№1
日付:2023/1/7
タイトル:窓辺にて
監督・脚本:今泉力哉
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン2
パンフレット:あり(\900)
評価:6点

 

昨年観た「愛なのに」(脚本担当)と登場人物の関係図やシチュエーションが実に似通った本作。

複数の男女関係が同時進行。十代の恋模様も不倫する大人の行動原理もごくありふれたシチュエーションの中、主人公の市川(稲垣吾郎)のみが人知れず常人には理解しがたい感情を抱えていて、観客は彼が一歩踏み出して問題解決(?)にあたる様子を見守る事となる。

誠実で才能も有り自分に正直な草食系男子の元小説家。おそらくは誰が演じるかで本作の世界観すら変わってしまいそうなこの役を、稲垣吾郎君がものの見事なはまり役として好演。もしもう1回本作を観に行くとしたら、その動機は彼の演技をもう一度見たいという事かもしれない。

 

上映時間143分を通じて、特段の事件性もないままにゆったりとした時間の流れを感じるので、寝不足で観に行くのは少々危険かも。劇中に登場する小説のくだりや主人公のモノローグや会話の内容が、この作品をアナリーゼする為のヒントの如く思わせぶりに投げかけられてくるので、退屈はしない。

allcinemaでは本作を「大人の恋愛群像コメディ」と紹介していますが、コメディ枠じゃない気がします。

 

昨年観た「愛なのに」(脚本)と「猫は逃げた」(監督)は、前者の方が心に残った。後者はとても凡庸な演出に思えたのですが、本作でようやく今泉監督の魅力に触れる事ができた気がします。

 

 

 

 

小振りなパンフ。写真がとても綺麗

チラシ