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ミョン・ゲナムつながりで、今日から3本はイーストフィルム制作の傑作、まずは、「グリーン・フィッシュ」。

街の姿がどんどん変わっていく高度成長時代を背景に、ソウルとその郊外一山(イルサン)を舞台にした、暴力と家族愛の秀作。

除隊し、ちょっとしたきっかけから組織暴力の世界に入り込んでいく家族思いの26歳青年にハン・ソッキュ。家族には、脳性マヒの長男にイ・ホソン、酒乱に悩む次男の刑事にハン・ソッキュの実兄ハン・ソンギュ、卵を売り歩く三男に「王の男」とかの名優チョン・ジニョン、生活のためタバンで働く妹にオ・ジヘ、母親にソン・ヨンスン。組織のボスに同じイースト・フィルム製作「オーロラ姫」でも主演のムン・ソングン、その哀しい厚化粧の情婦に「銀杏のベッド」でもハン・ソッキュと共演のシム・ヘジン、出所した元ボスに「お客様は王だ」で同じ役名を使う名優でありこの映画を送り出したイースト・フィルム代表でもあるミョン・ゲナム。チンピラにはソン・ガンホ、冒頭のチョイ役にイ・ムンシクの顔も見えます。

立ち並ぶ高層アパート、貧しい生活、場末のクラブの喧騒、といった都会の明暗を背景に、赤いスカーフ、何度か鏡を覗き込むハン・ソッキュ、シム・ヘジンの謎のお祈り、魚のいない水槽、大きな柳の木、などの斬新で印象的なイメージを積み重ねて綴られていくストーリーは、「タクシー・ドライバー」を思い起こさせる切なく重苦しい暴力ものである一方、深く、けれども、あやうい家族愛の物語でもあるという、優れた構成になっています。

同年の百想賞では、監督、脚本、主演男女優、大鐘賞では、脚本、主演男女優、青龍賞では、作品、監督、主演男優、とかとか各賞を総なめにしただけのことはある傑作なので、機会があれば是非ご覧ください。