№35
日付:2023/10/6
タイトル:BAD LANDS バッド・ランズ
監督・脚本:原田眞人
劇場名:シネプレックス平塚 screen1
パンフレット:あり(\990)
評価:6

 

日本のフィルム・ノワールにおいて、大阪弁は実に効果的。ヤクザ者の博多(というより筑豊)弁も迫力ありますが、本作において舞台が大阪というのが重要な意味と効果を得ている。

 

特殊詐欺グループの一員として生き馬の目を抜く姉ネリ(安藤サクラ)と、少年院を出所したばかりの弟(山田涼介)。この姉弟が抱える闇を徐々に明らかにしながら、2人を食い物にする犯罪組織と警察を交えた四つ巴の攻防。ほんの1週間余りの間に起きた出来事を、怒涛の駆け足感で描いたクライム・サスペンス。

基本原作物を脚本・監督するのが原田監督の手法のようですが、本作においては原作というよりも原案と言った方がよいのかも。前半の状況説明や展開がスピーディなのは前作同様で、大阪弁のノリと共に付いていくのに苦労する。ただ後半は組織側の追い込みが少々ユルいようにも感じてしまった。

 

0.5ミリ」「百円の恋」でその魅力にはまった安藤サクラさん。本作もさすがの存在感で頭の切れる“三塁コーチ”を演じていて、ストーリーをグイグイ引っ張っている感じ。NHKの朝ドラの時も賛否あったようですが、彼女の大阪弁はどうなんでしょうね?圏外の私にはちょっと借り物的に聞こえてしまった。

山田涼介君は姉の足を引っ張る出来の悪い弟役を快演。サクラさんよりも彼の大阪弁の方が自然に聞こえた。ただ本作は主役の2人だけでなく全ての演者さんの役ごとのエッジが効いていて、監督の采配が冴えわたっている。サリngROCK(林田)、宇崎竜童(曼荼羅)、吉原光夫(佐竹刑事)、田原靖子(酒井刑事)、大場泰正(教授)、、、こんな風にそのキャラを生かしてくれると、演じる側も役者冥利に尽きるのでは。


原田眞人氏が雑誌ポパイに「原田真人のロサンジェルス超特急(M.Harada's L.A.EXPRESS)」を連載していたのが1976年~1984年。初監督作「さらば映画の友よ インディアンサマー」が公開されたのが1979年で、振り返ってみると1984年公開の監督第2作「ウィンディー」を観ていた。最近の作品をスルーしていたのを後悔。どこかで特集上映とかしてくんないかな。遠征してでも観に行きたいです。

 

 

 

 

 

 

パンフレット

・イントロダクション
・ストーリー&相関図
・キャスト 安藤サクラ[ネリ/橋岡煉梨] 山田涼介[ジョー/矢代穣]
・インタビュー 安藤サクラ×山田涼介
・キャスト
・タイムライン
・バッド・ランズ マップ
・監督
・原作
・スタッフ
・プロダクション・ノート
・プロダクション・デザイン 監修:金勝浩一(美術)
・コラム_1 金原由佳(映画ジャーナリスト)
・コラム_2 前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)
・クレジット

チラシ①

チラシ②