モンスター | Que amor con amor se paga

Que amor con amor se paga

映画・本などのネタバレメインのブログです
日常で気になったコトや動画も載せてます。



義足のランナー・オスカー・ピストリウスが、恋人と強盗と間違って射殺したという事件が
あり、その事件に刑事には殺人容疑、そして保釈、と、なんともドロドロの背景の、
一連の事件


ピストリウスの並ならぬ誤解されやすい不器用な人生を考えると、あの事件も
事故であって欲しいと思うんだな


この映画の主演のシャーリーズ・セロンも、ピストリウスと同じ、南アフリカ出身


アルコール依存症の父親に悩まされ、15歳の時に彼女に暴力を振るった父親を母親が
射殺

これが後に正当防衛として認められたという過去がある


…から南アフリカってこういう事もあるんだろうな、と


そんな彼女が、自分自身のぬぐいきれないトラウマから演じた役がこちら


すごいブスになって演じている


あの完璧な美貌にシミはつけるわ、すんごいデブになるわ、ハゲにもなったんじゃないだろうか・・・



いや

シャーリーズ・セロン、すごい美人だなぁと最初から思っていたのだけど、どうもこの人って
いつも目が笑ってないというか、目が暗いという印象があったのね


本音を語らない目の人だなぁって感じ

美人だけど信用ならない女性っているでしょ、それ


今回は、なんつーのか、自分の中にある、ドロドロしたものを、ぐわぁーっと
出し切って、良かったです


確かに、男性はこんなシャーリーズみたかねぇだろうけど


この役を演じなければ、彼女自身前に進めないコトはあったというのは事実なのだから


そんなワケで予告編こちら、あらすじいってみる





'86年 フロリダ

ヒッチハイクをしながら体を売る生活に絶望していたアイリーン(シャーリーズ・セロン)は死ぬことだけ
考えて生きていた

性的虐待を受けて育った彼女は、自分をいつか別の世界に連れ出してくれる『誰か』を常に求め
彷徨っていた

唯一の友人はベトナム戦争の退役軍人のトーマス(ブルース・ダーン)だけ

そんな時彼女は同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)と出逢い、社会からの疎外感を
感じていた二人は、どこか知らない土地で生きていこうと提案する

しかし先立つものがなく、アイリーンは金を稼ぐために再び客となる男を探した

アイリーンは、客の男の車に乗り込んだ途端、人里はなれた山奥に連れ去られ、幼い時の様に
暴力を振るわれる

そこから逃れるために、彼女は拳銃の引き金を引くわけなのだけど


映画を観ると


アイリーンは、愛情面で依存して、セルビーは金銭面で依存する


アイリーンはセルビーの存在こそが自分を変えてくれると信じて、
殺したくない相手も殺していくし、罪をかぶって殺人犯になる

セルビーは、自分の代わりに明日生きていける金を稼いでくれる相手が誰かさえいれば
それでいいわけで、アイリーンが体はって、人殺しになってまで稼いできた金を
友達と遊ぶのに使うばかりか、


アイリーンが役にたたなくなると判ったら平気で警察に突き出す


この映画では、くっきりと愛情と金銭の依存がわかれた二人がぶつかりあうけど、


実際に酷い女性ってのは、愛情も金銭も社会的立場も、あたかも相手が悪いかの様に
依存する



毒キノコみたいな人なんだろうなと


映画の中では、アイリーンが社会の底辺を見た人間としてかかれ、セルビーは
現実が見えない人間として描かれているのに対し、セルビーを引き取ったドナという
敬虔なカトリックの女性という世間一般の通念に近い女性も出てきます


まぁ、彼女の言葉はきついのだろうけど、この頃の米国人の中流家庭で
クリスチャンが持っている概念としては、ナゼか当たり前というのも怖いです

世の中から落ちこぼれものに対して手厳しい、特に自らの選択を間違えた
ものに対しては容赦しない

ドナの怒りってのは、ある意味『累犯障害者』が成長の過程で親と社会に
見捨てられていた事と似ている


それがアイリーンでありセルビーであるわけですね

映画の中ではアイリーンは職安にいくシーンがあるのですが、何も職がみつからない

そんな彼女にもドナは、きちんと働いていないからという


『プレシャス』『デザートフラワー』の様に人生の転機があれば
助かったというものはあるのだけど、アイリーンやセルビーにはない

転げ落ちて周りに迷惑をかける人生しか送れない



題名の『モンスター』は、アイリーンを指した言葉でもあるのだけど、
それと同時に、アイリーンは幼い頃に観覧車をモンスターと呼んでいたという
話が出てくる


大きくて一回でいいから乗ってみたいと憧れていた観覧車、でも乗ってみたら怖くなり、降りた後に吐いてしまった


あんなに憧れていた、大好きだったのに裏切られたもの全ては、彼女の人生の中で、
モンスターなのだと


そして彼女の人生の中で、観覧車の次にモンスターになったのは男性だった


気がつけば、彼女自身もそうなっていた…


観終わった後に、思ったのが、彼女らを死刑にすることで『モンスター』を
生み出す土壌の問題は何も解決してないということなのかもしれない










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