(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

79.2.be動詞はイコールではない2

 

安井(1980:52)によると、be動詞を使用した場合、どちらに強調の発音を置くかで意味が変わって来ます(太字も原著者による)。

 

1.John is the leader.(ジョンはそのリーダーです)

2.John is the leader.(ジョンがそのリーダーです)

 

1では、Johnが旧情報(文脈上既にわかっている情報)で、the leaderが新情報、2では、Johnが新情報です。これは、疑問文を想定してみるとより明らかになります。

 

3.Which is John?

4.Which is the leader?

 

3は1の疑問文で、4は2の疑問文として想定出来ます。これは、ジョンの役割、すなわち「レッテルが分かっている場合にその中身を尋ねる」もので、このような疑問文を、Halliday(1967)に従って、中身解き文(decoding)と安井(同:53)は名付けています。

 

また1の場合は、主語と述語を交換しても通じます(太字は原著者)。

 

5.The leader is John.


1の文は、3の疑問詞をそのまま主語にしているので作用文(operative)、2の文は、主語ではなく補語が主語となって答えている受容文(receptive)と、安井(同:53)は名付けています。

 

参考

Halliday M.A.K. (1967) Notes on transitivity and theme in English, part 2. Journal of      Linguistics 3: 199-244.

安井泉(1980)「英語のbe動詞の多義性-四つのbeの等質性と異質性」『英語学 (23)』 p40-67

 

(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

79.1.be動詞はイコールではない

 

be動詞は、主にSVやSVCの文型で使用され、SVOとの区別のために、be動詞を「イコール関係」と説明している参考書が多く見受けられますが、それは適切ではありません。

 

そもそも、be動詞は3つの機能があるとされます(中島、1955)(例文は筆者による)。

 

1.predicate verb(叙述動詞)

a. God is.(神は存在する)

b. We are here.(私たちはここにいる)

 

2.auxiliary verb(助動詞)

c. He is running.(彼は走っているところだ)

d. The letter was written by Tom.(その手紙はトムによって書かれた)

 

3.linking verb(連結動詞)

e. He is a conductor.(彼は指揮者だ)

f. This book is interesting.(この本は面白い)

 

1のように、「存在する」という意味で「We=here」としたり、2の助動詞としての使用で「He=running」のように「イコール関係」としてしまうと矛盾が生じますし、3の「He」と「conductor」も、heという具体的な人物の属性(全世界にいる「指揮者」という職業を持つ人たちの1人)を表わしているので、「イコール関係」にはなりえません。

 

be動詞の最も根本的な意味は、「存在」であることを覚えておく必要があります。そうすれば、「~がある」の意味で主に新情報を導入する時に用いられるthere is構文の意味もわかって来ます。

 

今回から数回にわたって、be動詞とはどういうものかを、「A is B」のような文(日本語の「AはBだ」にあたる、コピュラ文)に関して検討していきます。

 

参考

中島文雄(1955)「"Is"の多義性 」『Anglica1956年第2巻2号』pp1-14

 

(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

79.動詞openの用法

 

openは、いろいろな文型を取るので注意が必要です。

 

1.SV

a. The door couldn't open.(そのドアはどうしても開かなかった)

 

2.SVO

b.I opend the door.(私はそのドアを開けた)

 

3.SVOO

c. He opend me a beer.(彼は私のためにビールの缶を開けてくれた)

(≒He opend a beer for me.)

 

 

このようにopenがgiveなどと同じく第4文型(SVOO)の語順で使われるのは、開けてくれた物(ここではビール缶)が対象の人の手に渡ること(give、つまり授受)が前提なので、*He opened me the door.のように、渡せないものに関しては使えません(He opend the door for me.のみ)。

 

この項、「1日1題 英語のメモ 第4文型の基本的意味は「授受」」を参照。