(今回も、私小山田の感じたことを雑多に綴っていきます)


52.2.未来表現(その他)

前回は、未来表現の中で最も馴染み深いwillとbe going toを扱いました。


・will・・・その場で決めたり、強い意志や推量
・be going to・・・以前から予定していたり、客観的な判断


今回は、現在形、現在進行形、未来進行形を扱います。
まずは、現在形の例です。

(1)The train leaves Yokohama at 9:00 A.M.

時刻表など、(ダイヤ改正でもない限り)ほぼいつも変わらない出来事を表わす時は、現在形を使用します。
元々現在形は、過去も現在も未来もほぼ不変の状態を示す「現状維持形」であることは、51.1.で述べました。

次に、現在進行形を使用する場合です。これは、同じ「予定」を表わすbe going toと対比して考えます。

(2)I am visiting Osaka next week.
(3)I am going to visit Osaka next week.

元々現在進行形は、その時点で既に進行している動作を表わします。
それが未来を表わす時には、ほぼその出来事が今起こっているかのように、
be going to よりもより身近な出来事として表わされます。

(2)は、来週大阪に行くことが確実で、大阪で寄る場所も決まり、乗る列車やホテルの予約も済んでいる可能性が高いと言えます。
いっぽう(3)は、来週大阪に行くことは予定をしているものの、夜場所が決まっていなかったり、列車やホテルの予約もまだという可能性があります。
ただし、この区別は必ずしも厳密というわけではなく、使い分けが難しいのであれば、be going toでも十分です。

最後に、未来進行形を見ていきます。

(4)We will be meeting him tomorrow evening.
(5)This train will be stopping at Yokohama and Atami.

未来進行形には、「未来のある時点で何かをしている最中だろう」「このままの予定で行けばその出来事が起こるであろう」という意味合いが含まれます。

(4)は、明日の晩には彼と会っているだろう、ということで、(5)は、特に列車アナウンスなどで聞かれますが、予定通りに行けば横浜と熱海に停車する、ということです(時刻表ではっきり決まっているので現在形でもいいかもしれませんが、未来進行形で長めに言うことで、丁寧に説明するということもあります)。

なお、列車アナウンスでは、willのみが使用される場合もあります。

(6)We will make a brief stop at Nagoya.

この場合、現在形でもいいのですが、willを使用することで丁寧さを加えるということもあります。


まとめると、未来表現を表わす現在形、will、be going to、進行形、未来進行形は次のようになります。

・現在形・・・時刻表など、いつもほぼ変わらない予定を述べる
・will・・・その場で決めたり、強い意志や推量(丁寧さを加える為の使用もあり)
・be going to・・・以前から予定していたり、客観的な判断
・進行形・・・be going toよりもより確実な予定
・未来進行形・・・予定通り行けば起こる出来事

上記は、必ずしも厳格な分類ではありませんし、その区別を丸暗記する必要はありません。
最初の段階では、willとbe going toの違いを認識することから始めて、あとは実際の使用で
身に付けていくことでいいかと思います。
(今回も、私小山田の感じたことを雑多に綴っていきます)


52.1.未来表現(willとbe going to)


現行の学習指導要領では、時制の種類に「未来形」の用語はなくなり、「助動詞などを用いた未来表現」と変更されています。

そもそも、「未来形」というのがあるとしたら、「複数形」「過去形」などのように、動詞に-sや-edがつくといった、それぞれの形を表わす形態素がないといけません。英語の場合は、動詞にwillなどの助動詞がついた形なので、「未来形」はありません。

また、よく中学生向けの問題集などで、willとbe going toを互いに書き換えさせるという問題がありますが、これは間違った知識を教えることになります。
では、そのwillとbe going toの違いをみていきます。

(1)I will buy the dress.
(2)I am going to buy the dress.

(1)は、店などで見て、買いたいドレスを「その場で」決めたニュアンスがあります。
いっぽう(2)は、以前から計画して、買う「予定」があったことを示します。

主語が2人称や3人称の場合は、willは話者の強い意志や推量、be going toは客観的に起こる可能性が高いと判断した場合に使います。

(3)It will rain tomorrow.
(4)It is going to train tomorrow.

(3)は、強い推量に満ちている場合の発話で、証拠が無い場合もあります。(4)は客観的な判断を含めており、雨が降る確率が高そうな場合に使います(注)。

まとめると、
・will・・・その場で決めたり、強い意志や推量
・be going to・・・以前から予定していたり、客観的な判断


次回は、その他の未来表現を扱います。


(注)天気予報番組では、一言で済むことと、より丁寧に響くことでwillが使われることもあります。
(今回も、私小山田の感じたことを雑多に綴っていきます)


51.2.時制(過去形と現在完了形)


時制で紛らわしいのが、過去形と現在完了形です。
これも日本語で「~した」「~したことがある」だけでは、なかなか理解出来ません。

そこで、まず過去形は、「現在とは全く違う世界の出来事である」、という認識が必要です。

(1)I read the book yesterday.

(1)は、「昨日私はその本をなくした」という意味で、この発話時点である今現在も読んでいるのかいないのかは、この1文だけではわかりませんが、
少なくとも現在の話題とは切り離しています。

いっぽう現在完了形は、「過去に起こった出来事を何らかの形で現在まで持っている(have)、あるいは引きずっている」と考えられます。

(2)I have read the book.

(2)は、「私はその本を読んだことがある」もしくは「私はその本をずっと読んで来た」
「私はその本を読んだところだ」と、文脈によって意味が異なるように思えます。
ところが、どれも必ず現在と結びついています。
「読んだことがある」という意味では、今でも思い出として持っていますし、
「ずっと読んで来た」という意味では、今も読んでいることになります
(実際の読書活動を続けているのか、習慣として読んでいるのかは、文脈によって決まります)。
「読んだところだ」も、読んだという過去の出来事を現在と結び付けています。
また、上の意味をより明確にするには、

(3)I have read the book before.(私は以前その本を読んだことがある)
(4)I have been reading the book since this morning.(私は今朝からずっとその本を読んで来た)
(5)I have just read the book.(私はその本をちょうど読んだところだ)

必ず現在形と結びついているので、現在完了形には、last nightや three years agoなど、加古を表わす表現を単独で一緒に使うことは出来ません(sinceやforをつければ可)。

(6)* I have lost the pen yesterday.→ I have lost the pen since yesterday.
(7)* I have played the piano three years ago.→ I have played the piano for three years.

過去形と現在完了形は、現在と切り離されているか結びついているか(引きずっているか)という点に注意をすれば、混乱はないと思います。