(今回も、私小山田の感じたことを雑多に綴っていきます)


51.2.時制(過去形と現在完了形)


時制で紛らわしいのが、過去形と現在完了形です。
これも日本語で「~した」「~したことがある」だけでは、なかなか理解出来ません。

そこで、まず過去形は、「現在とは全く違う世界の出来事である」、という認識が必要です。

(1)I read the book yesterday.

(1)は、「昨日私はその本をなくした」という意味で、この発話時点である今現在も読んでいるのかいないのかは、この1文だけではわかりませんが、
少なくとも現在の話題とは切り離しています。

いっぽう現在完了形は、「過去に起こった出来事を何らかの形で現在まで持っている(have)、あるいは引きずっている」と考えられます。

(2)I have read the book.

(2)は、「私はその本を読んだことがある」もしくは「私はその本をずっと読んで来た」
「私はその本を読んだところだ」と、文脈によって意味が異なるように思えます。
ところが、どれも必ず現在と結びついています。
「読んだことがある」という意味では、今でも思い出として持っていますし、
「ずっと読んで来た」という意味では、今も読んでいることになります
(実際の読書活動を続けているのか、習慣として読んでいるのかは、文脈によって決まります)。
「読んだところだ」も、読んだという過去の出来事を現在と結び付けています。
また、上の意味をより明確にするには、

(3)I have read the book before.(私は以前その本を読んだことがある)
(4)I have been reading the book since this morning.(私は今朝からずっとその本を読んで来た)
(5)I have just read the book.(私はその本をちょうど読んだところだ)

必ず現在形と結びついているので、現在完了形には、last nightや three years agoなど、加古を表わす表現を単独で一緒に使うことは出来ません(sinceやforをつければ可)。

(6)* I have lost the pen yesterday.→ I have lost the pen since yesterday.
(7)* I have played the piano three years ago.→ I have played the piano for three years.

過去形と現在完了形は、現在と切り離されているか結びついているか(引きずっているか)という点に注意をすれば、混乱はないと思います。