マ・ドンソクの新作がネトフリで配信されちゃったので"100選"はもう一回お休みして…壊滅した荒野のソウルを舞台にマ・ドンソクの魅力が炸裂するディストピア・アクションの傑作…「バッドランド・ハンターズ」

 

高層ビルの研究室では、殺した同僚の返り血で汚れた医学博士ヤン・ギスがストレチャーに横たわる瀕死の娘に自ら開発した新薬を打とうとしているが、そこへ武装警官たちがなだれ込んでくる。博士の残酷な人体実験を止めるためだ。その時ビルが揺れ始める。窓の外を見るとソウルの高層ビル群が次々と崩れ落ちている。そして博士のいるビルも…3年後、廃墟のソウルを若いヒョンテが弓矢を携えて進んでいる。するとでかいワニが見える。ヒョンテが慎重に狙いを定め矢を放つと、矢はワニの頸の辺りに刺さり、ワニはぐったりする。勝ち誇るヒョンテがワニに近づくと突然ワニが頭をもたげヒョンテに向かってくる。慌てるヒョンテは錆だらけの車に逃げ込むがワニも激しく頭を突っ込んで来る。すると突然ワニが引きずり出される。ワニの尻尾を片手で引っ張るのは巨漢ナムサンだ。ナムサンは引きずり出したワニの頸を巨大な刃で切り落とす。ナムサンは”美味そうだ”と嬉しそうだ。日照りが続くソウルは悲惨な水不足だ。生き延びた18歳スナは物々交換の市場”バス洞”に向かう。そこではナムサンとヒョンテが仕留めたワニを切り刻んで水や米と交換している。するとそこへ装甲車のような車が突っ込んで来る。”Spaland”を根城とする荒くれ集団だ。彼らは市場を見渡し、スナや若い人間に目を付け、無理やり連れ去ろうとする。始めは若いヒョンテが連中に立ち向かうがボコボコにされ、いよいよナムサンの出番だ。ナムサンはあっという間に連中を殴り倒していく。倒した連中にボスの名を聞くと”タイガー”だという。地震前からのナムサンの因縁の相手だ。この事件をきっかけに、サムサンたちは奇怪な戦闘に巻き込まれていくのだ…

 

無敵のナムサンに、マ・ドンソク、狂気の科学者ヤン・ギスに、「オ・ムニ!」など最近は主演級の活躍が続くイ・ヒジュン、ナムサンの若き相棒チェ・ジファンに、「モラルセンス」「勇敢な市民」ではアブナい主人公を演じた二枚目イ・ジュニョン、かつてナムサンに救われ慕う18歳ハン・スナに、「ひかり探して」など美少女子役も二十歳を超えてますます美形ノ・ジョンウィ、生き延びた空軍特殊部隊イ・ウノに、超C級アクション「スレイト」ヒロインから大ファンの正統派美形アン・ジヘ、ヤン博士配下の教師に、大ファンのチャン・ヨンナム、荒くれ軍団の首領タイガーに、お馴染み笑える巨漢パク・ヒョジュ、スナの祖母に、お馴染みお母さん女優ソン・ビョンスク。

 

観ている時は、(「コンクリート・ユートピア」+「マッド・マックス」+「死霊のえじき」)÷3 みたいな映画だと思ったわけですが、何と途中から中心舞台となるアパートは「コンクリート・ユートピア」の舞台ファングン・アパート103棟ではありませんか。どうやら「コンクリート・ユートピア2」みたいな企画から始まりながら最終的にはNetflixオリジナルに落ちついた、みたいな経緯を持っているようです。正直ストーリーとしては既視感いっぱいのディストピアものといった感じで、そんなにそんなにワクワクするものではなかったわけですが、ともかく出演陣の魅力が凄い。マ・ドンソクは、知る限りこれまで一度も戦ったことのない変わった敵たちとの肉弾戦がめちゃめちゃカッコいいですし、ゴルゴ13の愛機M-16乱射もバッチリ、美少女ノ・ジョンウィも冷静で気丈、元特殊部隊アン・ジヘも実に美しいアクションを見せてくれて、文句なしです。監督はこれまで俳優やスタントや武術(アクション)監督を数々やってきたホ・ミョンヘンですが、「犯罪都市3」の武術監督をやり、既にクランクアップしている何とキム・ムヨルが悪党役の「犯罪都市4」の監督も務めているので、マ・ドンソクの魅力を知り尽くしているという感じがヒシヒシ伝わって来て嬉しい限りといった感じです。

 

多少、ストーリーとしてご都合主義だったり緻密さに欠けるという批判は当然だと思われますが、それをはるかに上回るマ・ドンソクの格闘・戦闘技、ノ・ジョンウィの美少女ぶり、美貌アン・ジヘのシャープで美的なアクション…残念ながら五つ星にせざるを得ないでしょう。偏った年寄りの感想なので、観たけど面白ないやん、というあまたの声も想像できますが、それは自己責任ということでご容赦願います。

 

ちょっと観る興味を一つ削ぐかもしれませんが、マ・ドンソクの語彙力ギャグを一つだけ。強敵と向き合うシーンで相手の”お前が狩人(사냥꾼:サニャンクン)か?”への答え。”俺が愛人(사랑꾼:サランクン)だって?”…もはやマ・ドンソクのお家芸になってしまったみたいです…