アマヤドリ -210ページ目

キールの街

キールについた次の日はオーディションもなかったのでキールの町を探索。

キールって小さくて寒そうな村みたいなところを想像していたのに、とてもぎゅっと凝縮した素敵な街で嬉しかった。

海も近いし。かもめもいるし。

舟もたくさんあるし。

センターはお洒落なお店もちゃんとあるし。

駅には近いし。(あ、それはホテルの話だけれど)

うみねこ。

このうみねこはとってもむすっとしていて、いつまでもこの杭の上に陣取っていた。こんな吹きっさらしにいたら余計寒いんじゃないの?と思うのだけれどそれでもずっと、憮然とした顔で羽毛を膨らませていた。



「私たち、ここで踊ってゆくことに決めよう」

と勝手に盛り上がり、お散歩や買い物をした。




最後の一枚は、ゴミを分別するコンテナ。

ドイツはリサイクルが盛んな国だから、バイト先からちゃんと勉強するようにと言われていた。だから激写。



キールではブーツを買った。

この後今回のヨーロッパ歩き回りの旅をずっと支えてくれて、今はいい感じの色になってくれたブーツ。

駅ビルのお店で。

それから友達に巻き煙草を教えてもらう。

巻くことが楽しくて、何時間もCafeに居座る。


キールは本当に素敵な街だった。

歩きながら何度も本当に、「ここで働くことになったらどこに住む」と真剣に話し合う。


夜になって、オーディション会場でもあるキールの劇場を下見しようということになる。

劇場の隣に移動遊園地がやってきていて夜間工事をしていた。

フェリーにの映画の、現代風になった感じ。

と、勝手に思っていた。



劇場はすっきりしていて川に面していてすごく素敵だった。

いいじゃん、いいじゃん、と余計に盛り上がった。

絶対ここに受かろうね、と誓い合う。



結局ふたりともオーディションに受かることはなかったのだけれど、本当にこの日は楽しかった。

最初の二人旅だったからかな?

ふたりとも知らない土地に行って、色んなことを話したからかな。



うん。

そうだ。

色んなことを話した気がする。

自分と深いところで通じることや、動かされること。

ほんとうに、瞳をひらいて、話をした。


思えばこの日が、きっかけだったのかも。



キールは、思い出深いまち。




オーディション終わって他のバレリーナたちはハレのバレエ団を受けにいく。

私はみんなと別れを告げて、ベルリンに…


と思ったのだけれど、なぜかその夜にはデンマークにいたのでした。



つづく。



→Next:突然、コペンハーゲン

I am a slow walker.

I am a slow walker.


But I never walk backward.


Don't be afraid of walking slowly.


Be afraid only of standing still.




発信、來來軒

昨日はバイト先の若い男の子が移動になるということで、送別会。

若い、とか関係ないのかもしれないけれどもしきりと女の子の隣に座りたがる。

私ともうひとり、その男の子をかわいがった(いじめたとも言う)人を親分に持つ二人がその子をはさみ、うんうん、と色々聞いてあげる。

23歳くらいなのかと思っていたけれど実際には25歳で、思ったよりも若いわけではなかった。顔がちっちゃくて赤ちゃんみたいな肌なのでとても年下だと思ってしまっていたのだけれど。


23歳、と25歳、って随分ちがう。

25歳を過ぎると男の子はなんだかちがう。


話を聞いていると様々な矛盾がその子の中に渦巻いているのが見て取れる。

きっと話したいことの10分の1も、うまくは伝わっていないと思うんだろうな。



ひとと話していると、どうして私は話しているときにその言葉をそのまま受け取るのではなくてその言葉を通じて何を掘り返されているか、という自分の内面のことばっかりに心が向くのだろう。

そして、何をこの人は感じてほしいと考えているのだろう、ということを考え、受け答えている。


だから自分の中にある感覚に近いひとだとその洞察がある程度はまって会話がスムーズにいくのだけれど、そうじゃないととんちんかんちんな結果になりがちな気がする。


自分の引き出しにないものは理解出来ない、

ということなのかな。

私は。

理解というか、想像か。

うん、そりゃあ、当然のことなのかもしれないけれど。




★    ★    ★




土曜日はのんびり仕事ができる。

空も青いし。


業者さんに、お昼に木場にあるラーメン屋さんに車で連れて行ってもらった。

もうその人が25年も通い詰めているラーメン屋さんだそうで、タン麺と餃子しか出さないといっても過言ではない、ようなお店。

確かに美味しかった!

麺がうちのおばあちゃんの作るおほうとうみたい。

おばあちゃんのおほうとうは最高に美味しいんだ。

それから餃子がぎゅっと詰まってて肉汁が甘い。焼加減も絶妙。


美味しかったしドライブも出来たし満足。



おじさんたちと対等にお話ができるようになりたい。

いつもからかわれたりしてにこにこしてしまう。

もっとちゃんと話をしたいのになあ。女の子みたいじゃなくて。

なかなか自分に厚みがなくて、それが恐くて話せない。



★    ★    ★



昨日の若い男の子は、

そんなことものともしていないみたいだった。

若いなあ、って思われることなんて恐れる必要ないんだよな。

つまんない、って思われるのが私はきっと恐いのだろう。


コミュニケーションなんだから。

私の言葉の上滑っちゃう部分も、別に見せたっていいじゃない。

それで黙っちゃったら本当にただ、ドイツにいたときのパーティー会場の私みたいになっちゃう。



自信がないことだけは自分にしかどうにもしようがないもんな。


よし。


イマージュ

気になる。

グールド(グレン), バッハ
イマージュ

CD音譜7月半ば、買ってみた。→感想

 

初めてのながたび

初めてのオーディションはマンハイムだった。


マンハイムはE-mailでCVを送ったものの直前に断られてしまったので取っていた電車のチケットを友達に譲ることになった。残念だなあ、と思いながら同居の友達がマンハイムに旅立つ用意をしているのを眺めていたのだけれどふと、駄目でもともと、マンハイムに行ってしまおう、という気持ちになった。もし「お断りしましたよね」って言われてもマンハイムのあたりを観光すればいい。このまま1日おうちにいるよりは、ずっといい。

急遽チケットを取り、電車の中でCVを手書きし、向かったマンハイム。


結局何の問題もなくオーディションを受けることが出来た。


それに気が大きくなったのか、マンハイムのオーディションが終わったあとすぐに、お返事のきてなかったキールに飛ぶことに。

その時が始めてたった一人で長旅をしたときだった。



電車に長い時間揺られていると友達から「やはり私もキールに行く」というメールが。

じゃあ、私がホテルをとっておくよ!

と、とたんに嬉しくなった。


キールについたのはもうだいぶ遅い時間で、ツーリストインフォメーションセンターはとっくに閉まっていた。

どうしよう…と心細くなるけれど、友達がこれから来るんだ、と思ったらなんとかしなきゃと急に強気になる。

私一人で見つけなきゃ!

初めてのおつかいみたいな気持ち。


例によって町の地図も持たないで来たからとりあえず勘に任せて大通りを歩くとあっさりとホテルが見つかった。


オーディションは2日後だったから、でもオーディション会場が近くにあるかわからなかったから、とりあえず今晩だけ泊まるということにしたい、でももしかしたら明日も泊まることになるかも、ということを一生懸命伝えた。伝わるのに5分くらいかかったけど。


それからひたすら友達を待った。

本とか読めばいいのに、友達が来るのが待ち遠しくってずっと道の向こうのオレンジの光を見ながら待っていた。

ハチ公みたいだなあ、と思いながら。

はやくこないかな、ってずっと待っていた。




友達を道の向こうに見つけたときに、お互いめっちゃ走り寄った。

「○○ちゃ~ん!」

「△△ちゃ~~ん!」

って。

何百年ぶりに会ったみたいに懐かしくて、嬉しかった。

お互いたくさん話したいことがあるみたいに思えた。




ホテルのひとに訊いて行ってみたタイ料理やさん。

美味しかったし、裏道にあったのに人気があった。

ご夫婦とか、接待ぽいひとがいてにぎわっていた。



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