アマヤドリ -59ページ目

さくらのいろや、波のかおりや


さくらにまだ出会っていない。
こんなにあったかいとさくらのつぼみはもぞもぞと身震いしながら、ちょっとずつおひさまをのぞき見したくなるんだろうな。
その瞬間には立ち合えなくてもこうしてさくらのことを想ってさえいれば、たぶんおなじこと。
あまりさくらに想いをとばしていると、ほんとうにいざさくらと対面したときに泣いちゃったりしそうだ。だからほどほどに。

マイミクさんからヨットの写真がとどいた。
今から海にでます、って。
なんだかムーミンの世界みたいだ、とあたたかい電車のなかから海の風をおもう。


ぎゅっとしばられているときほど、おもいはふくらむ。

歌舞伎町、Alessio Silvestrin


昨日は友達のパフォーマンスを観に、新宿の白萩ホールへ。

新宿駅から西武新宿駅の脇のブルーバードをてくてく歩くと中学時代を思い出す。私が初めてデートというものをしたときも、この道で雨が降っていた。
物思いにふけっていると自転車に乗った若い男の人が話かけてくる。「お姉さん、ぼく昨日福岡から出てきたんだけどね…」
聞こえなかったふりをしてやりすごす。歌舞伎町でひとの声に耳をかたむけることは面倒に足をつっこむことに等しい。


アレッシオはいいダンサーだった。
腕が長い。という資質をよく生かした、からめとり切り裂き、おおきなおおきな軌跡を描く。
息がとまった。
ひとつも動きを見逃すまい、なにかヒントを得たい、と考えながらも純粋にその流れに見とれてしまう。
直線が美しい。
だから弧も美しい。
刄みたいだ。
題材がそれを色濃くしているのだろうけど、このひとにはどこか和のかおりがする。

ダンサーたちが入ってきて規制を受けながら弾けるように、磁場を切り裂きながら調和してゆく。
張り詰めた緊張。
攻防と、敏感な影響。


私はものがたりをそのまま語ることに固執しすぎているかもしれない。ものがたりは、わたしのための発露にすぎない。このからだが直接語るのはもっと、抽象でいい。
隔たったところからかたり、積もってゆくことで。



彼は道をききたかったのだろうか、と帰り道にまた考える。
けれども昨日福岡からでてきたのになぜ自転車に乗っているだ。
うん、無視して正解。

***

そういえば今ピナ・バウシュが来日しているのです。
本番のため見に行けない私のかわりに、みなさん見てきて感想を教えてください。

舞台のお知らせです

舞台に出演します。



ラ・ダンス・コントラステ
『En Suite/La rue×ラリュ』
4/8(火)19時開演
4/9(水)15時/19時開演
(全3公演)
@池袋芸術劇場 小ホール1
チケット:4000円

今回は以前コントラステメンバーだった中原麻里の初振付け作品『En Suite』に出演します。
「とき」が根底に流れています。
もうひとつの作品『La rue×ラリュ』は「みち」がテーマ。

「とき」は私にとって、年末あたりから身の回りにふわふわと漂い思考を留まらせるとても気になる対象、でした。
あまりにもかかわりがあったものだからこのテーマをきいたときには驚きよりもやっぱり、というような受け入れ態勢みたいなものがあったような気がする。
やっぱり、今私にとっても「じかん」ということがなにかを引き寄せ、繋げるのだろう、というような。

ぜひ。

***

それからもうひとつ。

AAPA Away at Performing Arts
『PAPERGATE』
3/24(月)~30(日)
平日:開演20時
土日:開演14時/17時
(全9公演)
@創造空間9001(旧東急東横線桜木町駅舎)
平日:前売1800円/当日2000円
土日:前売2300円/当日2500円

芝居と身体表現のコラボレーションです。
ダンサーは私含めて3人、身体としての役者さんがふたり、と少人数ですがなかなかおもしろく美しい世界観。
私もものがたりを語るように、その時間をすごそうと思っています。



お時間ありましたらぜひ。

どちらもチケットをご用意できますので声をかけてくださいね☆

手紙Chloe_bitter_sweet@yahoo.co.jp

memo:逆行

ひとごみにいる
なぜ歩いているのかは忘れた
ここからはいろいろなものが見える

ときどき何かがよぎる
見えないどこかに
叩きつけるおと 涙のようなあめ 寝息 エンジンが響くまるい骨
けれどここにはいろんなものが見えて
そんなものたちが次々とかき消されてしまう


止まって

ひとごみをかきわけた

見つけなきゃいけない
あたまのすみにある なにか
きこえてくるのはわたしのものがたりにすぎないかもしれない
ほんの何秒かの

映す
くるおしいくらい 真剣に
おいてきてしまったものは なに?
忘れてしまったひとは だれ?
もう二度と結晶しなくても


ときがかえる
砂場 水飲み場はわたしにはたかかった
帰るじかん
つたわらなかった いいわけ
夕日にたちつくしたこと


ねぇ、
鏡に指をそわせる
映っているのはわたし だろうか
執拗に 感情も理由もない ただ
ただ
わたしが 睨む


そしてわかる
わかりかける
ときがわたしをさらって わたしが探していた大事なこと

あれに触れることができたんだっけ…?

memo: こ のはじまり

まだ 無 みたいなわたしが彷徨い出て はじめてふれるのは かおり
しめった土と みどり

触れて
立っていることに気付く

寄せて動いたときに肌がかきまぜる空気
たちのぼる私の体温

夢中になって 森のはずれまできてしまう

幹や葉ばかりだった見上げたところに
深い空がのぞいている

みおろして 落ちないように地面にしがみつく

空にスペースシャトルがあらわれる
あらがえず そっとそっと地面を離す

森のことを忘れたように地面のことを忘れる


飛行機から見たさくらのことを思おう
雨にさらされて白く ぼやけた厚いガラスのむこうの
もうきっと わたしを待っていてはくれないこと

わたしは部屋にひとり

ぎしぎしする
もしかしたら森や空におっこどしてきてしまったのかもしれない
これは残像で

けれど 流れていることを発見する
知っていたことだけれど

わたしのゆび、ひじ、脇、腰、
どんなに不器用でも
それをつつむ空気をかたどる服
まっすぐに在ることはこの地面のため
孤独にさせながらつつむ 壁

またさくらをみつける

息を止める
あまつぶもひとどおりも
じゃまできない