アマヤドリ -107ページ目

白熱灯とアプリコット

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仕事がおわって次の用事までの間にめずらしくお買い物。
いつもお世話になっているひとと友達の結婚祝いのサブプレゼントとしてのてぬぐい選び。
プレゼントを選ぶ時間って豊かだな。
じっくり余裕があるときじゃないとなかなか選べなくて、でもいつもそういう丁寧な時間のつくりかたができなくてぎりぎりにばたばたしちゃう。
雨がぱたぱた降ってきて少しだけひとの足が止まったときを狙って、お店に入る。
どんな色が好きかなぁと目移りしながら、だけど結局自分の好きな色に手が伸びている。
触り心地はちょっとごわごわしているけれどきっと使い込んでいくうちにやわらかに肌にそうようになってくれるだろう。

前からとても欲しかったかおりを買った。
すごく自然な甘いかおり。
愛娘のためにつくったという、やさしい、花畑の昼寝のような。

それからお財布を衝動買いしてしまった。
ほおずき色のやわらかなポニーの皮の、金の大きな留め金のついたお財布。もえぎ色の紐がついてる。
やわらかくて、そのぱっちんの中にたくさん入れられそうだから。
これまでのお財布はずっと昔こいびとにいただいたもので、もう10年も使っていたものだったから…ありがとうとひきだしに仕舞っておくことにしよう。

そして、時間までいきつけの昭和のかおりのする珈琲屋さんでちょっぴり息抜き。
本当はコーヒーは苦手なのだけれどここの、生クリームをのせて溶かすコーヒーは、好き。


なんだかちょっと女の子みたいなひとときだ。

太陽が冷えて、おちてきた


いつもこの時期だっけ。
いつの間にか寝て、目覚ましが鳴るほんの少し前に前触れもなく目覚める。

今がいつで、昨日なにがあって今日なにがあるのか。
なにがこころにひっかかっているのか。
この揺れが陰なのか陽なのか。

淡いひかりのなかで迷子になる。



いつか、わたしは水のなかに棲んでいたんだろう。

雪と枝の島/28.Feb

   

次の日はガムラスタンの隣にある大きな島に行った。
セントラルからずっと歩いて、ちょっと道を間違えたので遠回りしながら。

そこは大きな公園の島だった。
ヨーロッパの公園はだいたいそうだけれど、ひとがいない。ずっと私は自分の呼吸と雪を踏む音と、枝から雪が落ちる音、鳥の声を聞いて歩いた。


写真を撮ることに必死になっていたら上から雪が降ってきた。
なんだろうと振り仰ぐとからすが枝に止まっていて足でぱっぱっと雪を払っている。
わざとだと思わなくてちょっと移動してまた写真を撮っていたらまた上から雪。
からすは枝伝いに私に近寄ってわざと、雪を落としていたのだった。


鳥は私が考えていたよりもずっと賢い、とちゅんと暮らすようになってから知った。
ちゅんは甘えん坊で私が行くところどこにでもついてくる。暗いところは恐いはずなのにそれでも、私がちょっと携帯を取りに部屋に行く、その暗い廊下も必死に羽ばたいて付いてこようとする。
だけどひとこと「携帯とってくるだけだよ、待っててね」といえば、付いてこずにじっと待っていてくれる。
忘れて待ちきれずにきちゃっても、私の指にぐっとつかまりながら、私が「暗いけど恐くないよ」と言っているその言葉をじっと聞いている。体中で聞いている。
朝は私が出かける邪魔をするためにお化粧のパフを持っていっちゃうし、歯磨きをしていると次は着替えだ、と私の部屋に先回りして待ってる。

 

ちゅんのことを思い出すとそんないたずらを仕掛けてくるからすが、可愛かった。
ちゅんには、30回夜が過ぎたら帰って来るよ、とちゃんと何度も話しておいた。
だけど私のことを覚えていてくれるだろうか。


まだ雪を払っているからすにやめてよねーというと、首をかしげて片目で私をみた。

きつつきもいた。
樹を打つ高らかな音はほんとうに見事だった。
あんな小さな頭と首のどこに、穴を穿つほどの力があるんだろう。



オオカミもいた。
オオカミってちゃんと見たことあったかな。
敷地の中をずうっとぐるぐるぐるぐる走っていた。

途中でトイレに行きたくて仕方なくなった。…というより、そろそろトイレに行きたい気がするけれど、本格的に行きたくなったらどうしよう、という恐れがそれを増幅させる。
あまりに広すぎてカフェもないし、そもそもそこらへんにある建物が公共施設なんだか別荘なんだかも分からない。

トイレの心配だけはいつも絶えることがない。

かなりぎりぎりで「スカンセン」という遊園地の外にある簡易トイレを見つけて、入った。
スカンセンってなんだ?と思ったら遊園地のようなもので、子供の団体がちょうど出てくるところだった。ここにHaoときたら楽しかったのかもしれないなあ、と思う。
覗いてみるとどうやら閉演時間のようだ。


スカンセンの近くにちいさなショップがあってそこでいくつかお土産を買った。
小さなコイン形の飴、いかにも北欧っぽい色合いのトナカイ柄のナフキン。



美術館とか水族館とかプランはたくさんあったのだけれどもう4時を過ぎたあたりからゴットランドへのことで頭がいっぱいになる。
ちゃんとフェリーの時間に間に合うかしら。手続きはできているかしら。
乗り場は分かるかしら。

いったい、どんなところなんだろう。

夕暮れが近づくにつれ、気持ちが高ぶって、なにひとつ落ち着いて見ることができない。



馬禁止って…とおかしかったから撮影。

河口湖へロケ!

今日はこれから河口湖へロケ。
なんのロケかと言うと…なんと撮ってもらうのは私!

舞台写真以外はすべてふざけてる写真しかないような私にモデルがつとまるのか?
そもそもモデルの下地があるのか…ということは、もうお話にならなすぎるから言及しないことにして…
みんなも、そこはつっこんだり気にしたりしないで!(焦)

まあまあ、この気持ちのよいお天気のなか、素敵なカメラマンと、一緒にきてくれるお友達と気持ちのいい時間を過ごせたらなと思う。
おもしろい写真が撮れますように。
なぜ私!?と疑問もあるけれどそこは、せっかく私を選んでくれたんだから。


それにしてもほんとにいいお天気。
私も晴れ女だけどカメラマンさんか友達が晴れ男なのに違いない。

撮られることより、河口湖の風景を撮れることが楽しみ!だったりもして。

***


まさかこんなに!という程に晴れた一日。
湖をみてあじさいをみて、素敵な美術館を教えてもらって。
おいしいものを食べてドライブを満喫して、そしていろんな話を伺って。

満載で楽しい一日でした。
カメラマンさんを撮らせてもらったりも。

その写真はまた後日。

居眠り、蓮



鎌倉まで足を伸ばした。
もう足がくたくただったのと、何故か急激な睡魔に襲われてどうしてものんびり座りたかった。
駅前のコンビニで雑誌を見て、ゆっくり座れそうな場所を見つける。

 
とても素敵なカフェ。
入り口に年配の方がたくさんいて、混んでいたらいやだなあと思ったのだけれど、奥のほうは誰もいなかった。
一番端っこの席に座ると本当に静かで、平和な光に包まれた。
テーブルとソファの低さがいい。日本の焼き物にちょこっと挿された花もいい。
裏庭を眺めながら。
黄色く透ける、昔っぽい灰皿の色。
柔らかな白熱灯のあかり。

私たちはいつのまにか崩れるようにぐっすり眠ってしまった。
店員さんはびっくりしただろう。
何人かお客さんが入れ替わり立ち代りした気配を覚えている。でも全然起きることができなかった。



少し眠って元気になって、鶴岡八幡宮を見に行く。
手前の蓮の池が素敵だった。
ここにはすっぽんがいて、ちゃんと「すっぽん注意」という看板もある。
すっぽんなんかどこにいるのかなーと池を覗いたら、忍者みたいにとがった口先がそこここの水中から飛び出ていて、びっくりした。



雨の蓮の池はやさしい。
波紋も、抱き取られた雨水のたまも、やわらかい曲線の影も。
蓮の実は泥のなかでじっくりと耐え、そこから伸びて水から顔を出し、あんなに美しく咲く。
近くには花が咲いていなくて表面にびっしり柔らかな毛の生えた葉っぱばかりを映した。

 

その池のほとりにちょっとすごい樹がたっていた。
大きくはないけれど老木なのだろうか。それとも病気?ほとんど皮だけの樹。
あちこちから見たけれど芯の部分がほんとうになくて、だけど元気に葉が茂っている。

昔聞いた、頭痛が酷いからお医者さんに言ってMRIをとってもらったら実はその人には全然右脳がなかった、という話を思い出した。
このひとの頭には水が詰まっていたのだけれど、この樹のこの隙間は何が満たしているんだろう。

そっと耳を当てたけれど、なにも聴こえなかった。


お参りに行く手前でトトロの森への入り口を見つけた。