家畜と呼ばれる動物を屠殺する際には、
残酷でない殺し方をするべきとか、恐怖や痛みが少ない殺し方をするべきとか、安楽死をさせるべきといった論は、昔からよく目にします。
そこで今回は、日本のと殺について見ていきましょう。
映像は海外のものですが、日本も全く同じです。
肉を食べている方は、ぜひご覧ください。
今回は、タイトルにある通り、豚のと殺についてピックアップします。
日本の豚のと殺では、電気ショックによって気絶させるのが一般的です。
この豚は電気ショックを与えられる前に、恐怖で逃げまどい、体を震わせていました。
こちらの豚は、電気ショックを与えられてからも気絶せず、
すぐに鳴き声を上げ、
再び電気ショックを与えられました。
電気ショックを与えられている間、豚の体は小刻みにブルブルと動いています。
電気ショックでは殺しません。
と殺の際は、必ず生きたまま殺します。
血を抜く前に殺してしまうと、血液が固まって肉に血が残ってしまうためです。
電気ショックを与えた後は、ライン上に豚を流したり、逆さづりにしたりします。
そして、胸のあたりの頸動脈を切断し、放血します。
そして、豚は出血多量で死亡します。
切られた後も、体をジタバタとさせる豚の様子が映っています。
これが豚のと殺です。
注意していただきたいのは、気絶処理は必ず成功するわけではありません。
以下は、日本のと殺場の映像です。
この豚たちは、すでに機会によって自動で電気ショックが与えられ、ラインに流されているところです。
しかし冒頭から、気絶処理に失敗して、職員が手動で再度、電気ショックを与えるところが映っています。
次の豚はかなり大きく手足をバタつかせています。
意識がかなりはっきりしている証拠です。
首周りに血がついていることを思うと、この子は意識のあるまま、頸動脈を切られたことになります。
頸動脈を切られてもなお、手足をバタつかせる豚に、職員が2度目の電気ショックを与えています。
と殺場では、豚の悲痛な叫び声が響き渡っています。
アニマルライツセンターの調査によると、
諸外国のスタニング(気絶処理)失敗率のデータは以下のようなものでした。
****************引用****************
2000年から2011年にかけて、
オーストリア、ドイツ、スイスの屠殺場での研究では、
豚の電気ショック(ペン(ESP)12%、トラップ(EST) 21% 、自動拘束装置(ESR) 31% )12%(ESP)、
豚のCO2は13%で十分なスタニングがなされていなかった
*****************************************
10%以上は気絶処理に失敗するということですね。
ちなみに、オーストリア、ドイツ、スイスの
「畜産動物福祉の評価ランク」はそれぞれ、B,D,Cです。
一方、日本は最低ランクのGです。
日本という国は、気絶処理の失敗率の調査すらしていません。
この時点でどれだけ、動物の扱いがいい加減な国なのかがお分かりいただけることと思います。
福祉の優れた国でも10%以上の失敗率なわけですから、日本はさらに上回る可能性が高いでしょう。
あとこれも勘違い多いと思いますが、電気ショックは気絶するからといって痛くないわけではありません。
かなりの痛みを伴います。
気絶するほどの痛みを味わうだけです。
嘘だと思うなら、ご自身で一度味わってみればよいでしょう。
電気ショックの気絶するほどの痛みを豚たちは、豚肉を食べるあなたのために強制的に与えられています。
しかも、気絶処理が失敗すれば2回もね。
さらに、東京都中央卸売市場食肉市場の気絶処理は、電気ショックではなく、
二酸化炭素で意識を失わせる、ガススタニングという方法をとっているようです。
こちらが、ガススタニングの実際の映像です。
扉がしまってしばくすると、突然倒れ、手足をバタつかせ、もがき苦しんでいます。
叫び声をあげながら、およそ25秒間 苦しみ、動かなくなりました。
この方法も、気絶しきれずもう1度、同じ処理が行われることがあります。
もがき苦しんだ後に、もう1度、この部屋に入れられるときの恐怖は計り知れないでしょう。
また、仲間の豚が殺されるのを、目の前で見させると殺場もあります。
以下も、日本のと殺場の映像です。
豚が電気ショックを与えられ、倒れています。
しかし、気絶処理に失敗し、2回目の電気ショックを与えられます。
そして、まだ屠殺が終わっていない段階で、次の豚が入れられます。
倒れる豚を心配そうに見つめています。
そして、目の前で首を切られました。
これらが日本のと殺の現実です。
これらを見て「日本の豚は丁寧に優しく扱われていて、恐怖も痛みもなく死んでいくのね」と感じる方はあまりいないと思います。
冒頭のような論がいかに不勉強で、メルヘンなことかがお分かりいただけるでしょうか。
苦しまずに殺す方法はないのでしょうか、などと言う方がいらっしゃいますが、そんな方法はありません。
麻酔入りの肉を食べたいですか?
人道的なと殺、安楽なと殺は存在しません。
と殺に関しては、どちらがマシか、を考えるしかありません。
安楽な方法が存在するとしたら、それは殺さないこと、つまりは食べないことです。
そして、豚の恐怖や苦しみは、と殺の時だけではありません。
豚肉の生産では、生まれた子豚は、生後1週間以内に、3つの虐待が行われます。
1つ目は、尻尾の切断。
麻酔なしで尻尾が切られます。
「過密飼いのストレスからお互いを傷つけあうことを防ぐ」といった理由で行われます。
食用豚たちは、過密飼育のストレスフルの状況で拘束されます。
あまりにもやることがなく、ストレスが溜まっているため、仲間の尻尾などをかんでしまうことがあります。
要するに、飼育状況を快適にすれば、起こらない話です。
業界側がわざわざ豚にとってストレスフルな状況を作って、問題行動をおこさせているにも関わらず、
根本的な改善は行わずに、尻尾を切って痛めつけて対処を行っているのです。
日本の養豚場の80%以上で、この虐待行為が行われています。
2つ目は、歯の切断。
麻酔なしでニッパーで歯が切断されます。
「子豚がお母さん豚の乳首や、ほかの豚の尻尾や耳を傷つけることを防ぐ」といった理由で行われます。
これも、かみついてしまうようなストレスフルな飼育を行っている事が原因です。
わざわざストレスフルな状況を作って、問題行動をおこさせ、根本的な改善は行わず、歯を切って痛めつけて対処を行っているということです。
切断された歯のうち 92%で神経感染症が起こり、
10.6%が出血、3.3%が骨折し、
歯の切断後、60%で歯の神経が開いてしまっていることが科学的に明らかになっています。
日本の養豚場の60%以上で、この虐待行為が行われています。
そして3つ目は、オスの子ブタの去勢。
麻酔なしで、鋭利なカミソリでふぐり(陰嚢)を切開、睾丸を取り出し、一気に引き抜き、切り取ります。
血がふきでて、言うまでもなく激痛であり、子ブタは鳴き叫びます(血がふきでた画像)。
あまりの痛みに、痛みが2~3日続くと考えられています。
無麻酔での去勢が原因で、心的外傷性疾患により死亡する子豚もいます。
処置後に腹膜炎を起こして死亡したり、ストレスから発育や免疫力が落ちる傾向があります。
去勢をする理由は、肉の雄臭を防ぐためです。
人間の味という欲のために、豚たちは切り刻まれるのです。
90%以上の養豚場がこの虐待行為を行っています。
豚の生産では、幼い頃にこれだけのありえない虐待が行われているんですね。
そしてこれらの虐待行為は、母豚の前で行われることがあります。
また、養豚業界では、
衰弱してしまった豚や、成長不良、病気、奇形などといった、業者の利益にならない豚は、養豚場自ら殺処分を行います。
最も残酷な工程の1つです。
殺処分の方法として、まず床に叩きつけて殺す方法があります。
豚たちは、意識のある状態で、頭や体を打ちつけられながら、殺されるのです。
これを暴力と言わずして、何と言うのでしょう。
日本ハムの養豚場では、母豚の真後ろでこの叩きつけを行っていました。
叩きつけられても死にきれず、1時間経っても、もがいて苦しむ豚もいます。
日本では、他にも、心臓に消毒剤を注射するなどして殺されます。
注射された子豚は、数分苦しみ もがいた後に、絶命します。
殺された豚たちは、ゴミのように捨てられます。
この殺戮を日常的に行っているのが、養豚業界であり、このような殺戮を行った農家たちが生産した肉をあなた方は食べているのです。
あなたの目の前にある肉は、決して1頭の犠牲ではないのです。
母豚は種付けされると、この妊娠ストールという狭い檻で拘束されながら、飼育されます。
一生のほとんどを、転回もできない、身動きができない、何もやることがない、この狭い檻で閉じ込められて生きるのです。
食事も、トイレも、この檻の中で行います。
必然的に、檻の中は、糞尿だらけの不衛生な場所になります。
豚は本来、綺麗好きにも関わらず、自分達の体は、自分達の糞で汚れていきます。
あまりの辛さに、豚たちは精神的に追い詰められていきます。
88%以上の養豚場で、この妊娠ストールが使用されています。
閉じ込めておいた方が、職員が、母豚たちの受胎・流産の確認や、給餌管理をしやすくなるからです。
母豚は、妊娠ストールで約4か月を過ごし、出産間近となります。
出産前になると、分娩ストールという檻にうつされます。
ここで、生まれた子供たちは、母豚の母乳を吸って大きくなります。
この檻も、妊娠ストールと同様、非常に狭い檻なので、母豚の苦しみは続きます。
母豚は身動きができないため、子育てはできませんし、
子供の具合が悪くても、助けることは不可能です。
母豚は、3週間程度、分娩ストールで過ごした後、子供と引き離され、また種付けされ、妊娠ストールへ。
このようなサイクルを何度も繰り返し、4~5年で生産効率が落ち使い物にならなくなれば、屠殺場へ送られます。
母豚の種付けは、人工授精によって行われます。
精液注入器と呼ばれるストロー状の物を人間が、メス豚の膣内に挿入します。
挿入が完了したら、精液の入った容器を注入器に接続し、精液を流し込んでいきます。
この非常におぞましい、感情ある生き物を冒涜しているとしか思えない行為は、
日本でも広く行われており、その利用率は2014年時点でも70%を超えています。
精液採取も人間の手によって行われます。
このように、自然からかけ離れたおぞましい行為を、当たり前のように行っているのが、養豚業界なのです。
豚は15年~20年生きると言われていますが、
豚肉にされる豚は、何歳で出荷される つまり 殺されるか知っていますか?
なんと、わずか生後6か月です。
皆さんがテレビなどでよく目にする出荷される、あの大きな豚は、実はまだ子供なのです。
この写真が生後6か月の姿なのです。
異常な大きさでしょう。
なぜここまで大きいのか?
それは人間が、品種改良を行ってきたからです。
豚は、イノシシの品種改良です。
人間が食べる肉のために、イノシシを家畜化したのが豚なのです。
そして、少しでも多くの肉が取れるように、短期間で大きくなるように改良されてしまいました。
品種改良には
・ 一日でも早く出荷するための「成長率の向上」
・ 脂肪が交雑した霜降り肉などを作るための「肉質改良」
・ より多くの子供を産ませるための「繁殖能力の向上」
などがあり、
人間都合の品種改良によって、豚は苦痛を感じたり、病気を抱えやすくなっています。
まずは、脚弱。
足が弱り、立ち上がることが困難になります。
脚弱は、床の状態、拘束飼育による運動不足など様々な要因がありますが、成長率向上による品種改良も要因の一つです。
生後4、5か月の豚の多くが四肢の関節に骨軟骨症があり、徐々に進行して、やがて脚弱という症状になって現れます。
次に、母豚の空腹による異常行動。
太るように改良されたことにより、豚たちはお腹が空きやすくなっています。
しかし母豚は、妊娠期間中、生殖能力を最適化するために、餌を制限されます。
餌を満足に食べることの出来ない母豚は、空腹に苦しみ、
目の前の柵をかじり続けたり、
口にモノが入っていないのに口を動かし続けたり(偽咀嚼)などの異常行動を起こします。
そして、子豚の死亡率の増加。
日本の母豚1頭あたりの産子数は11頭。
豚はイノシシの品種改良ですが、イノシシの産子数は4~5頭ほどなので、かなり多産になってきていることが分かります。
母豚が多産になるにつれて、離乳前の子豚の死亡率は増えます。
ある研究では、13年間で、生まれた豚が3.0頭増加し、離乳前の死亡率は5.4%増加していることがわかりました。
さらに、母豚の脱肛。
脱肛は直腸、膣、子宮が外に出てしまう疾患で、母豚は痛みで苦悩し、治癒しなければ死に至ります。
脱肛の原因は様々ですが、品種改良による繁殖率の向上が1つの要因と考えられています。
脱肛の増加により、アメリカでは2013年から2016年の間に母豚の死亡率が約2倍に上昇したというデータが出ました。
脚弱、空腹、多産、脱肛など、品種改良は豚たちに様々な苦しみを与えています。
このような苦しい生活を過ごし、時がくれば、冒頭のようにトラックでぎゅうぎゅう詰めにされ、屠殺場へ運ばれます。
過密状態のまま、酷暑であろうと、極寒であろうと、
吹きさらしの状態で、長距離、長時間、座ることもできず、運ばれます。
あまりの過酷さに、到着する頃には、衰弱して歩くのが困難になっていたり、死んでしまう豚もいます。
輸送の苦しみに耐え、ようやく屠殺場に到着しても、
今度は中に運ぶ際に、職員によって暴力を奮われます。
蹴る
上に乗って蹴る
棒で叩く
ホースで鞭打つ
電気スタンガン
自分の仕事を早く終わらせることしか考えていない職員たち。
殺すというこれ以上ない暴力が行われている場所です。
このような職員がいても、何ら不思議はありません。
さらに、と殺は翌日に行われることが多く、搬入したその日にと殺する屠殺場はわずか7%です。
つまり、93%のと殺場では、吹きさらしの係留所で、過密状態のまま、一晩放置されます。
係留所でもストレスから、闘争が起こります。
そしてご紹介したように、最後は恐怖の中、頸動脈を切られ、出血多量で死亡し、
最初から最後まで楽しみもない、苦しみしかない、短い生涯を終えるのです。
あなた方が欲する豚肉のために。
日本人はすぐに感謝していただくことに意味があるなどと言いますが、
殺された後に感謝してくれれば、このような悲惨な一生を送ってもいいという奇特な方がいらっしゃれば教えてください。
このような言葉は、現実をまるで知らない人か、欲に勝てない人や、倫理観のない人が建前で使う、中身のない言葉です。
冒頭の恐怖や痛みの少ない殺し方うんぬんを言っている方々は、圧倒的に肉を食べる犬猫愛護家に多いです。
肉を食べながら、犬猫の殺処分に反対しています。
例えばガスによる処分は、犬猫の殺処分と何ら変わりませんが、
家畜のと殺が苦痛の少ない殺し方などと言うのであれば、犬猫の殺処分も苦痛の少ない殺し方だから問題ないですか?
それとも、犬猫の殺処分に反対しておきながら肉を食べている人は、豚ならこの蛮行が許されるということでしょうか?
犬猫のことになると、ペットショップから買わないで! 生体販売反対! と消費を減らそう、なくそうと訴えかけるのに、
豚牛鶏になると突然、消費行動を変えずに、飼育方法や殺し方だけに文句をつけ、法律を変えればいいなどと言う方が多くて驚きます。
それって、ペットショップから犬猫買ってる人が、悪徳繁殖家に文句を言っているのと同じですが。
消費が大量にあるのに、どうやって世の中が変わっていくんです?
バクバク食べる人だらけなのに、法律ができて、価格が跳ね上がって、大多数が納得すると本気でお思いですか?
ものすごい反発がくるのは目に見えているじゃないですか。
動物を好きと自称する人に、このような基礎基本が分かっていない人が非常に多いのが残念でなりません。
肉を食べることでこれだけの暴力が生みだされていることが理解できないのでしょうか。
なぜこれだけ問題が山積みの中、食べながら、文句を言えば解決すると思うのでしょう。
問題と真剣に向き合う気がないとしか思えません。
味という欲に勝てない。カワイイ見た目のペットを買いたいという欲に勝てない。
どちらも同じ。全ては人間の欲が招いています。
豚も、感情があり、個性のある生き物です。
肉からしか摂れない栄養はなく、タンパク質不足になるなど大嘘です。
・ 菜食の始め方
・ 人間の体と食べ物
以下、代替肉料理、商品をちょっとだけまとめました。
本当に動物に優しい人は、言い訳をせず消費行動を変えます。
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