神奈川県藤沢市にある「新江ノ島水族館」。
昨日、こちらの水族館前で抗議活動が行われました。
何も考えずに水族館に行っている人達に向かって、
水族館のイルカがどのようにしてやってくるのか、水族館のイルカがどのように飼育されているのかをスピーチしたり、
チラシを配ったりして啓発されています。
最初スピーチをされている女性。
この女性はなんと、新江ノ島水族館の元イルカトレーナーです。
「元イルカトレーナーが、顔を出して水族館前で啓発をするというのは、日本で初めてではないか。非常に歴史的な日だ。」
とLIAのヤブキさんはおっしゃられています。
元イルカトレーナーなだけでなく、まさにこの新江ノ島水族館で勤めていた人ですよ。
なんという勇気。英断。素晴らしいです。
彼女の全スピーチは、30分20秒頃から見れます。
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自分はかつてここの水族館で、イルカの調教等を行っていた、元イルカのトレーナーです。
自分も小さな頃は、今ここにいるお子さんたちのように、水族館に連れてきてもらっていました。
動物が好きで、イルカが好きで、憧れのイルカトレーナーという仕事に就くことができ、とても嬉しかったことを覚えています。
しかし、観客として見るイルカ達と、飼育サイドから見るイルカ達。
今まで知らなかった現実を見ることになり、理想と現実のギャップを感じ始めました。
まず思ったのは、水族館の水槽というのは、野生のイルカを飼育するのには全く適していません。
イルカ達は、時速70kmの速さで泳ぐ能力を持ち、
家族と共に世界中の海を、1日のうちに60km近くも移動する、回遊性の野生動物です。
多くの水族館がそうであるように、イルカ達は、1日に5回も6回もショーをさせられています。
本来の野生生活ならば、静かな海の中で、エコーロケーションという特有の能力を使い、平和に暮らしているイルカ達にとって、
水族館のせまいプール、ショーの大音響、観客の拍手や歓声は、イルカたちにとってはストレスでしかありません。
水族館で生まれた赤ちゃんイルカの死亡率が高いことを研究した海外チームがありました。
赤ちゃんが母親の体内にいる間中、水族館の騒音と、母体の受けるストレスにさらされ、
脳に障害を持って生まれてしまうリスクが高いという研究発表をしておりました。
実際、水族館という施設で働いて、ショーをしていない時のイルカ達は、自分が思い描いていたイルカのイメージとは程遠いものでした。
顧客としてイルカショーを見ていたときは、かわいい笑ったようなイルカの顔、
合図で高いジャンプや、スタンディング、輪をくぐったり、感心することばかりです。
今イルカショーを見ている皆さんと同じでした。
しかし、中に入って働いてみると、
ショーのない時間、イルカ達はせまいプールの中を、ぐるぐる回っているだけだったり、
泳ぐことをせずプカプカと浮かんでいることが多かったです。
本当につまらなそうなその姿を見て、人間のためにこんなところに閉じ込めてしまい、申し訳ないと思ったのを覚えています。
野生のイルカは家族と広い海の中で、皆で協力して、魚を追ったり遊んだりしながら自由に暮らしていますが、
水族館に連れてこられたイルカは、これら生きる自由と楽しみを全て人間に奪われた状態です。
体に対する脳の割合が、人間の次に大きいと言われるイルカ達は、豊かな感情と知性を持っています。
そんなイルカ達から、生きる楽しみを全てを奪ってしまう、動物利用の娯楽はとても残酷なものだと思いませんか?
イルカ達の水族館での生活は、1日5~6回のショー、その合間の調教の繰り返しで終わります。
ショーの間は、チームワークの良いジャンプやダンス、様々な芸を見せてくれますが、
ほぼ全員、赤の他人のイルカです。
それぞれのイルカが、別々の家族から奪われて連れてこられた、赤の他人の寄せ集めです。
1番問題なのは、水族館がイルカを入手する方法で、
和歌山県の太地町という町が行っている、イルカ追い込み猟で捕まったイルカを買っています。
太地町は世界でただ1つのイルカ生体販売所です。
2015年、日本動物園水族館協会(JAZA)は、太地町のイルカの捕獲方法が残酷で問題アリとし、
協会加盟の水族館に対し、太地町のイルカ追い込み猟で捕まったイルカの生体購入を禁止しました。
しかし、ここ江ノ島の水族館は、引き続き太地町からイルカを買うために協会を脱退しています。
なぜ協会を抜けたのか、直接こちらに伺ったところ、
自家繫殖に力を入れる方向のため、イルカ達の血が濃くならないようにという説明を受けています。
太地町のイルカ猟は、その残酷さで世界中から非難を浴びています。
海外では、日本のイルカ追い込み猟の様子は、センセーショナルなニュースとして扱われていますが、
ここ日本では、猟の様子は一切報道されていません。
報道関係者が、残酷すぎて報道できないと言っていました。
イルカ追い込み猟は、イルカ達の家族をまるごと全員、入り江に追い込んで、
パニック状態のイルカ達の中から、水族館に売れそうなイルカを選別して、家族から引き離してしまいます。
販売用に選ばれなかったイルカは、食肉用として皆殺しにされます。
追い込まれたイルカ達は、お互いが目の前で殺されるのを見ています。
家族が次々に殺されるのを見て、どうすることもできず、
水族館に連れてこられるイルカ達は、人間の手によって、家族が殺されるのを見ています。
追い込まれたらそこで殺されるか、水族館に売られて死ぬまで芸をさせられるか、どちらかになります。
水族館の意義として、
動物の飼育を通じ、生き物を絶滅の危機から守るため、種の保存、保護に取り組むという項目がありますが、
数頭のイルカを水族館に売るために、
3~4年に1回、1頭の出産しかしないイルカという動物を、
家族まるごと、赤ちゃんまで殺すイルカ追い込み猟から生体購入していることは、全くその意義に反しています。
むしろ、イルカ達を絶滅の道に追いやっているのは、水族館であるとしか言えません。
これが日本の国民にはひた隠しにされている、イルカショーの裏側です。
海外の人たちが、日本人よりもよく知っている水族館の裏側です。
そして、太地町からイルカを買うということはどういうことか、水族館関係者は知っています。
イルカの顔が笑っているように見えるのは、彼らの骨格上そう見えるだけであって、
殺されるときであっても、イルカ達はあの笑ったような顔のままです。
水族館でイルカ達の目を見たら、笑ってなんかいないと気がついてください。
彼らの目は人間を責めているように見えます。
イルカ追い込み猟と、水族館のビジネスがある限り、野生のイルカたちは減り続けていきます。
人間の娯楽が野生のイルカを絶滅に追い込んでいます。
水族館は、イルカショーを見る人がいる限り、太地町からイルカを買うと思いますし、
太地町は、水族館がイルカを買い続けるなら、イルカを殺し続けると思います。
イルカの追い込み猟は、伝統や文化ではなく、生体販売の商売だということ、
水族館は、種の保存,保護ではなく、野生動物であるイルカを絶滅に向かわせている施設であること、
そして、それを支えているのが、水族館入場者1人1人のお客さんであることに気がついてください。
1人1人が行動を変えて、水族館へ行かない選択をすれば、野生のイルカ達を守ることができます。
イルカ追い込み猟で検索して、実際に起こっていることを知ってください。
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以上です。
元イルカトレーナーによる、水族館、イルカ追い込み猟の現実、その全てが語られたスピーチでした。
まず知らない人のために、追い込み猟の説明をしておきます。
水族館のイルカは、和歌山県太地町のイルカ追い込み猟によって捕らえられます。
バンガーと呼ばれる、この鉄の棒を
カンカンと叩いて、イルカの不快な音を海に大音量で流します。
イルカは聴覚がすぐれているため、この音から逃れようとします。
猟師たちはこの性質を利用し、どんどん入り江に追いやっていきます。
そして 入り江まで追い込まれ、捕まってしまうのです。
追い込まれたイルカは、水族館向きか、そうでないかが選別されます。
水族館に不向きのイルカ達は、食用としてその場で殺されます。
殺すときは、イルカのせきずいを尖った棒で刺し、ねじり込みます。
そして、長きにわたって苦しんだ後、絶命します。
妊婦や赤ちゃんであっても、容赦なく殺され、家族皆殺しになることは日常茶飯事です。
Life Investigation Agency (LIA) - 投稿 | Facebook
2021年だけで、約500頭のイルカが追い込み猟によって殺されました。
この残虐な猟を支えているのが、スピーチにあった通り、水族館関係者であり、そして水族館に行く人たちなのです。
特に、今回の新江ノ島水族館は、太地町からイルカを購入し続けている水族館です。
JAZAに加盟していた新江ノ島水族館は、JAZAが太地町からの購入を禁止すると、
わざわざJAZAを脱退し、太地町からのイルカ購入の道を選んだのです。
その新江ノ島水族館で働いていた元イルカトレーナーの方が、
実際に仕事をしていく上で、水族館の実態に気づき、
自分の心に従い、イルカトレーナーを辞める決断をし、そして働いていた水族館に向かって啓発のスピーチをしたのです。
これはなかなかできる事ではありません。
実は、イルカトレーナーのほとんどは、実態に気づいてもこのような行動をしません。
ずっとイルカを虐待している事実から目を反らし続けているのが、イルカトレーナーなのです。
先ほど、水族館向きかそうでないかが選別されるという話をしましたが、
その選別作業を行うのは、実はイルカトレーナーたちなのです。
トレーナーたちは、若いメスのイルカを好みます。
その方が従順で調教しやすく、子供を繁殖させて、さらなる金儲けが期待できるからです。
トレーナーたちは、自分達に選ばれなかったイルカが殺されることは知っています。
これは、どこの水族館のイルカトレーナーも同じです。
しかし、彼らのほとんどは追い込み猟に反対していません。
以下は、2021年9月20日にトレーナーが選別作業をしている時の様子です。
殺されたイルカの血で染まった真っ赤な入り江の様子を、トレーナーは何もせず眺めていました。
— キリ (@Kiri36268982) November 13, 2021
以下は、昨年11月19日にトレーナーが、猟師と共にイルカを追い込んでいる様子です。
イルカ達がパニックを起こしたり、乱暴に運ばれるのを横目に、トレーナーたちは選別作業を行いました。
命を犠牲にすることに慣れきったトレーナーたちは、
選別作業の際も緊張感はなく、笑いながら和気あいあいと作業を行っています。
以下は、生体販売用のイルカを運ぶ際、
イルカの頭を、足で踏んづけるトレーナーです。
野生のイルカは死んだ魚を食べません。
なので、 トレーナーたちは、イルカに死んだ魚を食べさせることから調教します。
その際、無理やりタオルで口をこじ開けられることがあります。
日本の映像です。
イルカが嫌がって鳴いている様子が見てとれます。
シャチなどの大型になると、鉄の棒でこじ開けることもあるそうです。
死んだ魚は水分を含んでいないため、口にチューブをさしこみ、水分を与えます。
業界は補液などと呼んでいますが、こんな事をしなければならない時点で、
イルカたちにとって、水族館という環境がいかに不自然なのかが分かります。
水族館のイルカがトレーナーにジャンプをしてアピールをしたり、言うことをきいて芸をするのは、餌がもらえるからです。
トレーナーを好きだからではありませんし、信頼関係があるからでもありません。
こちらの動画は、太地くじらの博物館のイルカショーの様子です。
トレーナーを見てみてください。
イルカが芸をする度に、魚を口に放り込んでいる様子が観察できます。
魚をあげないと芸をしなくなるからです。
トレーナーたちは、イルカを足で踏みつけるという芸を行い続けます。
こちらの画像は、完全な支配関係をどうぶつに擦り込むために、頭や顔を踏んでいるそうです。
「お前は人間の下だ!」「わかったか!」と、屈辱を与えるのです。
こちらは、新屋島水族館のイルカショーの様子です。
ふざけた格好をしたトレーナーが、胸に傷があるイルカに乗ってサーフィンをしています。
水族館では、野生化のイルカには見られない、
餌の吐き戻し、顔や体の壁への擦り付け、長時間の静止などの行動が見られます。
こちらは、のとじま水族館のカマイルカの長時間の静止の様子。
異常行動は他にもあり、
ぐるぐると同じところを泳ぐ、常同行動。
無気力状態で浮かびプールの底に頭をぶつける、自傷。
もちろん、これらの事実をトレーナーは認識しているでしょう。
また、水族館のイルカは薬漬です。
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日本のある水族館でイルカに使用している薬品等の種類は、61種類でした。
ビタミン剤 5種類
カルシウム剤 1種類
飼料(微量栄養素含有) 1種類
眼薬 1種類
胃腸 15種類
肝臓薬 1種類
尿 1種類
抗生剤(抗菌剤) 22種類
抗真菌薬(カビ) 1種類
抗炎症 解熱鎮痛剤 3種類
貧血 2種類
鎮痛剤 3種類
止血剤 4種類
不明 1種類
薬漬けです。
胃腸系の薬と、抗生剤が飛び抜けて多いことから、
イルカたちが胃腸の疾患と、細菌による感染症に苦しめられていることがわかります。
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死んだ魚を与えられることにより、ビタミン不足になり、
1日65kmを泳ぐイルカは、水族館の狭いプールの不自然な環境や、やりたくもないショーの調教などによって、常にストレスを抱え
体調を崩しやすく、免疫が下がり、感染症にかかりやすくなります。
そのため、ビタミン剤や、胃腸薬や、抗生剤などのあらゆる薬が必要になります。
また、プールの水の中には感染対策のために塩素が大量に入れられています。
水族館での出産1年後の赤ちゃんイルカの生存率は20%。
すなわち、死亡率は80%。
いおワールドかごしま水族館のイルカの赤ちゃんの生存率は、なんと11%。
つまり、死亡率は89%です。
水槽から転落したり、人工岩に激突する事故なども起きています。
野生のハンドウイルカの寿命は、少なく見積もって40年。
それに対し、水族館のハンドウイルカの寿命は、平均でわずか15年程度です。
異常な差です。
仮に生き残ったとしても、毎日毎日狭いプールで過ごし、芸をするだけの繰り返しです。
こちらの新江ノ島水族館のカマイルカは、この激せまのプールで、もう40年も過ごしています。
これらから分かるように、イルカがトレーナーが好きだとか、トレーナーがイルカが好きなどといったイメージは、すべて虚像なのです。
本当にイルカが好きな人たちは、このような矛盾に満ちた状況に耐えられず、トレーナーになるのを断念します。
こちらは、専門学校まで進んだにも関わらず、トレーナーが搾取であることに気づき、専門学校を辞めた女の子の話です。
こちらは、罪が大きいことを感じて辞めた、元イルカトレーナーのツイート。
水族館用に選ばれなかったパイロットホエールが殺されるのを何もせず見ている
— VALKANN (@VALKANN1) September 21, 2021
イルカトレーナー。
イルカトレーナーの仕事はイルカ好きじゃ出来ないよ。
自分はイルカ好きでイルカトレーナーになったけど
人間の罪が大きすぎることを感じてやめました。 pic.twitter.com/lh72gtZBQF
こちらは、トレーナーの専門学校に通っている人に「やめた方がいい」と語る元イルカトレーナーの証言。
このように、本当のイルカ好きには続けられない仕事なのです。
トレーナーを続けている人は
イルカと触れ合う自分が好きなだけの人
イルカを利用してお金稼ぎをしたい人
罪悪感を感じつつも行動力がない人。
そういう人たちが割り切ったり、都合の悪い部分から目を反らしたり、言い訳したりして、続けていきます。
そんなトレーナーがほとんどなのです。
その中で、イルカトレーナーを辞め、働いていた水族館に向かって啓発する事がどれだけすごいことか、お分かりいただけるでしょうか。
そして、彼女のスピーチも奇跡的なのですが、実は、この日は、中学生もスピーチに参加しているんですよ。
24分15秒頃です。
中学生が水族館に行かないという決断をするだけでなく、人前でスピーチをしているんですよ。
何も考えずに水族館に行く大人の皆さん。
自分が楽しいとか、自分の子供が喜ぶとか、
自分のことばかり考えるのではなく、少しは事実を調べ、問題と向き合い、行動してはいかがでしょう?
イルカの虐待、虐殺を支援しているのは、水族館に行き、イルカショーのチケットを買う人たちです。
水族館が儲からなくなれば、追い込み猟がなくなり、トレーナーもいなくなります。
逆に言えば、水族館がある限り、イルカ達の地獄は永遠に終わりません。
すべての動物問題は、消費をなくす以外に解決はありません。
イルカショーのチケットを買わないでください。
水族館に行かないでください。
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