昨日の記事 「セックスレスの話(2)」 の続きです。


そもそも、「セックスレス」 という用語は、用語の定義として、単に 「一ヶ月以上セックスしていない状態」 を指すだけですので、「セックス」 の質や喜びといった満足度も考慮されている指標ではありません。

ですから、夫婦の間に 「愛」 がなくても、妻が仕方なく、 「イヤイヤ」 夫を受け容れている状況であっても、「セックス」 している以上、「セックスレス」 ではなくなりますし、逆に夫婦仲が良く、お互いの心は十分満たされていたとしても、相手に性欲を感じず 「セックス」 がなければ、それは 「セックスレス」 として評価されてしまうのです。

 

しかし現実の生活において、「うちの家はレスなの・・・」 と言った場合、他の家と 「セックス」 の 「質」 を比較しているわけではなく、実際の性交渉の機会や頻度と期待を相対的に評価しているわけです。

ここが難しい点なのですが、「セックスレス」 を意味的に捉える上では、やはり、質と回数だけでなく、回数の増減に関わる心理的な要因や環境的な要因を見て行かないと、具体的な実像が見えてきません。

 

「セックスレスの話(1)」 では、一緒に住むことにより、「日常生活」 と 「二人の時間」 の切り分けが難しくなることを、そして、「セックスレスの話(2)」 では、「性」 を支配する 「ホルモン」 の違いにより起こる、男女の性差を説明しました。

 

これらの要因を考えると、ある意味、「夫婦」 はすれ違って当たり前。

 

では、具体的には、どのような要因が 「セックスレス」 を引き起こしてくるのでしょうか。

 


「セックスレス」 になる要因

 

「セックスレス」 の中には、「産後レス」 のように 「ホルモン」 に乗っ取られたような状態でなってしまう 「レス」 もありますが、多くは、「日常生活」 による圧迫と、「エロティシズム」 の欠如、そして、「コミュニケーション不足」 に原因があると思われます。

 

(1) 「エロティシズム」 の欠如

 

「セックスレスの話(1)」 では、「ハレとケ」 の話を持ち出し、「ハレの日」 が 「日常生活」 である 「ケ」 に駆逐された結果が 「セックスレス」 であると説明しました。

 「セックス」 に必要なものは、「エロティシズム」 です。それが欠如しているからこそ、夫は妻に勃たなくなり、また、妻は夫に、ときめかなくなるのです。

 

多くの 「不倫」 実践者が、「家庭を壊してまで不倫するつもりはない」 と言っているのは、家庭は家庭で大事であるけれども、これ以上 「愛やトキメキのない生活、セックスのない生活は耐えられない」 と言っているように、「セックス」 の発動は、「エロティシズム」 によるのです。

 

睡眠不足で時間的余裕のない人でも、「性欲」 が刺激されれば、男はどんな手段を取ってでも、女性と会おうとしますし、セックス出来る機会があれば、どんなに体力的にきつくても、寝ようとします。

「セックス」 を含め、「日常生活」 の 「マンネリ」 が、「エロティシズム」 の欠如を招いているわけです。

 

では、どういう部分に気を付けたら良いのでしょうか。

 

男性に限らず女性にもあると思うのですが、相手が自分を気に入ってくれている 「ポイント」 があると思います。誰にでも、多かれ少なかれ、「フェティシズム」 的な要素を持っています。

男性であれば、「巨乳好き」 とか、胸は普通でも良いんだけど、「脚フェチ」 だとか、形の良い 「大きなお尻」 が好きとか、逆に 「太った女性」 が好きであるとか、幼い雰囲気が好きだとか、性的にグッと来るポイントは、人によってさまざまです。

そして、少なくとも、相手が自分を好いていてくれる 「急所」 となるポイントは、出来るだけ、相手の好みに合わせるように、努力する必要があると思っています。

 

自分の価値観で何かをするのは、単なる 「自己満足」 に過ぎません。相手の価値観を通して、自分を見る必要があると思っています。

 

(2) 「日常生活」 の圧迫

 

仕事や育児、家事が忙しかったり、健康上の問題や家庭内の問題などが起こると、「日常生活」 に必要な時間が圧迫され、その結果、寝不足になったり、疲労が抜けない状態になります。

これが一過性の場合はまだ良いのですが、これが長期に渡って続くと、寝不足も重なって、疲労も蓄積されるため、睡眠時間を確保したり、体力を温存するために、「セックス」 を遠ざけたりするほか、相手を気遣ったり、思い遣ったり、相手のことを構うだけの時間的精神的な余裕も、なくなってきたりします。

 

それでも、「夫は一人でやって、出している」 と言う奥さんも居るかも知れません。

 

しかし、「マスタベーション」 は、「セックス」 と比べると、使うエネルギーの消費量が少なくて済むのです。また、神経が高ぶらないので、すぐに寝ることも出来ます。

時間を節約するために、ササっとして、ササっと寝る。男は 「性欲処理」 と言ったりしますが、丁度、授乳時の女性の乳房が張るのと一緒で、男は出さないと不快な状態が続くためです。

夫が AV などを見ていてたとしても、その AV 女優が好みなのかも知れませんが、時間短縮が目的であって、サッサと興奮して、サッサと抜くための道具に過ぎないのです。

 

そんな変なところで、ヤキモチを焼くぐらいなら、下手なプライドは捨て、「お手伝い」 を申し出て、手とかお口で、してあげれば良いのです。

そうやって相手を思い遣って、二人の間で 「性」 の機会を継続的に持つことこそが、「セックスレス」 にならずに、関係を長続きさせる秘訣なんだろうと思います。

 

(3) コミュニケーション不足

 

そして最後の関連要因が、「コミュニケーション不足」 です。時間的な余裕がなくなることで、「コミュニケーション不足」 が引き起こされる場合もありますし、そもそも 「コミュニケーション」 は得意でないという人もいるでしょう。

そうでなくても、男女間の会話は難しいものです。女性の会話、女性の気持ちを理解出来ない男性も悪ければ、男性に女性の会話への理解を求める女性も悪いのです。「コミュニケーション」 とは、お互いが歩み合うものです。

 

女性は、男女の会話は、女同士の会話と同じようには行かないことを認識するべきですし、自分の話をただ聞いて貰いたいときと、共感を示して貰いたいとき、そして、家庭内もしくは家族に関わる問題が起きて、きちんとした対応が求められるときを区別して話さないと、男性には分かりませんし、あまりに主語を省略し過ぎた状態で、いろいろと話が飛ぶと、何のことを話しているのか、混乱して、話に付いていくことすら出来ません。

また、睡眠時間もまともに取れない状況で、終わりの見えない話を聞くのは、苦痛以外の何者でもありません。

 

男性は男性で、女性的会話の心理くらいは知っておくべきでしょう。

女性が、その日あったことを夫などに話す感覚は、昔、その女性がまだ小さかった頃、父親にその日あったことを話しているのに近い感覚があると思います。

娘がひとつひとつ思い返して父親に報告する様子を、愛しそうに眺めながら、聞いてくれている父親に、その小さな娘は、お父さんに見守られているような、そんな安心感を感じていたはずです。

女性はそうやって、自分の話を聞いて貰えることで安心し、心が満たされ、自分に対する愛を確認するのです。

ですので、時間的に毎日は厳しくても、女房の話をただ聞いてあげる時間を作ることは、愛を育んでいく上では、とても大切なことなのです。

また、女性は話をすることで、ストレスを発散している部分もありますので、身近に話相手がいないような環境では、ストレスをため込み易くなりますし、女性は、こういった 「コミュニケーション」 が不足してくると、「寂しい」 気分になり、その心を何処かで満たしたくなりますので、やはり定期的に話を聞いてあげる機会を作るのは、とても重要だと思います。

 

(つづく)

 

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