2022年6月18日日本橋亭は『真景累ヶ淵』通し上演第二弾。
累の祟りもなく無事公演終了しました。
開口一番としてイントロダクションを林家彦三さん。
今回は発端の『宗悦殺し』を講談で。一龍齋貞橘先生。貞水御一門で男性は貞橘先生だけ!
貞水先生写しの結構なもの。「按摩で金貸しというだけで放送禁止」とは酷い時代になりました。
圓橘師匠最初の一席は、『お累の婚礼』。今回はお陰様で満員。有難うございます。
圓橘師は今回の会で「怪談だからこそ笑えるものにしたい」
というコンセプトで取り組みました。羽生村の長閑な光景に訪れる惨事。
惨事も未曽有の災害ではなく、人間関係のアヤから起きる、何處でも誰でも
当事者になる可能性を秘めています。
これぞ三遊亭というしっとりした端正な高座。
続く正雀師匠の一席目は『お累の自害』。
「ここはどうしても陰惨なので三味線を入れる」と正雀師。
これが正蔵師のやり方であったそうです。
この三味線が実に効果的で事件が手順よく進みます。
そして今回省いている『迷いの駕籠』の部分を見事にインサートしてくれました。
凄い編集力。最後がちょっと芝居がかりになるところがやはり林家式。
ここでお仲入り。今回は上演時間が長いのですが予定よりトントントンと進んでいます。
圓橘師匠二席目は『湯灌場』この場面だけを独立するとどうしても短くなると仰いますが、
短くとも甚蔵殺しの端緒となる重要な場面。湯灌という題材も中々惨事を予測させます。
正雀師匠の『聖天山』に渡します。圓生師は『聖天山』を滅多にやらなかったが、
正蔵師は好んで取り上げた。ここはドラマティックな場面で芝居っぽくなりやすいからでしょうか。
崖を降りていく時と、垣根を壊す擬音も迫力満点の一席となりました。
そして大サービス。「怪談の後は踊るもんだ!」という正蔵師匠のお言いつけ通りに、
奴さん(姐さんと奴さん)、これを歌右衛門の姐さんと正蔵の奴さんで踊ってくれました。
こりゃあ儲けものです。
ご来場に御礼申し上げます。このコンビで来年は『牡丹燈籠』
正雀師は道具入り!でお目に掛けます。お楽しみにお待ちください。