(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)
79.1.be動詞はイコールではない
be動詞は、主にSVやSVCの文型で使用され、SVOとの区別のために、be動詞を「イコール関係」と説明している参考書が多く見受けられますが、それは適切ではありません。
そもそも、be動詞は3つの機能があるとされます(中島、1955)(例文は筆者による)。
1.predicate verb(叙述動詞)
a. God is.(神は存在する)
b. We are here.(私たちはここにいる)
2.auxiliary verb(助動詞)
c. He is running.(彼は走っているところだ)
d. The letter was written by Tom.(その手紙はトムによって書かれた)
3.linking verb(連結動詞)
e. He is a conductor.(彼は指揮者だ)
f. This book is interesting.(この本は面白い)
1のように、「存在する」という意味で「We=here」としたり、2の助動詞としての使用で「He=running」のように「イコール関係」としてしまうと矛盾が生じますし、3の「He」と「conductor」も、heという具体的な人物の属性(全世界にいる「指揮者」という職業を持つ人たちの1人)を表わしているので、「イコール関係」にはなりえません。
be動詞の最も根本的な意味は、「存在」であることを覚えておく必要があります。そうすれば、「~がある」の意味で主に新情報を導入する時に用いられるthere is構文の意味もわかって来ます。
今回から数回にわたって、be動詞とはどういうものかを、「A is B」のような文(日本語の「AはBだ」にあたる、コピュラ文)に関して検討していきます。
参考
中島文雄(1955)「"Is"の多義性 」『Anglica1956年第2巻2号』pp1-14