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中央園芸のブログ

(株)中央園芸の庭づくりの様子や、日々の出来事

こんにちは、押田です。

皆さんはヤブガラシという草をご存知でしょうか?

植木屋さんや、農家、畑をやっている方、庭がある方なら、たぶん見たことがあると思います。

とても生育旺盛なブドウ科のつる性植物です。




ある、お客さんのお宅。

ツバキに巻きつく、「ヤブガラシ」。




高いところから見た「ヤブガラシ」の図。

樹木一面を覆う、とても「厄介な雑草」なのです。


5月から8月、9月。このヤブガラシの退治はとても労力のいる作業です。

しかも、7月頃には、小さな花がたくさん咲くため、スズメバチなどの蜂も集まります。


元々このヤブガラシは、長い地下茎があり、表面的に地上部のみを手で抜いても、また、芽を出します。


根っこごと全部抜き取れればいいのですが、地下茎が少しでも残ると必ず再び芽を出します。

そしてこの地下茎が長いこと長いこと・・・。


私も何度か重機で掘ったことがありますが、細い地下茎を辿ると、太い地下茎(本管)が姿を現します。

これをちぎれないように「そぉっ~と」抜くのですが、ほんの数センチ土の中に残れば、また必ずといっていいほど芽を出してきます。

本当に、強健なつる性の植物なのです。



ヤブガラシの元の写真。

おそらく太い地下茎から、この太さの芽がたくさん地上部に出ています。



地下茎で増える竹や笹と性質はとても似ていますが、

ヤブガラシの大きな特徴として、他の植物の根に絡みつきながら、地下茎を伸ばすこと。

そして、樹木の幹や枝に絡みつき、巻きつけながら上へ上へと伸びていく、という特徴があります。


このあたりが、とても厄介な雑草といわれるところなのです。



こんな手強い雑草「ヤブガラシ」を撃退するにはどうすれば良いか?

試しにネットで、「ヤブガラシ撃退、駆除」を検索してみます。


すると、

*とにかく抜いて抜いて、抜きまくる。根こそぎ抜く!

*抜いたら、食塩水をまく。(近くに大事な植物があるときは注意とのこと)

*除草剤(ラウンドアップ)をまく。除草剤を筆で塗る。除草剤の原液を浸ける!

 (ただし、近くに大事な植物があるときは注意!とのこと・・)。


とかが出てきます。


ほとんどは、根こそぎ抜く!


か、除草剤をうまく使えば・・・


という答えになるのですが、先程も書きましたが、ほかの植物に絡んでいくため、除草剤はなかなか使いにくいところだと思います。もちろん自分は除草剤は使いませんが・・。


私の植木畑もこのヤブガラシには毎年悩まされていました。

数ヶ月畑を放置していると、まさに「藪を枯らす」かのごとく、ヤブガラシの天下となってしまいます。



しかしながら、農薬を使わずに、簡単にヤブガラシを駆除する方法がわかったのです!




それは、今年6月8日に国立市「やぼろじ」で行われた、矢野智徳さんの「大地の再生講座」での一コマ。

下草の風通しを良くする方法を矢野さんが指導していた時。

そこにヤブガラシがありました。


「この草は、とても素直な草。役目を終えたと思えれば、必ず姿を消してくれます・・・」

といって、矢野さんはくるくるとヤブガラシを丸く束ねて、地面に置きました。


これでヤブガラシは無くなる、というのです。



そもそもヤブガラシとは何なのか。

自然界において、無駄なものは一切ない。

ヤブガラシが生える、何か理由、意味があるはずです。


自分もヤブカラシの気持ちになって、数日間考えてみました・・・。


例えば、ヤブガラシの他にもとても厄介な雑草として、スギナがあります。




とある農道。


おそらく農家の方が、草を絶やしたいため、道路と水路の間に除草剤を撒きました。

稲の近くは、除草剤は遠慮したのでしょうか。


ほぼ草は枯れました。


しかし、スギナが芽を出しています。




スギナは強いですね、ものすごい生命力です。


「根まで枯らす!除草剤」とかを
を撒いたと思うのですが、スギナはまた出てくるんです。
なかなか、絶えないんです。




自然栽培 Vol3より、引用します。

広島に原爆が落とされた1945年。

大量の放射能を浴び、広島の地は焦土と化しました。


「今後70年は植物が生えることはないだろう。」



しかし、翌1946年、たくましい雑草たちが芽を出しました。

スギナ、タンポポ、ハコベ、ナズナ、ヨモギ、オオバコ、スミレ・・・

いわゆる、どこにでもある雑草たちです。

地上部は焼き焦がされても、強健な地下茎、根の部分が残り、再び芽を出したという訳です。







いわゆる雑草といわれる中でもスギナは特に強健です。

除草剤もかなりの高濃度で撒かないと枯れないと思います。


私も以前は、除草剤、消毒などの農薬を使っていましたが、今はほとんど使わなくなりました。

植物や虫を殺す薬ですから、人間にとってもいいわけはありません。
除草剤の恐ろしさはここでは控えます。


でも除草剤をいくら撒いても、また草は出てくるんです。

なぜなら、大地を再生するためだからです。


先程の広島の草たちは、表面的、平面的に大地を再生する役目。

そして、ヤブガラシは立体的、縦方向に大地を再生する役目があるのでは、

と私は推測しています。


おそらく広島でも、ヤブガラシは枯れた木々やフェンス、ポールのようなものに巻き付き、焼け焦がれた広島の大地を立体的に緑で覆い尽くしていったのだと思います。


そう考えると、ヤブガラシは荒れた土地や、何度も何度も掘り返す畑など、大地が安定していないところにに良く生えているように思います。


話しを元に戻しますが、

矢野さんのヤブガラシの話しを聞いて、早速自分もやってみました。




会社圃場、ヒサカキに絡みつくヤブガラシです。




アップの図。

畑でよく見る光景ですね。




このヤブガラシを切らずに木から解くんです。

伸ばしてみると、2.5mほどありました。

普通は、このまま手で抜いてしまうと思います。





それをくるくると巻き、そっと地面に置くんです。

それはまさに頭に巻く王冠のように!


そして、心の中でつぶやくんです・・。

「もうお前の役目はここでは終わったよ・・・。もういいんだよ。」


これで、ヤブガラシはいなくなるんです。本当か!



私は夏場からいくつか実験してみましたので、紹介します。





梅雨の真っ只中、7月2日。

雨の中、高さが5mほどのシラカシの株立ちに巻きつく、ヤブガラシ。

なかなかの大物が見つかりました。


今までなら、根っこの近くを掴み、抜いていました。





でも、今回はつるを切れないようにシラカシから解き、くるくると巻きつけ、そっと置く。

そして、

「もう大丈夫だ、お前の役目は終わったよ・・・。」

と、心の中でつぶやきました。






そして、お盆明け、8月24日、このシラカシのところへ行って見ました。








おお、すごい!

なんだか、役目を終えた感じになっています。




9月9日。救急の日。ヤブガラシにとってはSOSです。

ほとんど黒くなってしまいました。




9月23日。

ほとんど水分がなくなって、もうカッサカサです。

地下茎のほうも、徐々に枯れていっているようです。
すごい結果がでました。




もう一箇所。8月20日。自宅のナンテンの木に巻きつく、ヤブガラシ。


アップの図。


これをくるくると巻き、そっと大地に置く。



20日後の、 9月9日。


そして、約1ヶ月後の9月23日。


徐々に黒ずんでいく様子がわかります。
この後、どこまで地下茎が絶えるかは、今後も様子を見ていきたいと思います。

ついでにもう一箇所。


あるお客さんの家の植木まわり。
強力なヤブガラシがこちらにも。長さは4~5mくらいはあったでしょうか。
こちらも大物です。
8月20日。

約1ヶ月後の 9月15日。勢いが衰えました。








こんな平らな草地にもヤブガラシはあるんです。
ここは、昨年からうちの会社で管理しているのですが、
今年の夏場から風の草刈を繰り返しています。

風の草刈とは、
地際(地面すれすれ)ではなく、草が風になびくところ(地上から20cmくらい)で刈る、ことです。
この刈りかたによって草は生育が安定する、という矢野さんのやり方です。

ここの土壌は固く、あまりよくないのですが、数十年間、このような草地であったようです。
草は毎年よく伸びますが、この場所はこの場所で大地は安定している状態だと思います。


この横の植木場にヤブガラシが大量にはびこる地帯があるんです。
おそらく、そこの地下茎から伸びたヤブガラシ。

ヤブガラシは他の植物の根を伝い、幹や枝に絡みながら立ち上がってこそ、勢いを増すつる性植物。
絡みつくものがないところでは、徐々に衰退していきます。
このようなところに生息するヤブガラシは次第に、ほかの草に場所を譲り、役目を終えていくわけです。

本当に自然というのはよくできています。

ついでにもう一つの実験です。


ヤブガラシが2本出ているところがありました。

1本はくるくると巻きつけ、もう1本は試しに切ってみることに。

8月24日です。



左のほうは、くるくると巻きつけ、右のほうは、切りました。
これがどうなるのか?



9日後の9月2日。

切られたほうは、もう芽を出し始めました。すごい生命力です!




9月15日。

数十センチ、芽が立ち上がりました。

こうやってヤブガラシは再び木々に巻きついていくのです。
だから、地上部のみをいくら抜いても、また何度も何度も復活してくる訳なのです。
しかも、地下茎(根)は年々成長し、太くなっていくので、立ち上がるツルも年を追うごとに勢いを増していきます。 

しかし、もう一方のほうは、だんだん元気がなくなってきました。
 
以上ですが、如何でしょうか?

正直まだまだ実験段階ですが、このやり方はすごいと思います。
最初は半信半疑でしたが、見事に結果も出てきました。

この後、枯れていった地下茎がどこまで絶えていくのか、
様子を見守っていきたいと思います。


今まで「厄介な雑草」として目の敵にされてきたヤブガラシですが、ただツルをくるくると巻きつけ地面に置くだけで、退治できれば本当に画期的な方法だと思います。

たまに、地面に置いたくるくる巻いたヤブガラシの脇芽が立ち上がり、再びツルが伸びることがあります。
そんな時は、再度くるくるしてあげると、勢いがなくなってくると思います。

水脈、気脈、風の剪定、風の草刈に続く、またしても地球の庭師、矢野智徳さんの手法。
本当に驚きました。

矢野さんの講座は、全国各地で随時開かれていますので、是非チェックしてみて下さい。

https://www.facebook.com/events/635542419944766/



この矢野さんのやり方は、自然の力を強引に制圧したり、排除するのではありません。
うまく草の勢いを受け流し、力をいなしていく。
日本には建築や武道の世界でも、力をまとも正面から受けずに、力を削ぐ、という方法がありました。
植物の世界でも同じようなことが言えるのかと思います。

今回のブログのタイトルも「ヤブガラシを駆除」と書きましたが、
駆除や撃退というのは、ちょっと乱暴な言い方です。
役目を終えてもらう、というほうが合っているのかもしれません。

ヤブガラシの役目が終われば、また違った草が生えてきます。
しかしそれは、大地の再生が次の段階(レベル)に入ったということ。
次にその土地にとって必要な草が生えてくるというわけです。
自然にとって無駄なものは一つもありません。
すべては、自然からのメッセージ、何かしらの意味を持って存在しています。
そんなことを理解している人は、雑草なんて言い方はしません。
生えてくる草を受け入れることができれば、
人と自然とが本当にうまく共存できるようになるのだとと思います・・・。

なぜこの草が生えてきたのか、なぜ生えているのか。
大雨の時も土壌が流されずに持ちこたえてくれるのは、草や樹木の根っこのおかげです。

そんな草の働き、意味も理解していきたいですね。












こんにちは、押田です。先週からよく雨が降ります。お盆明けからこの時期、これだけ雨が続くのもあまり記憶にありません。


「なぜ、庭をつくるのか?」

造園家の間でよく、議論される問いかけです。


造園家はストイックな方が多く、それぞれの方が自問自答しながら、そしてこの答えを探しながら庭づくりに一生涯を捧げます。


「なぜ、庭をつくるのか?」とても難しい問いかけです。


しかしながら、最近自分の中で答えが見えてきた気がしました。


先週の大雨の中、施工した深谷市K宅の庭づくりの様子をご紹介します。




9月9日、着工2日目。

台風の影響でかなり激しい雨でした。

こんな日にわざわざ仕事をすることもないのですが、このK宅の雨水の動きを確かめたかったため、

この日現場に向かいました。




施工前のK宅。

30代の夫婦に幼い子供が2人。

完成したばかりの新居は、地元でも有名な一般的な住宅メーカーの施工です。




前庭の面積は7m×14mほど。駐車スペースを2台とると、庭のスペースは7m×7mほど。

施工金額は(あまり詳しい金額は公表できませんが・・)、50万~100万円。

都市部の住宅地と比べると、広い庭かもしれませんが、埼玉県北部では一般的な広さかもしれません。


ここのご主人は、私の施工した庭やHPを見てのご依頼でした。


*木々に囲まれて暮らしたい。

*庭でバーベキューがしたい。

*木にハンモックをかけて寝るのが夢・・・。


打ち合わせ時、庭への思いを語るアウトドア思考のご主人、僕もお話をしながらとても共感しました。


工事を開始し、すぐに木を植えたいところですが、大きな問題がありました。

水脈の問題です。




元々はおそらく畑だったのでしょうか。

写真左側は土。

右側は玄関前、そこに砕石が盛ってありました。

ここは雨が降ると、とても土がぬかってしまう。もうぐちゃぐちゃです。

住宅施工会社も、苦肉の策で、砕石を敷いたのでしょうか。




このスペースに普段はご主人と、奥さんの車を横に2台置いています。

雨が降ると、こんな状態。何とかしたいと思います。

早く木を植えたい気持ちを抑えつつ、どうすれば良いのかを考えます。


こんな場所、一般的な改善できるか方法は、土が乾いた頃、5cmほど土を漉きとって、砕石を敷く。

おそらく一時的に改善はできるでしょう。

でも、根本的な原因は何か?






私が考えるに、ここの原因は、水脈の詰まりです。


建物際などから流れてきた水が、このコンクリートの側溝の厚い壁で、ブロックしてしまう。

水の逃げ場がないということです。




これは一般的な住宅で見られる雨水枡。





蓋を開けてみると、屋根から降りてきた水がここに集まり、土の下に少し浸透し、溢れた水が、塩ビ管を通って、流れていきます。




この水の終着地点です。先程の、道路の脇、コンクリート側溝の横でした。

少し深い穴が掘ってありましたが、おそらくこの水もコンクリート側溝の厚い壁で水の逃げ場を失っています。




ここは、このコンクリート側溝と、ネットフェンスの土台の化粧ブロックと、そのコンクリート基礎。

地形的にも、角の電柱付近に水が集まり、逃げ場を失っているようです。


もうこうなったら、コンクリート側溝に穴を開けさせてもらうしかありません。

そして、水を逃がしてあげるしかありません。

そして、本来の水脈を少しでも取り戻してあげたいものです。


この道路の反対側は、大きなお寺があり、大きな大木が何本も。しかも比較的樹勢は良好です。

大きな木があるということは、大きく深い根があるということ。


樹木の根っこはたくさんの雨水を吸います。その力はコンクリート側溝のレベルではありません。

この道路の下、きっと、大きな樹木の根っこも侵入していることと推測します。

つまり、道路を挟んで、お寺側とこちらの建物側、地下深くの水脈は繋がっているということなんです。


平面的ではなく、立体的な視点が持てたのは、大地の再生の矢野智徳さんの水脈、気脈の考え方を知ったからです。




この敷地の角地、電柱付近を掘ってみます。






駐車場から、庭の方向へも水脈の溝を掘ります。




コンクリート側溝の横を掘ると、すぐに水が溜まります。

できるだけ深く掘り、水が抜けるポイント、隣のお寺の水脈と繋がるようになるところまで掘り進めます。




コンクリート側溝の際も掘ってみます。厚いコンクリートの壁がありました。




こんなに大雨なのに、掘った土は乾いています。

つまり、水が全く浸透していないということ。水脈が詰まっている証拠です。




コンクリート側溝に少し穴を開けさせてもらって、透水管を通します。

この土地から出たコンクリガラや石ころはここで使用します。


通気改善、土壌改良の効果が高い竹炭も混ぜていきます。





そして、乾燥した木の枝も投入。

透水管を入れて、砕石を戻すだけでは、一般的な現代土木のやり方と変わりありません。

透水管と砕石だけでは、いずれ詰まってしまいます。


炭をいれ、木の枝を敷いていく。

最終的には、この付近に木や草の根っこの侵入を促します。

樹木の根は、よく樹冠の下(横に伸びる枝葉の先端付近)くらいしかないといわれますが、実はそうではありません。

樹木の根は、横へ横へとどんどん伸びていきます。

これから庭に植える樹木の根がこの透水管付近に侵入し、この根っこが雨水を吸い、永続的な水脈を作っていく。

気の遠くなるような話ですが、現在の私の考えでは、これで良いのかと考えています。






翌、10日も雨が降りましたが、なんとか水脈を仕上げ、9月11日。

ようやく天気も回復、駐車場も水が完全に抜けていました。

朝イチから、トラックで入っても全然問題なし。

滞っていた水が動き出したようです。


大雨の中の過酷な水脈改善作業も成果が出たようです。




ここでようやく植栽作業に入ります。

まずは1本目のシラカシ。


ここの土は悪くはありません。

表土の数十センチは造成した残土がありましたが、その下は既存の畑土。

できるだけ深く掘り返しながら、硬くなった土をほぐします。





堆肥や竹炭、タテヤマユーキなど、いつもの土壌改良材を投入しながら、土壌を再生させていきます。

土が悪いからといって、良い土に入れ替えても、その残土はどこにも行き場がありません。

やはり、そこにあるものを使う、あるものを再生させていくということが重要だと思います。




重機でも穴を掘りのが大変なほど、土は硬くなっていました。

この黄色のユンボ(重機)が1.2トン。写真にはありませんでしたが、2.2トンのユンボで穴を深く掘り、土を耕しました。





樹木がほぼ植え終わりました。

次はまた、水脈、気脈の改善です。


大地から突き出た竹筒は、コナラの鉢の下まで通っています。

この竹から、地上の空気と水がコナラの根っこの下の方まで行き渡ります。

樹木医さんもよく行う、樹木の生育を良くする方法です。


植栽地に沿って水脈の溝を掘っていきます。

穴を掘ったら、炭を入れて、途中2mおきくらいに縦穴を掘ります。






縦穴は50~60cmくらい掘りました。

平面だけでなく縦方向に穴をあけることで、空気と水の流れが立体的に動く。

もちろん、ここでも水が抜ける。

植物にとって、土中の空気と水の流れを停滞させずに、良好にすることはとても大切です。

これは、根の生育、そしてもちろん樹木が元気に育つには欠かせないものなのです。







こんな穴です。

ここに竹炭や、枯れ枝を縦方向に入れ、




最後に、枝葉を入れます。

穴の下部は荒い枝、上に行くにしたがい、細かい枝葉に。

この枝は、ここで剪定したもの。

これは、切りたてなので、完熟するにつれ、ガスが出ます。

枝葉を野積みしていると、よく煙が出ていることがありますが、このガスです。

こういった生の枝は、根の近くではないほうが良さそうです。

しかしながら、ここで剪定した枝も使ってしまう。

矢野さんや、高田造園さんのやり方を見て、自分もやってみました。




そして、水脈の溝は竹炭を入れ、枯れ木の枝を流していきます。

竹炭をよく使いますが、これがいいんです。

日本人は昔から、竹炭や木炭をつくり、畑にまいたり、除湿をするため、床下に敷いたりしてきました。


保水性、通気性、透水性などを高め、土壌改良材としても、堆肥とともに、最高のものだと思います。

しかし、なかなか手に入りません。

なぜか?

おそらく、需要がないためだと思います。

もっともっと多くの方が炭を使えば、お求めやすくなるのだと思います。

そして、日本中の荒れた竹林や、材木も多少ではあっても使用するようになることと思います。


ちなみにうちの場合は、自社で竹炭を作っています。




最後は、木材のチップを入れ、植栽地の水脈が完成です。

普通はこんな手間がかかること、やらないと思います。

時間もかかるし、お金もかかる。

自分も以前はここまではやりませんでした。


大雨の中の、水脈工事から始まり、土壌改良、そして、植栽地周りの水脈づくり。

なぜ、ここまでやる必要があるのか?


答えは、「樹木が元気に育つ」からです。

現代の一般的な造成された宅地は、ほとんど全てといっていいほど、水脈、気脈が詰まっています。

道路の周りはコンクリートの側溝があり、隣地との境も、コンクリートブロック、コンクリート基礎。

もちろん建物もコンクリートの基礎。

よく考えると家の周りは、コンクリートだらけです。


川の堤防もコンクリート、海の堤防ももちろんコンクリート。

コンクリートの良さももちろんありますが、自然の力をコンクリートでは操作できないし、もちろん制圧できません。


コンクリートの長所でもあり欠点は、空気と水を通さないということです。


例えていうならば、盆栽の鉢。

土が原料の素焼きの鉢ならば、空気と水が適度に抜ける、鉢が呼吸をしている訳です。

しかし、空気と水を通さない、プラスチック製の鉢ならば、安くて扱いやすい利点もあるが、根の周りは空気が通らない。呼吸ができない。

植木鉢なので下穴が開いているため、生育はするが、素焼きの鉢のほうが断然生育が良い。


単純に、樹木が健康に生育するためには、空気と水の流れを良好にすることが、とても大事なことなのです。

また、樹木が健康に育つということは、もちろん倒木もしないし、害虫もほとんど発生しないため、消毒もしない。植栽管理も無農薬!




さて、植栽工事も仕上げにはいります。

今回、この庭の中とアプローチが重なっています。

この木々の中を通って、玄関へと向かう仕組み。

毎日この中を歩く、ということになります。


これはとても気持ちが良いのですが、人が歩くことによって、

土が踏み固められる、という欠点もあります。

土が硬くなれば、もちろん水脈、気脈が詰まり樹木の生育も悪くなります。


そこで、今回、枯れ枝を一面に敷くことにしました。

特に踏まれたくない2本の大きなコナラの周りは、枝も多めに敷いてみました。




仕上げは、山砂。

水もはけるので、よく使用しています。




どうしても山砂だけだと、やはり地面が硬くなるので、 落ち葉や枯れ枝を混ぜてみました。

これにより、山砂の間に隙間ができ、枯れ枝が地面のクッションのような役割を果たす。

根の生育を考えた、苦肉の策です!






植栽地の仕上げは、こちらも落ち葉や枯れ枝を敷く。

これがとても良い。

利点は3つ。


まず、土壌の乾燥を防ぐ。

次に、草の発生も防ぐ。

そして、土壌に良い。

よく考えると、雑木林の中や森に行くと、地面はこんな状態だと思う。

この中にはたくさんの生き物がいて、土壌もふかふかだ。


今は、ここには生き物はいないが、この状態を目指す。





地面も仕上がりました。

歩くと、枝を踏む音がして、心地よい。なんだか、森の中を歩いているようだ。

山の砂と、落ち葉や枯れ枝を混ぜている訳なので、合わないわけがない。


ここもいずれは、生き物が生息し、土の香りがするようになればいいな、と。

自然の中で遊ぶことが少なくなった今の小さい子供たちにも、森の中を歩く感覚を是非、体感してほしいと思う。

自分もこんなところを裸足で歩いてみたい!と思ってしまいました。





最後に枕木のポストを設置し、完成です。





植栽のメインは大きなコナラが2本。山桜が1本。

あとは、外周の植栽。南面のみ、焼き板仕上げの木柵もつくりました。






駐車場を2台分、そこから、アプローチ。

木立の中を歩きながら、エントランスへ向かう。




歩くと、少しやわらかくとても気持ち良い。




茶色の箱は「落ち葉ストック」

落ち葉はストックし、ここで堆肥化させる。


この庭は、いずれは、地面をデッキにすることを提案しました。

やはりどうしても毎日同じ場所の木の根を踏まれることは、あまり良くはありません。

庭全体をデッキにすることで、そこが改善されます。





自然の中には無駄なものなんてありません。

全てが土に還り、そして循環をする。

そんな当たり前のことも今では忘れ去られてしまいそうです。


なぜ、庭をつくるのか?


現代の限られた住宅環境をいかに心地よい住まいにできるか。

今、そこにある自然環境をどれだけ再生することができるか。

そして、子供たちの未来をどれだけ豊かなものにできるか。


木を植え、水脈、気脈を良好にしていく。

見せかけではない、本物の自然環境をどれだけ再生できるか。


自然の摂理に従い、植栽を行えば結果的に景観も美しくなるもの。

やはり、人間の生活は自然の中で生活してこそ豊かなものになります。


奥に見える、大きな木々とこちらの木々。

これらが繋がった時、この土地の水脈や気脈も再生されるように思います。


僕が庭を作る意味というのが、今回の現場で少しわかった気がしました。

木の下でハンモック、僕もやってみたいですね!















こんばんは、押田です。久しぶりのブログ更新です!

「大地の再生講座」でお馴染みの、矢野智徳さんの「風の剪定」。

かっこいい名前です。



こちらは、うちの会社で植栽管理をしている、とあるお宅。大きなお宅です。

左は街路樹でもよく見られるトウカエデ。右はヤマザクラでしょうか。

枝が伸びてきたので、剪定をすることになりました。曇り空が続く、8月21日のことです。


街路樹の剪定であれば、このトウカエデ、高さを3分の1とか、ひどい時には半分位にしてしまうことだと思います。


これを、矢野智徳式「風の剪定」で行ったら、どういう風になるか?




昨年の夏が終わる頃、千葉の高田造園さんに「矢野さんというすごい人がいる!」

と紹介され、私もここ1年くらいは、矢野智徳さんの自然や樹木に対する考え方を少しずつ学んできました。

矢野さんの考え方は、造園家の専門雑誌、「庭NIWA」誌や、高田造園さんのブログ等を読めば、

詳しく書いてあります。僕も何回かブログで書いたでしょうか。


矢野さんは矢野さんで以前から地道な活動をされていた訳ですが、

僕も含め、今や全国各地の造園家たちも矢野さんの「凄さ」に気づき始めました。






では、「風の剪定」とは、何か?



例えば、この「シイガシ」。

伸びている枝を例に解説します。


まず、この枝を上下に「揺らしてみる」。

上下や左右に枝は揺れると思います。


一番大きく揺れるポイント(枝が折れ曲がるポイント)、揺れる点を見つける。




そこを切る。この枝では、2箇所が大きく揺れました。


また、枝を揺らしてみると、変な方向に揺れる枝、遅れて揺れる枝、など、揺れ方にもいろいろあることに気付きます。


これがいわゆる、「徒長枝」や「立ち枝、逆さ枝、絡み枝」などです。

剪定の本を見れば書いてあると思います。

やはり、教科書通り、そのような枝はいりません。付け根から剪定します。

この枝にはほとんどありませんでしたが。




もう一度揺らし、大きく揺れる枝を見つける。

おそらく、枝先の長い枝が大きく揺れると思います。

そこも揺れるポイントで剪定する。


また、枝の密度が濃い場合は、枝数を減らし、枝を透かします。

すると、このような感じになります。


こうなると、枝を揺らしても大きく揺れる枝はありません。

すべての枝が、揺らした方向に力が均一にかかるようになります。

(なかなか言葉では伝わりにくいと思いますが・・・)




まとめると、

「風の剪定」とは、

①枝を揺らしてみて、揺れるポイントで切る。

②揺れ方が変な枝、遅れて揺れる枝、などを切る

③枝の密度が濃いところは、枝を透かす。

枝を揺らしてみて、均一に力がかかるようになればOKです。


しかし、これは、植木屋さんが言ういわゆる「本(ほん)手入れ」というものだと思います。

今まで植木屋さんがやっていた丁寧な手入れのやり方とあまり変わりはありません。


しかし、植木の手入れというのは、どうしても見た目や形にこだわってしまいます。

剪定する輪郭を丸くしたり、枝の太いところで切ってしまったり。


枝を揺らすと、そのポイントがよくわかります。

人の目線から、樹木の目線に立つことなのだと思います。


この、枝が揺れるポイントというのが、いわゆる風が吹いた時に、枝がなびく(揺れる)ポイントです。

台風の後、道路に街路樹の枝が落ちている光景を見たことがあると思いますが、

その風が枝を折るポイントを、枝を揺らして探し、剪定をする、という仕組みなのです。


自然が行うことは全てにおいて意味を持っていると言われています。

それが台風であっても、同じことです。

風が剪定をしてくれている訳です。

だから山の稜線を見れば、突出した枝はありません。

風が枝を落とし、なだらかな流線形になっていることと思います。





そんなことを踏まえて、最初のトウカエデを剪定してみました。



なかなかきれいになりました!

枝の透かし具合は、いろいろ意見が分かれるところですが、ここはお客さんの意見も踏まえての剪定ですのでご了承ください。


長い枝を揺らしてみては、揺れるポイントで切る。

また、絡んでいる枝、逆さ枝、立枝などを整理しながら剪定し、

全体的に密度の濃い箇所の枝を切る。


「剪定とは・・・風と光を通すこと」

矢野さんの名言です。

剪定した木を見て、「気持ちよさそうだ、さっぱりした!」と感じるのであれば、それでOKです。

やはり人の五感や感じ方、第一印象はとても大切です。


どうしても人の都合で剪定をすることは多いと思います。

建物にぶつかる。歩行者の邪魔になる・・・。

これをいわゆる支障枝(ししょうえだ)といいますが、これは人が生活する上で仕方ありません。


しかし、支障枝を剪定したその分の枝葉の量を、別の枝に確保してあげたいものです。

植物は、葉っぱがないと光合成できません。




話は変わりますが、街路樹が倒れた、

などというニュースをたまに耳にしますが、

街路樹が倒れる原因というのは3つあります。


一つ目は、土壌環境によるもの。

例えば、土が悪い、植樹帯が異常に狭いなど、植えられている環境が健全でないと、樹木は当然倒れやすくなります。


二つ目は、過度の剪定です。いわゆる、切りすぎです。ここがポイントなのです。

よく、街路樹が倒れないようにするために、枝を極端に短く切ることが多いように思いますが、これが間違いなのです。


短く切りすぎるから、樹木は樹勢を落とします。


生きるために葉を茂らせ、太陽のエネルギーをもらっていたものが、

例えば真夏に枝を短く切られ、丸坊主にされてしまっては、それは生きる気力が落ちてしまいます。

当たり前のことです。



そして3つ目は、想定外の天候。さすがにいくら健全な樹木でも竜巻級の天候では太刀打ちできないでしょう。




根が健全に張っていないのであれば(ほとんどの街路樹はそうだと思いますが)、やはり適度に剪定をして、バランスを取ってあげなければいけません。


倒れない程度に枝を透かし、風が通るようにしてあげる。適切な剪定は、根っこも安定します。

過度の剪定(切りすぎ)は、根も健康を害します。

風と光を通す。

適切な剪定をすることで倒木のリスクはかなり減ってくると思います。


また、土壌環境が悪ければ、改善するしかありません。

改善する方法はやはり、「空気と水」がポイントになります。

土中に空気と水を通し、根に新鮮な酸素や水を送り込む。



人間も同じですが、呼吸ができないと樹木も死んでしまいます。


人も口呼吸より、腹式呼吸。

新鮮な空気を体内に送り込む。

深呼吸の大切さは私が言うまでもないと思います。

また、水を飲むこと。当たり前ですよね。

そして太陽の光を浴びる。これも大事。


空気と水、そして光。

樹木や植物においても全く同じことが言えるわけです。



一つの例を紹介します。







これは、とあるお客さんのお宅の黒松。

「何か黒松が変なんだけど・・・」

お客さんから電話が入り、様子を見に行きました。今年の3月20日です。





「これはひどい・・」

この松は数年前から、度々葉が茶色になることがありましたが、今年はかなりひどい状態でした。

正直手遅れになるかも・・・と思いましたが、やはり何とかしなくては。



この黒松が植えてあったところは、庭石がいくつか置いてあり、根の半分位は土がないような状態でした。それに手入れの度に根を踏まれ、土は硬くなっている・・・。


私の見た限り、土壌環境の悪さが原因です。


これを改善するには、


今年覚えた、水圧式樹勢回復方式を実施してみました。





これは、狭山市広瀬神社の大ケヤキ。樹齢は800年とも言われています。


今年の2月、ここで樹木医さんによる、樹勢回復作業の講習会がありました。






専用の機械を使い、作業を行いました。






いくつもの細い穴を開けました。








今回の黒松、このやり方を実践してみました。




消毒用の動墳に専用のノヅルを繋げ、地中深く(1mくらい)何箇所も細い穴を開けます。

ホースからは土壌を団粒化させるEBーAという液体と、植物活力液HB101を薄めて、穴の中に流し込みます。


ここの土は盛り土のようで、穴は容易に開きました。砕石などがあるわけではなさそうです。

ただ松の根はとても苦しそうで、まさに通気不良、といったところ。

松の根っこに新鮮な空気と水が行き届くように何箇所もノズルを突き刺します。


この穴はそのままにし、雨が降れば、穴の中に水が浸透していきます。

空気と水が穴の中に入り、根に行き渡る。

この穴に堆肥を入れてもいいのですが、とりあえずこれで様子を見ることにしました。





なかなか様子を見に行けないまま、8月になってしまいました・・・。


恐る恐る、黒松を見に行くと、








おおっ!見事に復活していました!

元気に新芽が伸びていたようです。




これで枯れていたら、どうしよう・・・

不安な気持ちもありましたが、しっかりと空気と水が根に行き届いたのでしょうか。


黒松はとても元気な姿を見せてくれました!


風の剪定の話とは脱線してしまいましたが、この続きは次回ということで!






連日の猛暑の中の久しぶりの雨、押田です。

あるお客さん宅の裏庭。

93歳のおばあちゃんの夢を叶えるための工事の記録です。






なんの変哲もないため池。

元々、このあたりは常に水っぽい土地だったようで、雨が降るといつまでも水が抜けない、なかなか乾かない土地だったようです。

このお宅の前庭は8年前に植栽工事をやらせていただき、それからのお付き合いです。


1年以上前に、このお宅で「もしかしたら水が溜まるかも知れない、試しに穴を掘ってみよう、」

ということになったそうです。

重機で穴を掘ってみたところ(私ではありませんが)、水が湧きだし、溜まりました。


梅雨時期は水かさが増え、夏場や冬場は水位が減ったりしましたが、1年を通して、水がなくなることはなかったそうです。







すぐ上はお寺があります。

元々は保育園があったらしいのですが、それが移転し、何もなくなりました。

そのときはもっと樹木があったらしいのですが、今はとても殺風景です。


この地域は水脈に恵まれ、以前は幾本か小川や沼があったそうです。

しかし小川が埋め立てられ、周りはコンクリートで囲われ、付近の道路や建物の地盤が上がり、水の逃げ場所がなくなりました。


現代では、「よくあること」なのですが、水の流れを無視した現代土木。

すぐ横にコンクリートの側溝があり、チョロチョロと水が流れている状態です。

結局、水がはけきらないから常に水が溜まってしまう訳です。


このお宅には、93歳のおばあちゃんがいます。

「ここに蓮の花を咲かせたい」

「ここのお寺に来た人にも、きれいな景色を見せてあげたい」


長く放置されていたこの土地に蓮の花を咲かせることが、

おばあちゃんの長年の夢だったということを聞きました。


「何とかおばあちゃんの夢を叶えたい!」

このお話を聞いたのが、昨年の暮れだったでしょうか。





5月になり、工事を始めました。

池の形が長方形では不自然なので、思いつくままに重機で造成をしてみました。



なんとなく池の形が出来ました。

次は水脈の整備です。水の出入りを何とかしなければいけません。これがとても大事なことです。


僕の推測では、奥の山から湧き出た水が、地下水を通じてこちらで湧き出し、その後利根川に向かって流れていくように思いました(間違っていたらすいません)。




この池の奥の畑も常に土が湿り、水が溜まるような畑ということです。

地形的にも高い方から、水の逃げ場を作るため、奥からこの池に向かって水脈をつくります。




池の奥からの写真。重機で溝を掘りました。下は粘土の層でした。




透水管を入れ、竹炭、木の枝、コンクリガラなどを混ぜます。

大地の再生講座の矢野智徳式のやり方です。




埋め戻した状態。


次は手前の水脈整備。

この池の水を次にどこかに逃がさなければいけません。


手前に新しいコンクリートの側溝があるのですが、設置した高さが高すぎて、全然機能していません。

水を足したりしながら、数日間水位の様子を見てみました。

そして、この側溝より池の水位の方が低いことが判明しました。まるで機能していない側溝です。


この側溝は、大雨の時、極端に水位が上がった時の予備のものとして考えることにしました。




写真の左側にもう一本の側溝がありました。既存の側溝です。草で隠れてよく見えませんが・・・。

こちらは高さも右の側溝よりも低く、お寺の方からの集落の水が流れています。

こちらは機能しています。


この水脈整備、何が正解なのか、本当に難しい。

本当はコンクリートの側溝に頼りたくないが、素掘りのものも限界がある・・。

とても悩みましたが、機能していない新しい右の側溝の下に透水管を通して、左の側溝に水脈を繋げることにしました。


手前に再び溝を掘ります。




左の側溝に2本の水脈を繋げながら、手前にも新たな水脈をつくり、水脈をいくつかに分散することにします。



素掘りの溝の途中に深い穴をいくつか掘り、水の逃げ道をさらに分散させます。

機能している方の側溝に2本、透水管を通しました。


同じように、木の枝、竹炭、コンクリガラなどを混ぜながら、埋め戻していきます。


一般的に土木工事では、塩ビの穴あきパイプを使いますが、すぐに詰まってしまいます。

矢野智徳さんのやり方は、有機物と無機物をバランスよく混ぜ、永続的な水脈をつくる方法です。




この水脈工事を始める前日、

家の片隅にある、残材を発見しました。


玉石や三波石、コンクリガラ、間知ブロック、残土、雑草やら・・・。

見る人が見れば、ただのゴミですが、

これも利用してみよう!ということなりました。

お客さんも、ここが片付けば、車が停められる!


「そこにあるものを使う」

矢野さんもよく言われますが、造園工事とはいかにあるものを使うか、

僕自身もそんな考えが浸透してきたように思います。


コンクリートガラは細かく砕いて、先程の水脈で使いました。




水脈の整備が終わり、再び造成、池の形も、ひょうたんっぽい形に。


再び池に水を足してみたりしながら、数日様子を見ました。

以前は停滞していた池の水でしたが、少しずつですが水が動き始めたことを確認!





次は植栽です。

ヤマボウシ、コナラ、トネリコ・・・。

雑木類を植え込みます。




この土地は水はけが悪いことを忘れてはいけません。

木々を植えながら、竹筒を植木の根鉢の下深くまで差し込み、空気と水の流れを良好にしていきます。




植栽作業の途中、注文していた「蓮」が届いたとの連絡がありました。

急いで取りに行き、今度は念願の蓮を植えます。







いくつかの種類を混ぜ、10数株蓮を植え込みました。

この池、下の土は柔らかく、田んぼのような状態。いわゆる荒木田でしょうか。

深さは50~60cmくらい、ズブズブと足が沈んでいく感じです。


「おお、蓮が植えられましたね!」

悲願の蓮が植えられ、おばあちゃんもとても喜んでいました。


しかし、本当に咲いてくれるのか?しっかりと活着するのか?祈るような思いです。



残材の中にあった、間知ブロック。

これは池の護岸に使用しました。


この頃になると、カエル、アメンボなど、不思議と生き物が住み始めました。

これならと、直売所でメダカを購入して池の中に。

まさにビオトープですね。


今回の工事は、とにかく蓮を植えて咲かせること、そして全体的に景色が良くなるように、池の周囲の雰囲気を出すこと。

細かいところは、ほぼノープランでしたが、生き物が住み着き、何となく形が見えた気がしました。




間知ブロックの次は、玉石です。出してみるとけっこうな量がありました。

こちらも池の土留めに使用してみます。





土留だけでは、余ってしまうことが判明。

玉石の延べ段風に、上を歩けるようにしました。




三波石の平板も延べ段として使い、土留めの作業も終了。


植栽の仕上げ、といきたいところでしたが、ここでまた一つ課題が。


この時期、雨がよく降っていましたが、数日感晴れが続くと、水が蒸発するため、水位が下がります。

池の横に井戸を掘っていたので、お客さんがそこからホースで水を足していました。


本当だったら、池の上流付近から水を足したいよね・・・。

だったら、なんか竹を使って流れてくるような、流しそうめん的な・・・。


お客さんとの雑談からアイデアが出て、形になることがよくあります。



そこで、井戸水を引き、植栽の築山部分から水が湧いている感じにすることに。

植栽で余った、竹筒を二つに割って、池に水が落ちる仕組みにしました。




おお、水が出た!

いい感じです。


ここの奥さんが山形出身だということで、築山付近に鳥海石を数石置きました。

鳥海山のふもと付近から湧き出る水が埼玉の里の池に流れ出る、みたいなイメージ。

遠く山形と埼玉が繋がった瞬間でした。


水が落ちることで、池に酸素が入ります。

メダカたちも喜んでいることでしょう。

この後、メダカの好きなホテイソウも投入。


この数週間後には、メダカはたくさんの卵を産み、メダカの子供がたくさん生まれていました。

きっとメダカたちにも良い環境が整ってきたと思います。






さあ、この池の完成も近くなってきました!






植栽も仕上げに入ります。

水辺が好きな花菖蒲やカキツバタを植え、植栽地の表土に落ち葉を敷きます。

たまに降る雨が玉石をきれいにしてくれました。


池の中にも大きな石を沈め、飛び石にしようとしましたが、この付近で水が湧いていることがわかり、辞めました。環境第一です。


最後に余った石材は、側溝の横に積み上げました。ここから水が抜けていきます。

残材もすべて使い切りました!




ということで、工事はほぼ終了です。この時6月10日。

あとは、しっかりと蓮が咲いてくれるかどうか!経過を見守ります。




6月18日。池の様子を見に行きました。うっすらと草が生えてきました。




蓮の葉も少し増えましたが、花はまだのようです。本当に咲いてくれるのか?

早く花芽が出てきてほしいです。



6月27日。

梅雨も真っ只中、久しぶりに池の様子を見に行きました。

蓮の葉もかなり増えて、まさに蓮池です。


草も伸び始め、より自然な雰囲気になりました。




おぉ!!

花芽があるではありませんか!

花芽の第一号でした。やりました、うれしかったです。




6月30日。そろそろ咲いたか?再び花の様子を見に行きます。

この頃一気にハスの葉が増えてきました。

一面が蓮、蓮、蓮。しかし、まだ咲いていませんでした。



7月1日、夕方。

そろそろ咲くだろう。それとも咲いたのか?

花が開いたところが見たくて、仕事の合間を見つけ、現場に向かいました。


しかし、なかなか見れない。

この頃、あちこちにつぼみが出始めていました。




7月3日、「蓮が咲いてるよ!」

お客さんから連絡が入り、午後3時過ぎ、見に行きました。

でも閉じていました~


蓮は朝に咲く、といいますが、午後や夕方になると花を閉じてしまいます。

やはり午後はダメですね。

しかも、花ガラが下に落ちていました。もうこうなると、花も終わりに近いようです。

見れなかった~。


この後、現場の仕事が忙しくなり、なかなか池には行けませんでした。

多少の雨でも現場仕事はできるため、相当な雨でないと休みにはなりません。


























そして・・・



本日7月16日、ようやく見れた蓮の花!

台風の影響か大雨で現場の仕事が中止になりました。

透き通るような花の色。

あらゆる植物の中でもこの花の美しさは、次元が違うように思います。






花もあちこちに見られるようになりました。

周りの草も伸びてきました。

以前からあるような、そんな蓮池が完成しました。

ほんの2ヶ月あまり、これだけ自然が再生できるのですね!

自分自身でも驚きです。


今回の雨は、梅雨明け前の最後の雨でしょうか。

ようやく見れた蓮の花に感慨無量です。


ここのおばあちゃんの喜ぶ顔が見に浮かびます。

工事終盤の時に、おばあちゃんが言った言葉が忘れられません。


「蓮が見たい、蓮が見たい、とずっと思っていたんです。」

「そしたら、こんな立派な蓮の池ができました。ずっと思っていれば、願いが叶うものなんですね~」


工事も終了間近、とても嬉しい瞬間でした。


「若い時は苦労もしましたが、私は今が一番幸せです。」 

93歳のおばあちゃんの言葉でした。末永くお元気で・・・。









こんばんは、押田です。梅雨真っ只中、今週の25日(木)、26日(金)の2日間、「自然再生士」という講習会に参加しました。






場所は代々木にある、国立オリンピック記念青少年総合センター。

4階の会場の窓からは、新宿の高層ビル群が。





こちらは反対側のトイレからの景色。

なんか涼しい風が吹いてくるなぁと思えば、都心とは思えないこの景色。




すぐ横は明治神宮がありました。


今回、「自然再生士」という講習でしたが、会場は300名、満員でした。

しかも、特別認定講習会ということで、早い段階で締め切りとなったようです。


自然を再生するための計画、施工。

そして植物、野鳥、昆虫など様々な角度からの講義が2日間ぎっしり。


7名の講師が講義を行いましたが、やはり東京農業大学名誉教授の進士 五十八先生の講義が面白かった。

進士先生は国立のサクラの問題でも、我々の活動に署名をしていただきましたが、進士先生の話は本当に面白い。六本木ヒルズの屋上に田んぼを作ってしまう発想、とても広く大きな視野を持った方です。


進士先生の考えをまとめると・・。


もともと日本庭園は「美しいビオトープ」だということ。

例えば、有名な京都 竜安寺の石庭。

世間では、竜安寺といえば石庭しか思い浮かばないが、実は竜安寺の広大な敷地には、大きな池があり、生態系豊かな森がある。数え切れない程の昆虫もいる。

また、日本庭園でよく見られる、洲浜や石垣も生き物の住処となっており、見た目の美しさと共に生物の多様性があった。


他にも、都市と農地、園芸とは福祉だ、食と農、環境を組み合わせること・・

など、とても書ききれない。


造園をやる人間はもともと自然を再生することを普通にやっていたはずだという進士先生。

しかしながら、現代はこれを忘れてしまってきている。

今後は、自然を再生するという考えのもとに、造園の仕事をしていってほしいという内容であった。

(私個人の記憶です。間違っていたらすいません。)






2日間連続の講習会ということで、新宿のカプセルホテルに宿をとりました。

久しぶりの新宿でしたが、歌舞伎町周辺、誘惑も多い。

おそらく看板が見えないという理由なのか、イチョウの街路樹も連続ではなく点々と・・。




新宿アルタの横にあるケヤキ。

新宿を歩いてみて思うのが、土の部分がとても少ないこと。

ほとんどが舗装道路や歩道。水が染み込まないものばかり。

コンクリート製の人工の排水設備だけでは厳しいだろう。

これではゲリラ豪雨で困るのも無理はない。


奥の太いケヤキは強剪定され、幹から無数の胴吹きが・・。とても苦しそうだ。


手前のケヤキも支柱の新しさから見ると、植えられてまだ数ヶ月か。

前の木は枯れてしまったのだろうか・・。


樹木の育ちやすい環境は人が住みやすい環境。

ここ新宿は歓楽街、繁華街なので極端な例かもしれませんが、街の中に樹木なんて必要ない、という風に感じる。

このような環境ではとても人が住める状態ではない。(住んでいる方には申し訳ないが・・。)

空気も悪い。





こちらは、埼玉県美里町。梅雨空の中の水田です。

とても良い景色であるが、生き物の気配がしない。


自然再生士の講習会の中でも、田んぼには、様々な生き物がいると言っていたが、現実はそうでもない。

農薬のおかげで除草は楽になったが、生き物が劇的に減ってしまった。

また、収穫時に虫が出てしまっては大変と、農薬に頼らざるを得ない状況。

職業として農家をやるのは、本当に厳しい時代になってしまった。




夕方になり、晴れ間が出た。

私は梅雨時期の、時より見せる晴れ間が大好きだ。

ここは私の自宅、雑木の庭。

蚊が少しいるが、とても気持ちがいい。


自然を再生しながら、安全で安心な食べ物をつくり、人々が暮らす。

今後、そんな環境づくりが益々大切になっていく、と確信した講習会でした。