映画:「小さな中国のお針子」
小さな中国のお針子 [Balzac et La Petite Tailleuse Chinoise]
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監督: ダイ・シージエ Dai Sijie
出演: ジョウ・シュン Zhou Xun
リィウ・イエ Liu Ye 他
【解説】
1971年、文革の嵐が吹き荒れる中国。青年マーとルオは医者を親に持つことから、反革命分子の子として再教育のために奥深い山村へ送り込まれた。彼らはそこで過酷な肉体労働を強いられる。ある日2人は、美しい少女、お針子に出会う。ルオはお針子に一目惚れした。彼らは、同じ再教育で来ている若者が禁書である西洋の本を大量に隠し持っていることを知り、それを盗み出す。そして、文盲のお針子に毎夜西洋の文学を読み聞かせてあげるのだった。許されない秘密を共有することで結びつきを強める3人。そして、お針子は西洋文学が語る自由に次第に目覚めていく…。
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文化大革命を時代背景にした青年二人と少女一人の恋と友情の物語。
ただ、青年二人が山奥の村に送り込まれ、自由に西洋文学を読めない、という部分以外では文化大革命はそれほど大きなファクターではなく、ストーリーの中心はあくまで三人の関係性の変化。
禁止されている西洋書を読むという秘密を共有する三人は、次第に恋心を抱き三角関係になる。おとなしい性格のマー、積極的なルオ。お針子の少女が選んだのはルオだった。マーは自分の気持ちを隠したまま二人を見守る。
田舎で生まれ、文字も知らなかったお針子の少女が、文学を通して知識を得て変わっていく姿は瑞々しい。でも、最後に自由を望んだ彼女が山村を出る決意をする過程が唐突すぎて、何がそこまで彼女を変えてしまったのか分からなかった。文明から取り残されていた山村にも年月が経てばダムが作られ、パラボラアンテナが設置されていたように、彼女も文明に触れることで変わってしまったということかな。
山水画になりそうな景色は素晴らしいけれども、全体的に淡々とストーリーが進んでそのまま終わってしまうので、何だか物足りない感じは否めないかなぁ。
【超個人的評価】
★★☆☆☆
映画:「点子ちゃんとアントン」
点子ちゃんとアントン [Pünktchen und Anton]
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監督: カロリーヌ・リンク Caroline Link
出演: エレア・ガイスラー Elea Geissler
マックス・フェルダー Max Felder 他
【解説】
点子ちゃんとアントンは親友同士。でも、父のいないアントンは病気になった母の代わりに、内緒でバイトしていて最近一緒に遊べない。一方、点子ちゃんの家は裕福だけど、医者の父とボランティアに熱心な母は留守がちで、母と一緒にいられるアントンがうらやましかったりする……。裕福な家庭の子、点子ちゃんと、貧しいけれどいつも元気なアントンの友情を描いた心温まる物語。
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エーリヒ・ケストナーの児童文学の映画化。
ワシは基本的に動物の感動ものには弱いんですが、人間の子どもが出てくる感動ものは苦手。何だか嘘臭く感じてしまうから。
その点、この作品は児童文学が原作で「大人の考えたファンタジー」ではなく、子どもは子どもとして描かれていてなかなか良かったです。
裕福だけど家族の愛に飢えている点子ちゃん、貧しいけれど母親の愛を目一杯受けているアントン。対照的な境遇のふたり。お互いを羨ましいと思うことはあっても、そこで卑屈になって僻んだりするのではなく、相手のためにできることを自分なりに考えているのが微笑ましい。
二人ともすごく真っ直ぐで可愛らしいんだけど、特にアントンがいい。普段は優等生で正義感が強いんだけど、お母さんを助けたくて盗みを働いてしまうところとか、お父さんに会いに行くために車を運転してしまうところとか、子どもっぽい直情的な部分がうまく表現されてて、自分の子ども時代を思い出してしまったり。アントンのお母さんも慈愛に満ちていて、本当にアントンを愛している感じがして思わず和んでしまう。
心がちょっと疲れたときに見るとホッとできる作品。
(蛇足)
「点子ちゃん」はニックネームで原題の「Pünktchen」から。
ドイツ語の[Pünkt]は英語の[point]にあたり、[-chen]は小さいものを表す接尾語。
大学時代にちょっとだけ勉強したドイツ語知識より。
【超個人的評価】
★★★☆☆
映画:「シルミド」
シルミド [SILMIDO]
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監督: カン・ウソク
出演: アン・ソンギ Ahn Sung-kee
ソル・ギョング Sol Kyung-gu 他
【解説】
1968年1月、北朝鮮特殊工作部隊による青瓦台(韓国大統領府)襲撃未遂事件が発生。同年4月、韓国政府はその報復として仁川沖のシルミド(実尾島)に死刑囚ら31人の男たちを集め、極秘に金日成暗殺指令を下した。こうして31人は、その時の年月から名付けられた684部隊の特殊工作員としてジェヒョン隊長の下、過酷な訓練を開始する。3年後、優秀な工作員に仕立て上げられた彼らに、いよいよ実行命令が下される。しかし、政府の対北政策は決行目前になって大きく転換、北潜入へ向け行動を開始した部隊に急遽命令の撤回が告げられるのだったが…。
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実話をベースにした作品ということですが、平和ボケのせいかあまり現実味がありませんでした。
しかし、これが現実にあった話だとしたら、ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブルものですね。
死刑囚を特殊工作員に育て上げるというその発想からして恐ろしいし、しかもその目的はただひとつ、金日成の暗殺。「目には目を、歯には歯を」的な報復のためだけの暗殺集団。
訓練の中での死刑囚たち同士の友情や訓練生と教官の関係の変化など、人間ドラマとしてはなかなか面白く見ることのできる部分もありますが、終盤の訓練生たちの暴走にはちょっとついて行けない感じがしました。そもそもシルミドに集められたのは重罪人ばかりなのだから、暗殺が成功したとしても自分たちが無事に解放されるとは考えにくいはずなのに、教官の言葉を素直に信じてしまうところや、恩義を感じている教官を殺してしまうところなど、国民性の違いかもしれませんがちょっと理解しかねます。
ただ、役者の演技はとてもパワフルで生々しく、見ていてストーリーに引き込まれる素晴らしいものでした。
【超個人的評価】
★★★☆☆
映画:「タイムライン」
タイムライン [TIMELINE]
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監督: リチャード・ドナー Richard Donner
出演: ポール・ウォーカー Paul Walker
フランシス・オコナー Frances O'Connor 他
【解説】
フランス南西部のとある修道院遺跡の発掘現場では、考古学専攻の学生たちによる調査が進められていた。ある時、彼らは14世紀の地層から驚くべき遺物を発見する。現代の製品としか思えないメガネのレンズと“Help Me”と書かれたメモが出土したのだ。それは、発掘プロジェクトのリーダーで、スポンサー企業ITCを訪ねたまま行方不明になったジョンストン教授から教え子たちへのSOSだった。教授の息子クリスをはじめとする発掘チームは、ITCの社長から衝撃の事実を知らされる。教授は、ITCが極秘に開発した時空間転送装置で14世紀フランスに転送され、現地で消息を絶ってしまったというのだった。そこでクリスは、他の仲間6名とともに教授の行方を追って中世フランスへと向かうのだったが…。
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タイムトラベルもの。
過去から戻れなくなった教授を助けに教え子たちが過去へタイムスリップするんだけど、その理由がイマイチ分からない。
考古学教授が「過去を見に行きたい」って勝手に過去に行っちゃって帰れなくなりました。で、教授が行ったのは百年戦争中のフランスです。教え子たちも考古学を学んでいるので当時の歴史についてはよく知っています。行けば死ぬかもしれません。そこでどうして皆で大挙して助けに行かなくちゃいけないの? ほっとけよ。
ま、それを言っちゃうと話が終わっちゃうから仕方ないのかもしれないけど、そこまでの話で描かれている教授が別にそれほど有能というわけでもなく、別にいなくなって困るように思えないので何だか興冷め。
そのほかのストーリーもその場しのぎというか、全体として辻褄が合わないことが多すぎて、最後にある人物が「そうか!あれは○○だったんだ!」とか言うのも、「ふ~ん」というよりバレバレすぎてそんなに盛り上がってどうしちゃったの?って感じ。しかも、そこが一番のサプライズのはずなのに辻褄合ってないし。
あと、考古学者なんだから歴史を変えといて「仕方がない」とか言うのはどうかと思いますよ。ホントに。
【超個人的評価】
★★☆☆☆
映画:「ミリオンダラー・ベイビー」
ミリオンダラー・ベイビー [MILLION DOLLAR BABY]
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監督: クリント・イーストウッド Clint Eastwood
出演: クリント・イーストウッド Clint Eastwood
ヒラリー・スワンク Hilary Swank 他
【解説】
ロサンジェルスのダウンタウンにある小さなボクシング・ジムを営む老トレーナー、フランキー。その指導力に疑いのない彼だったが、選手を大切に育てるあまり、成功を急ぐ優秀なボクサーは彼のもとを去ってしまう。そんなある日、31歳になる女性マギーがジムの門を叩き、フランキーに弟子入りを志願する。13歳の時からウェイトレスで生計を立てるなど不遇の人生を送ってきた彼女は、唯一誇れるボクシングの才能に最後の望みを託したのだった。ところが、そんなマギーの必死な思いにも、頑固なフランキーは、“女性ボクサーは取らない”のひと言ですげなく追い返してしまう。それでも諦めずジムに通い、ひとり黙々と練習を続けるマギー。フランキーの唯一の親友スクラップはそんなマギーの素質と根性を見抜き、目をかける。やがてマギーの執念が勝ち、フランキーはついにトレーナーを引き受けるのだが…。
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参りました。もう。久しぶりに映画館で泣きました。
事前に「予告編はネタバレだから見るな」という情報を貰っていたので、殆ど前知識なしで見ましたが、それが良かった。
未見でこれから見に行く予定のある人は、何も調べずに見に行った方がいいです。ホントに。こんなレビューとか読んじゃダメ。
導入部分で語られる「ボクシングは勝者が敗者の尊厳を奪うスポーツ」っていうのが物語全体の大きなテーマ。
ある出来事を境に前半と後半では大きく展開が変わる。
前半は、ヒラリー・スワンク演じるマギーのサクセス・ストーリー。メキメキと頭角を現し、世界中を転戦し勝利を掴むマギーに対してクリント・イーストウッド演じるフランキーは言う。「自分を守れ」と。また、マギーもフランキーも家族との間に問題を抱えていることから次第に二人の距離も近くなっていく。
後半のストーリーは見てのお楽しみ。フランキーが毎日教会に通っては神父に投げかける疑問、モーガン・フリーマン演じるスクラップが片目を失明した経緯、マギーの愛犬の話、フランキーがマギーにつけたリングネーム「モ・クシュラ」の意味。全てがラストに向かって収束していく。最後にフランキーの下す決断が正しいのか間違っているのか、人によって感じ方は変わると思うけど、それを考えさせるだけでもこの作品には意味があると思う。
ボクサーにとってタオルを投げ入れられるのは、相手に負ける訳じゃなく、第三者によって負けを宣告され、尊厳を奪われるのと同じこと。マギーはあくまで自分で戦い、タオルを投げ込まれることを良しとしなかったからこそ、あのラストになったんだろうと思います。
イーストウッド、スワンク、フリーマンのアンサンブルは絶妙。でしゃばらず引きすぎず。アカデミー賞受賞も納得の作品でした。
【超個人的評価】
★★★★★