№1
日付:2015/1/16
タイトル:百円の恋
監督:武正晴
劇場名:キネカ大森 KINECA3
パンフレット:あり(\600)
評価:★★★★
ぐうたらで自堕落な人生を送ってきた32歳の引きこもり女が実家を飛び出して始めた一人暮らし。
社会への適応力も生活力もない彼女の身の丈に合った職場には人生の敗者が集い、彼女に寄ってくるのは身勝手な男や浅ましく醜悪な男ばかり。
何でも百円のコンビニで働きながら彼女が支払う安っぽい人生の授業料。夢も希望もない仕事と恋路。そんな人生を、女としての自分の価値を、冷めた目で受け入れていたかのように見えた一子(安藤サクラ)だったが・・・・
やるせない人間模様を、不器用な弱者のジレンマを、あらゆる閉塞感を、一子のシャドウ・ボクシングが、そのステップワークが華麗に引き裂く。その爽快感たるや。そこから動き始めるこれまでとは違った人生の歯車。
見事に女性版"和製ロッキー"を誕生させてくれた脚本と冴えた演出。それもスタローンが監督したアメリカン・ドリーム的作品ではなく、ジョン・G・アヴィルドセン監督による第1作 に通じる敗者の美学と人間味が光る。
そして、引きこもり→フリーター→ボクサーと、一子の三段階の変化を演じきる安藤サクラさん。その軽快なフットワークにシビれ、試合前のスイッチの入り方にはもはや畏怖すら感じてしまった。
「0.5ミリ 」を観て以来、今一番気になる女優さん。本作品でもその存在感と共に引き摺るような魅力を放っていますが、感性だけではない事をそのボクシング・シーンが証明している。この作品が放つカタルシスは、サクラさんが女優として磨いたボクサーとしてのパフォーマンスなしには決して生まれ得ない。
ますますこの人から目が離せなくなりそうです。
小振りなパンフと
後日ヤフオクでチラシ2種入手しました