CAHIER DE CHOCOLAT -5ページ目

円卓騎士アヴァロン(Avalon, Knight of the Round Table)


「イギリス初のローカルヒーロー」、「アーサー王の伝説に基づくオリジナル特撮シリーズ」、「円卓騎士」と色々と気になって観てみたら、これがすごくおもしろかった! 昔テレビで観ていた特撮そのものな感じ(自分記憶比)で驚き。 YouTubeで公開されている動画は1本8〜15分くらいの長さなので、シーズン1の5エピソードを全部観ると1時間程度になる。アヴァロンのヒーロースーツは英国調モチーフが取り入れられた騎士っぽいデザインでかっこいい造形。ポーズや殺陣もかっこよくて、でも痛そうなのが苦手な私にも安心の特撮ヒーローもの。個人的には、敵の武器をさらっとうしろ手で止めるところは一瞬だけどめちゃくちゃいいと思った。メインの登場人物は、円卓騎士アヴァロン/竜巻龍司(マックス・エリス)と両親の死に残された謎を解き明かすために情報収集している秋根英司(トニー・シー)。なんともいい味のふたりがだんだん仲良しになっていくのが、観てて楽しかった。ヒーローとメインのキャラクターが男性2人というのはこれまで見たことなかったから、新鮮でもある。アヴァロンの変身前の姿がグレーのベスト&白シャツにメガネという、ヒーローの私服姿としてはちょっと地味なスタイルなのがむしろ好きだけど、2つつけているネックレスが気になる。今後のストーリーに何か関係してくるのだろうか? あと、龍司と英司、ふたりの名前が似ていることにも意味あるのかな、とか。

主題歌の楽曲も「らしく」て、とっても良い。タイトルの“Have at You, アヴァロン!”にはちょっと笑ってしまった。アヴァロンが戦闘開始するときにいつも言う「Have at you」、私の中では『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』でジョンが演じるBlack Night(黒騎士)でおなじみのフレーズ。戦いの途中で言う「Come on, then」もBlack Nightのセリフにあったし。そのほか、「Oh, bugger」も『空飛ぶモンティ・パイソン』のSpanish Inquisition(スペイン宗教裁判)のマイケルの声で脳内再生される一言。

実際、ユーモアの加減やタイミングが絶妙というのもこの作品の特筆すべきところだったりする。日本語と英語(カタカナ)を組み合わせたエピソードタイトルからしてすでにゆるい笑いになっている。でも、笑えるだけじゃなく、ストーリーはきっちり作られていて、「はるか昔のイギリスの地で、人間とフェイの一族が争っていた」ことから始まったという、いわゆるファンタジーの生き物と人間との物語には説得力がある。これまでの経緯や設定はほぼセリフやモノローグで説明されているのに、それがいかにも「説明してます」という感じにならず、すんなり理解できるようになっているというのがまたすごい。さらに、お説教臭くなく色々といいことを言っていたりも。明らかなファンタジーと現代のリアリティをどうミックスするかは難しいところだろうけど、うまい具合にバランスが取れているし、こういったジャンルの作品として、ツッコミどころも特にないと思う(派手なアーマーをいつもつけていても誰も何も言わないの?とか、戦っているところをほかに見ている人はいないのか?とか、そういうことを気にしていたら、特撮ヒーローものは観られない)。バランスといえば、龍司の時は日本語で、アヴァロンになったら英語でしゃべるという、ふたつの言語のバランスもおもしろい(interestingという意味で)。とにかく予想を超えるおもしろさだった。続きが気になる〜。シーズン2、楽しみにしてます。