アマヤドリ -160ページ目

目隠し

足の裏をやわらかく。
背中がやっぱり落ちてる。
体を筒に。
球を意識。
逆足を回し続ける。
2番の足は緩めず爪先から軸にもっていく。

全部をいっぺんに欲しいけど音にとらわれたいとも思う。
音にとらわれると本当に体に入っていないことはぽろぽろ抜け落ちる。
真ん中を失う。

まっさらな自分で踊ることは楽しいけれど、変わりたいから。
きりのない約束事を反芻しては音に溺れ、鼓動に打ち負かされる。

絶えずせめぎあって少しずつ砂は山の形を作ってゆく。

冷静に、しんと夜明けの林みたいに息を細く吐き出す瞬間。

捕まえてはまた逃げていく。
でもいつしか自分に根付いていることを発見したりする。

今、私は乾いているから。

がつがつしてもいいかな。

夢/嵐のあと

夢ノートから。


私は夜叉のような格好をしている。

誰かに追い掛けられ乱暴されるが相手に致命的な傷を負わせる。

私も強く眼球を押され失明する。


嵐が通り過ぎたあとの田んぼのような所でどうやら以前気を失ったらしい。

そのことを全然覚えていない私。

助けてくれたらしき人にお礼を言う。


本番前のゲネプロがあるので舞台へ。

どうやらもう始まっていたようなのでとても焦る。しかも新しい振付けがついている。

隣の子の動きを本番も目で追うしかないなと思う。

へとへとで家に帰るとおっきな怪獣のような亀がいる。それを慣らそうとする。

携帯に会社のひとからメール。

本社の人がどうしても用事をしてほしいので新宿まで出てほしいと言っていたのを私は忘れていたのだ。

支度をして出掛けるけれど嵐のあとなので電車もない。

もうやるだけやったから、これ以上はどうしようもないと肩をおとす。

急上昇/急降下

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本番まであと1週間。
振付けをするときにはいつもちゃんとテキストを書く。それはお客さんにはわからなくてもいい、自分だけのストーリー。
それがお客さんに伝わった時にどんなものに変身してくれるのか。楽しみだし、どきどき、冷や汗だし。

もっとこのテキストみたいにかたちに、せめてこのテキストくらいに明確に、この体が動いてくれたらいいのに。こまやかさを辿ってくれたらいいのに。
目をとじたくなることがたくさん。

でも限界じゃないことも知ってる。

テキスト以上のなにか、こころとことばの関係みたいに、そんなふうに踊れたらいい。

あー!
くそうっ。
ばらばらにちょんぎりたくなる。


あせらない。
できることはまだあるし、1週間は長いもの。


今回は大好きなお友達が創ってくれた衣裳を着ることができる。
幸せ。

1週間で幸せをもっと集めよう。
今日は満月だし、明日は星を見にゆけるかもしれないし。

『アンチノイズ』辻仁成



辻 仁成

アンチノイズ


この「音の地図」という発想がまず私をわくわくさせた。


主人公は梵鐘の音に魅せられるのだけれど、私も家にいて時折聞こえる鐘の音をとても好きだと思っていたから。音を地図に表すなんて。こんなの暇があったらやってみたい。



辻仁成さんは音楽をやっているということは知っていたのでもっとスタイリッシュで乾いた話を書く人かと勝手に想像していた。村上龍みたいな…(村上龍さんの作品を少ししか読んだことがないから分からないけれど)。

でもそれだけじゃなくてとても繊細で、やさしい。鋭いけれどやさしい。



満たされない心を抱く主人公はどこか幼い。

古い友人を見る主人公の視点は年相応なのにあるチャンネルではそれに矛盾するような不安定さがある。


それはこの話を貫いて描かれている他人と接するということ、人の心の真に深いところに触れるということの難しさからきているのかな。

自分すら確かじゃはない。


知っていると思うものは本当はとても不確かな確信なのかもしれない。



でも、分かりたいという希望があるから。心の声を聞きたいと耳を澄ますから。



もっと音に敏感になろ。

冬も春までも、

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どうしたことかぎうぎうしていたこの2、3日。
どうしたことか…といってるけど原因はわかってる。時間が足りないとか疲れてるとか、そんなことはひきがねでしかなくて突き詰めてゆけば私の中の問題。
それが、
朝焼けを見て少し蒸発した。
自分の動きを見て糸口をみつけた。
大切なひとからのメールで洗い流された。
大好きなひとの瞳のひかりを見てぎゅうんとなにかが行く手から戻ってきた。
苦しんでた友達がふっとこころを軽くしたことを知って、きらきらがちりばめられた。

ふしぎだ。
やっぱり、こうしてまじりけのない気持ちで求めればぱちんとなにかしらがはじける。
自分が頑張って引き寄せた、では説明のつかない多くのこと。


しんとかなしい気持ちも私をお調子者にしちゃうようなうれしい気持ちも、今の瞬間の私の触れられる空間を押しひろげてくれる。
そのいまをただ感じたくてしばらくじっとしてみたりこうして形にすることをこころみたり、夜空のなんにもないところをみつめたりする。

永遠にこうやって迷っていたいなぁ。
毎日の空や飽きるほど聴いた音楽やおはようのことば。
いらいらやげじげじした喉のおくのからまりや天井に映るライトにのばすゆび。

まよいのままでかまわない。