昨日の 「セックスレスの話(1)」 の続きです。

 

前回の記事では、「同棲カップルに起こるレス現象」 を題材に、「セックスレス」 が起こる心理的なメカニズムについて考えてみました。

しかし、「セックスレス」 が比較的単純な心理的現象ならば、まだ、何等かの対策も取れそうなものなのですが、男女の問題において難しいのは、男性と女性は、男心女心だとか、価値観や物事の考え方が異なるだけでなく、身体のメカニズムからして大きく異なっているところです。

 

特にホルモン分泌を含めた、男女の 「生理的な違い」 は、男女の 「すれ違い」 を起こさせる大きな要因となっています。

生理的な違いによって起こる 「男の常識」 や 「女の常識」 といったものも、同性であれば人種の枠を超えて共通ですが、異性だと通じませんし、なかなか理解されません。

遺伝子的には、人種の違いよりも遠いのが、「性」 の違い。

 

まあ、それもそうです。女性は、XX ですが、男性は、XY。そこからの違いは、やはり大きいのです。

 

今回は、この 男女の 「生理的な違い」 の側面から、「セックスレス」 を考えてみたいと思います。

 

***

 

 

「クーリッジ効果」

 

「セックスレス」 は、そもそも、ヒト以外にも、哺乳類などでも見られる現象であり、「クーリッジ効果」 と呼ばれています。

これは、性的なパートナーがずっと同じである場合、月日が経つに連れて性交渉の回数が次第に減っていくものの、新しいパートナーと出会うと性的欲求が回復するというもの。

哺乳類のオスに顕著に見られる現象らしいのですが、オスほどではないものの、メスにもやはり、「クーリッジ効果」 は確認されているそうです。

 

大事なのは、「セックスレス」 と 「浮気や不倫」 は表裏一体で、微妙に関連しているいうこと。

 

これは、ウィキベディアからの引用ですが、動物を用いた実験の概要が書かれています。

 

ラットを用いた最初の実験内容は次のようなものである[7]。閉じた大きな箱の中に、一匹のオスが4-5匹の発情中のメスと共に置かれる。オスは直ちに全てのメスと繰り返しつがって、疲れ果てるまで続ける。そうなるとメスたちがオスを小突いたり舐めたりしても、オスは反応しなくなる。ここで別の新しいメスを箱の中に入れると、オスは我に返り、その新しいメスと今一度つがい始める。この現象はドブネズミに限ったものではない[8]。クーリッジ効果は、ドーパミンの分泌増加が動物の大脳辺縁系に作用することで引き起こされる[9]

クーリッジ効果は通常、オスに見られる。要するに、オスは新しいメスに対して興奮の回復を示す。レスターとゴルザルカは、メスにもクーリッジ効果が起こるのか否かを見極めるため新しい実験モデルを考案した。ラットの代わりにハムスターを使った彼らの実験によると、オスほどではないもののメスにもクーリッジ効果が見られることが分かった[3][4]

 

この実験は、倫理もへったくれもない 「ネズミ」 の世界の話ではありますが、ヒトと同様のことが起きているということ。そしてこの現象には、神経伝達物質のひとつで 「脳内麻/薬」 とも言われる快楽物質 「ドーパミン」 が関与しているということです。

 

こうなると、男的には、「セックスレス」 にならないように振る舞えるなら、男のする 「浮気や不倫」 は、「オトコの甲斐性」 のようなもの。

「身体がそのように出来ているのだから、仕方がない」 と言われてしまいそうです。(苦笑)

 

こんなことを書くと、「サレ妻」 から猛攻撃を喰らってしまいそうですが、言いたかったことは、男の 「浮気や不倫」 は、女性の 「嫉妬」 と同じ次元、同じレベルの話であると言いたいのです。 

 

「嫉妬」 も、本来は、弱者が自分の身を守るための 「防衛本能」 の発露による 「感情表現」 なわけですが、だからと言って 「出せば良い」 と思って開き直ってしまったら、男の 「浮気や不倫」 と同一レベルの話、「鶏と卵」 になってしまうわけです。

 

社会的には、「不貞行為」 となる分、若干 「浮気や不倫」 の方が不利ではありますが、しかし、どちらも 「本能に逆らって自制する」 必要があるという意味においては同じ。

男性の 「浮気や不倫」 も、女性の 「嫉妬」 も、社会的には、どちらも抑えるところは抑えないといけない代物というわけです。(苦笑)

 

しかし、女の 「嫉妬」 は、あくまでも男の 「浮気や不倫」 の結果であって、同じレベルのものではない、と言われる方もいらっしゃるかも知れません。

それならば、出産経験のある女性の場合は、出産後に性欲が全くなくなったときのことを思い出してみて下さい。

 

 

「オキシトシン」 と 「プロラクチン」

 

女性は妊娠以降、乳腺の分化や発達を促すために、「プロラクチン」 の分泌が盛んになりますが、出産によって、それまでは、母乳を作ることを抑制していた 「プロゲステロン」 というホルモン分泌が低下することにより、母乳が作られるようになります。

 

「プロラクチン」 は、子供を守ったり授乳させたりなど、女性の 「母性本能」 を呼び起こすホルモンで、「性欲」 を減退させるのも、「プロラクチン」 の作用だと言われています。

男性も、微量ではあるものの、射/精直後にこの 「プロラクチン」 が分泌すると言われています。

 

 

 

そして、授乳時に、乳児が乳腺を刺激することで 「オキシトシン」 が分泌され、この作用により母乳が出されると同時に、子宮収縮が起こり、子宮からも 「オキシトシン」 が分泌されるそうなのですが、この 「オキシトシン」 は、別名 「幸せホルモン」 とも呼ばれ、女性はこの 「オキシトシン」 の分泌により、 「多幸感」 を感じると言われています。

 

女性の産後の 「セックスレス」 は、女性から 「性欲がまったくなくなる」 ためであり、この 「プロラクチン」 と 「オキシトシン」 の分泌による 「相乗効果」 によるものなのです。

 

***


「男女同権」 や 「男女平等」 といったものも、あくまでも、「社会的扱い」 を言っているだけであって、「レディーファースト」 といった 「社交マナー」 や、「席を譲る」 といった 「思い遣り」 とは全く違う次元の話なのですが、最近は誰も若者に、こういうことを教えないようです。

 

男と女と言うものは、考え方も価値観も、そして、生物学的機能から、こういった身体のメカニズムに至るまで、大きく異なる同士であるということ。

男の 「浮気や不倫」 も、女の 「産後レス」 も、その根源は、「ホルモン分泌」 にあるということで、ヒトの 「遺伝子」 に組む込まれた、ヒトの行動原理の根幹とも言える部分。

そこで働く 「ホルモン」 のメカニズムからして、男女は大きく異なるのです。

 

そもそも、ヒトがまだ植物だった頃から、オスは花粉をばら撒き、メスは種を作り続けてきたわけです。ばら撒くのが、男の性(さが)なら、子を宿し育てる喜びこそが、女の性。

 

「セックスレス」 の問題も、まずは、こういった相手の 「性」 の本質をしっかりと理解して、読み解くことも大切なように思います。

 


ニオイの問題?

 

そして、最後にご紹介するのが、これも 「ホルモン」 が関与していそうなんですが、まだ全体像は解明されていない、女性の 「嗅覚問題」 です。

 

「女性は遺伝子の近い遠いをニオイで嗅ぎ分ける」 という 「都市伝説」 があります。

確かに女性の嗅覚は、男性と比べると鋭いようですが、この 「都市伝説」 も半分は正しくて、半分は誤り。そもそも、遺伝子の違いと臭いの間にどのような相関関係があるのかすら、明らかになっていません。

 

しかし、この 「都市伝説」 が、わざわざ 「遺伝子」 という言葉を持ち出してきているのには、実は訳があります。それは何かと言うと、年頃の娘が、お父さんの下着や靴下などを異様に臭がり嫌悪する現象です。

 

女性の嗅覚とニオイとの関係については、以前にも旧ブログの方に書いた記憶があります。

 

「旦那:を 『気持ち悪い」 と思う感覚の謎」

「旦那:を 『気持ち悪い』 と思う感覚の謎(2)」

 

女性には、生理周期で感じ方に違いの出るニオイがあることが報告されています。

これは、ヒトに限らず、また男女を問わず、汗などに含まれる 「アンデロステロン」 と呼ばれる揮発性の 「ステロイド」 なのだそうです。

 

また、株式会社ライオンが調査した 「夫に対する意識と洗濯物のニオイに関する意識調査」 によると、

夫の洗濯物のニオイを ”不快” に感じる」 妻の割合は、夫とのコミュニケーションが良好な場合は、5.6% であるのに対し、夫婦間のコミュニケーションが取れておらず、夫に魅力を感じなくなり、夫との会話や一緒の外出も疲れると感じる 「結婚生活ネガティブ型」 の妻の場合は、60.6%と6割にも達している。

 

のだそうです。

 

少なくとも、これらの報告により、遺伝的な繋がりのないはずの 「妻」 までもが、「夫」 のニオイに反応していることから、先ほどの 「都市伝説」 にある 「遺伝子の違いを嗅ぎ分ける」 という表現は(感覚的に言いたくなる気持ちは分からなくもないけど)、適切でないことがわかります。

 

しかし、同じ家に暮らす 「妻」 が、「夫」 のニオイに敏感に反応するのは、これは事実であり、そして、株式会社ライオンの調査によると、夫に対する好感度によって、洗濯物のニオイを 「不快」 と感じる割合が顕著に表れていること。

また、株式会社ライオンは、これとは異なる調査で、「揮発性ステロイド」 の中で、「アンドロステロン」 に対してのみ、女性は 「明らかに不快」 という反応を示すことを確認しているのだそうです。

 

これらの結果から言えることは、女性は、生理周期によって感じ方は変わるものの、明らかに、「アンドロステロン」 に反応を示しており、好感度の度合いによっても、感じ方にも変化が見られる。

つまりは、「アンドロステロン」 に対する感受性は、さまざまなホルモンの影響を受けている可能性が高いということになります。

 

ちなみに、この 「アンデロステロン」 というのは、豚の 「性ホルモン(フェロモン)」 です。

 

単体では、「明らかに不快」 な臭いと感じる 「アンドロステロン」。しかし、夫婦のコミュニケーションが出来ていて、夫に対する好感度が高いと、「娘」 は不快に感じても、「妻」 は、不快には感じていないということになります。

明らかに、その臭いの 「持ち主」 を意識しているように思われます。

 

単体で、「明らかに不快」 なのは、その 「持ち主」 が匿名だからでしょう。

「アンデロステロン」 が、女性に対して無意識のうちに 「セ/ックス」 を臭わせているとするならば、単体の 「アンデロステロン」 が、誰だか分からない発情した男を連想させるからではないでしょうか。

好感度の高い 「夫」 の 「アンデロステロン」 を、妻が 「不快」 に感じないのは、無意識のうちに、自分に対する 「セックスアピール」 と認識しているためかも知れませんし、「娘」 が 「お父さん」 の 「アンデロステロン」 に対して、異様なほど 「不快感」 を示すのは、お父さんの自分に対する 「セックスアピール」、すなわち 「近親相/姦」 的な印象を受けるためかも知れません。

 

臭いは、鼻で嗅ぎ分けますので、直接、その人の臭いを嗅ぐのであれば、それが誰かは視認出来ているはず。

つまり、視認であったり認識が最初にあって、感覚的には、そこで特定された人の臭いとして認識されているのではないでしょうか。そして 「ヤコブソン器官」 を通して、思わず身体が勝手に反応してしまうわけです。

 

ヒトに、「性フェロモン」 の分泌があるのかどうかは、未だに証明されておりません。

しかし、株式会社ライオンの実験では、夫に対する好感度によって、「アンドロステロン」 の臭いの感じ方が異なることが、明らかになっています。

 

もし、この仮説が正しいとすると、夫婦仲の変遷は、はじめは、夫婦間の諍(いさか)いや、蟠(わだかま)りといったものに過ぎないのかも知れませんが 【Ⅰ】、お互いのコミュニケーションがうまく取れずにいると、次第に旦那に対する魅力を感じなくなり 【Ⅱ】、女性の気持ちが旦那から離れた結果、女性は、旦那の臭いを不快に感じるようになる 【Ⅲ】 のかも知れません。

 

【Ⅰ】 や 【Ⅱ】 といった状態であれば、まだ回復の見込みもあるかも知れませんが、【Ⅲ】 の状態ともなると、日々の暮らしでは平静を保ち、一緒には暮らしてはいるけど、「セ/ックスは無理」 と言われ兼ねない状態にあるのかも知れません

 

肥溜(こえだ)めの臭いがするところで、食事を取るようなものですから、臭くて食欲が失せてしまったとしても、何も不思議ではありません。

 

旦那がお年頃の自分の娘に 「クサイ!」 と言われるのは、ある意味致し方ないのかも知れませんし、自分も 「クサイ」 と思うなら、誰しもが 「クサイ!」 と感じて当たり前。

しかし、そうでもないのに、女房から 「クサイ」 と思われているようなら、かなりの 赤信号 と思われます。

 

***

 

「ホルモンの世界」 から 男女の性差を眺めてみると、男性と女性は、全く違う生き物ではないかと思いたくなるほど、メカニズムが大きく異なるのです。

性的な特徴である 「性徴」 を形作るのも 「ホルモン」 なら、「性」 の衝動や快楽をコントロールしているのも 「ホルモン」 ですし、女性の妊娠・出産・育児に大きく関わっているのも、この 「ホルモン」 です。

 

特に、女性の場合は、初潮から閉経まで常にホルモンのシャワーを浴びて、ホルモンに翻弄され続けているのです。

個人差はありますが、女性は30代の半ばから、女性ホルモンの分泌量が徐々に減り、相対的に男性ホルモンの比率が高まることで、それまで感じたことのない 「強い性欲」 を覚えるようになりますが、これも 「ホルモン」 の作用。

 

「男は頭でモノを考え、女は子宮で考える」 みたいな言葉がありますが、この言葉の意味は、男と女の本質を比べてみたときに、女性は、長きに渡って余りにも多くの 「ホルモン」 の影響を受けており、先ほど話をした 「ニオイの話」 ではありませんが、不可思議な能力を持っている、その例えのような気がしてなりません。

「子宮」 は、「安心ホルモン」 と呼ばれる 「オキシトシン」 を分泌し、子を宿し子を産み、「母性本能」 を司(つかさど)る 「シンボル」 的器官。

 

「無理なものは無理」 ですし、「ダメなものはダメ」。

 

女性の言う 「生理的に無理」 という言葉の裏には、女性にしか分からない、言葉では表現出来ない奥深い感覚が隠れていそうです。

 

(つづく)

 

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