伺い、文化障壁を超えることを一つの大きなミッションとしている私共としても、 どんなことに取り組んでいらっしゃったのか興味がわき、手にしてみました。

 

 

 

トランプ選出で、ブッシュの悪夢再びと声を上げる人たちもいる中で、ブッシュの際は何で選出されてしまったのか、 改めて理解したいと思ったのも動機のひとつです。論旨もシンプルで時間を書けずに読むことが出来るので、 普段政治にまつわる新書を読まない学生にはおすすめです。大学生がレポートを書く際の参考文献の1冊に挙げるくらいの 分量です。

なお出版されたのは2003年です。ブッシュ選出で短期間で纏め上げた本であることがあとがきに記されています。 同じ森孝一先生の「宗教から読む」アメリカ を参照されたほうが、細かい話はわかるのかもしれません。 読み次第更新します。

 

 

何であのアホが?

 

 

 

冒頭からストレートに、何でブッシュみたいなアホが選出されたのか、不思議でならない方々も多いかと思います、との 指摘をしているところがまず面白いところです。実際薬物での逮捕歴もあればボンクラだったエピソードが当時から漏れていた ブッシュですが、その後30代の終わりに按手と呼ばれる教会での儀式を通じて、プロテスタントとしての熱心な活動を始め、 宗教右派(プロテスタント福音派(evangelical)を中心とした政治活動にも積極的に関わる(原理主義)、キリスト教の保守的勢力)に 合わせた政策を掲げていく過程が記されています。

 

 

 

宗教右派というマジョリティ

 

 

 

evangelicalはアメリカの総人口の4割、そのうち宗教右派と呼ばれる人たちは19%いると記されています。 無宗教が標準の日本人の感覚するとかなり驚くべき数字です。 そしてブッシュが演説のたびに宗教色を帯びたフレーズを援用することで、このマジョリティからの支持を受けたのだ、 という指摘がされています。

 

そして宗教右派の中には、主に貧困層を底上げしたいと願う知的水準の高い人々と、 十分な教育を受けることが出来ないけれども、そうであるがゆえにブッシュに親近感を持った層がおり、 ブッシュはこの層を中心に人気があったようです。

なおアメリカの公立小学校では宗教教育が敷かれています。勿論政教分離の原則はありますが、 日本のそれとは異なり、アメリカでは特定の宗派に肩入れすることを禁止するものであり、宗教教育それ自体を 禁止するものではないようです。本書では「見えざる国教」という表現がなされており、 主に貧困層の(判断能力というよりは)マインドに大きな影響を与えていることは間違いありません。 そしてキリスト教以外の宗教を排除する力が生じる土壌ともなっています。

 

 

覇権国を維持したいネオコン

 

 

 

ブッシュ就任後よく聞くようになったのがネオコンという言葉です。新保守主義派とよばれるこの人々は、 覇権国(hegemony)としてのアメリカの立場を維持するため、これまでどおり世界中ににらみを聞かせようという立場をとっています。 ただし、久しくアメリカは世界最大の債務国であり、そのスタンスは持たないだろうといわれ続けているわけですが、 このネオコンが宗教右派を焚きつけ、テロの脅威をアメリカにとっての悪という対立軸として固定化し、 イラク戦争に踏み切らせたと論じています。

 

そしてこのアメリカの覇権国としてのプレゼンスを維持しようとする強硬な姿勢が、 所謂グローバリゼーション(実態はアメリカナイゼーション)となって顕れるわけです。 その大義として宗教右派としての啓蒙思想がある、アメリカの存在を脅かす存在は全て悪とする、二項対立の構図です。

しかしこんな強硬姿勢が長続きするはずも無く、当時国防長官だったコリン・パウエルがネオコンを批判していたことは 記憶に新しいところです。

 

 

 

 

 

 

以前からアメリカの公教育の基盤が宗教教育にあることはアメリカ在住の知人から度々聞き及んでいました。 しかしここまで政治にはっきりと色合いが出るとなると日本人の感覚では通用しない国棚と再認識しました。 JGでも文明の衝突を高校の授業で扱うと聞いていますが、先進国にしてこれだけ宗教色が強い国は相当特殊です。

 

トランプも宗教右派を意識していないということはありえないはずです。実際、トランプが支持を集めたのは白人労働階級であり、 この層もまた上記の宗教教育を受けているであろうことは容易に想像されます。 トランプのわかりやすい語り口や俗人ぽさが受けた構図もブッシュJrと同じです。

普段対岸の国の政治を日常会話の中で語る中高生は少ないはずです。その中核にあるものがキリスト教という国も珍しいですが、 その珍しい国が日本が最も意識することの多いアメリカであるというのが注目すべき点です。 また少なからぬ数の学校がミッション系でもあれば、仏教系や宗教法人が母体でない学校に通う学生にとっても、 こうした話題は新鮮に映るのではないかと思われます。


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