田上孝一「はじめての動物倫理学」。
ヴィーガンの間でよく名前が出る書籍です。
倫理学の基礎に始まり、肉食やペットなど具体的な問題を切り口に、
いま求められる動物と人間の新たな関係を問う、動物倫理学の入門書となっています。
著者の田上孝一さんは、立正大学で講師や研究員をされたり、
社会主義理論学会の事務局長を務めておられる日本の哲学者だそうです(Wikipedia)。
目次は、このようになっています。
第1章 なぜ動物倫理なのか
第2章 動物倫理学とは何か
第3章 動物とどう付き合うべきか
第4章 人間中心主義を問い質す
第5章 環境倫理学の展開
第6章 マルクスの動物と環境観
こちらに、「第3章 動物とどう付き合うべきか」の要約動画があるのでご覧ください。
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まず動物福祉と動物権利、これ全然違う。
動物福祉的考えってのは、動物はあくまで人間にとっての手段であるが
その前提のうえで、極力動物に配慮すべきだ。
これが動物福祉。
動物福祉っていうのはあくまで利用する前提の上で
できるだけ動物にとっても苦痛がないようにっていう配慮。
動物の権利のはそもそも制度的な問題。
権利があるって事は、利用されてはならないってこと。
手段として扱われてはならない。
動物福祉では根絶は絶対ないよね。
その動物を利用することに対してはまったく問題にされてない。
だけど、動物の権利を認めるということは
そもそも手段として利用されることが根本的に問題である、というふうに考える。
だから質が全然違う。
とはいえ、相反するものではなくてどちらも大事。
動物の権利に配慮したっていう場合の倫理的実践ってのはどういうあり方をするか。
まず倫理的実践とは何か。
当たり前のことは倫理的実践とは言わない。
ちょっと努力しないとできないやつっていうのが倫理的実践といわれるもの。
かといって、とんでもない努力を要求されるようなのは倫理にふさわしくない。
常識的な努力の倫理的実践ってのを、動物倫理の問題で考えていこうってのが
第三章でケーススタディに入っていきます。
まず肉食です。
普通、動物の権利とか動物の福祉って言ったら、みんなペットに注目するけど、肉食こそが最大にして中心です。
その理由が、まずは環境的な問題。
工場畜産、ひどい状況に動物を追いやる。
あとは環境破壊。
畜産には資源がたくさんかかる。
環境的な問題、資源的な問題。
これは、肉を食わないっていうのが倫理的だ、っていうのが納得できない人に対して
でも環境破壊とか資源破壊の問題はあるでしょ、っていうのが今までの話。
それはもう納得せざるを得ないでしょっていう。
強負荷の高い畜産はダメだけど、負荷が低ければいいんじゃないの?
牛は一番環境破壊する、鶏食っていいんじゃないの?
そういう話も出てくる。
要するに、環境的にも問題があり、その上で
動物倫理学の根本問題である動物に対する過度の苦痛と虐待っていうのをなくすべきである。
そうするには、少なくとも工場による畜産っていうのが不要になるくらいまでに規模が縮小されるべきだよねってこと。
それが肉食。
で、卵と牛乳どうなんですか。
卵がダメな理由は、オスのヒヨコがひたすら殺されるかだめ。
牛乳は普通に売られている安価な牛乳は、やっぱり工場畜産なんだという話になっちゃう。
妊娠しなきゃいけないね、牛が。
妊娠を強制的にさせるって事が、まずとんでもない苦痛。
その上で乳を絞り出すっていうことだから。
次に問題なのが、動物実験です。
必要悪って言うことが100%間違ってるわけじゃないが
もうちょっとなんとかなるだっていう話。
どうでもいい薬とか、化粧品こそマジでどうでもいいだろう。
化粧品の副作用の問題で、これ塗ったらどうなるかを調べるために、
わざとめちゃめちゃ塗りすぎたりするわけ。動物に対して。
この成分が目に入っちゃったらどうしようみたいな感じで、目にわざと入れたりするわけです。
そういうのが、化粧品なんてどうでもいいだろうということですね。
本当に大切な医薬品とか、そういうところではまあ確かに仕方ない面もあるが、ファンデーションどうでもいいだろ。
で、野生動物が次。
野生動物園どう考えたらいいかって言ったら、基本的にはほっとく。
それの関連で、動物園と水族館っていうのがある。
動物園にいるような動物たちって、ペットや家畜にならないような動物がいるわけですね。
魚とか。
動物園はその本質からして動物虐待施設である。
これがなんでかっていうと、野生の環境なのに閉じ込められて観察されている。
動物園がなぜあるのかって、動物の研究ために動物連れて来て、お金の確保のために動物園。
で、今だったらそんな必要はないだろうって話ですね。
教育目的だったら、ドキュメンタリー作品でも見せろ、で。
水族館がも同じ。
野生動物の狩猟、狩り、スポーツハンティングなんていうのはもう許されない。
毛皮とかもダメだろう。
イヌイットみたいなところは必要かもしれないけど、俺らにとって必要ないっていう話。
野生動物の駆除。畑荒らしとかですね。
これも基本的にダメ。
そもそも畑を荒らすような動物には理由があるだろう。
人間が開発して動物が住む場所がなくなってきたから、畑を荒らしたりするんだろう。
まあでも、それも仕方ない部分であるから、
駆除の仕方も、動物を近寄らせないと。
殺すような駆除をするべきではない。
ようやく、ペット。
ペットっていうのは大して重要じゃないから、こんなに後回しになった。
基本的に、ペットを大切にするっていうのは当たり前だから、倫理的実践でも大してない。
ペット産業問題っていうのがある。
そもそも生体販売されてるし、権利としてありえないことになる。
売られるために生まれてくる。
存在理由がまず結構悲しい。
売られるために生まされてるんだから。
じゃあどうしたらいい。
ペット産業は良くないっていうのは、皆何となく思うことで、
野生動物とは逆に適切に人間に世話されるかが幸福に生きられる鍵である。
そのために、繁殖の問題とqolの問題で、去勢とか避妊手術っていうのが適用される。
むしろ去勢、避妊した方がいいわけだよね、理念として。
全ての犬猫のような愛玩動物が幸せであれば、それらの動物は、
今現在生きている生が幸せなまま尽きたら、種として絶滅することを意味する。
総合的に考えると、長期的に見て、ペット、コンパニオン動物は
絶滅に向かって徐々に減り続けるのが倫理的に正しいということになりそうである。
存在しないこと、それ自体が最善だと考える、アンチナタリズムが一部で流行を見せているが、
人間について適切であるかどうかは問わないが
家畜動物、コンパニオン動物に関しては、アンチナタリズムの適用対象ということができるかもしれない。
去勢避妊した方が良いような存在っていうのは、そもそも存在として幸せなのかっていう問題提起してる。
ペット産業、犬猫を飼うっていうのはなくなっていくべき文化なんじゃないかって話。
動物と人間の接点がなくなるってのはすごい重要な問題で、
動物と人間との接点のために、ペットなり何なりがいた方がいいっていうのは確かに一理あるが、
その身近な動物って明らかに手段として利用されてますよね。
種とか類として考えたら、そっちのほうが有益ってことはあるかもしれないけど、
個体として考えたら、その目的のために犠牲になっている個体がいるって事になる。
動物福祉の問題では許されるが、動物権利っていう観点から許されない。
それが一つ。
で、接点の問題は、例えば公民権運動。
アメリカで黒人差別の時は、黒人の方で二つの意見に分かれたんだよね。
白人と対等な存在として共に生きるっていう選択肢と、
白人とはもう関わらない、そもそもも白人のいるような社会で生きないっていう、
共生と分離っていう、2つの選択肢が提案されていた。
その人たちは、アフリカへ帰ろうっていうような話をしてた。
白人達となんか一緒に生きたくないっていう、
今までは自分たちを虐げてきたやつと、対等として生きるなんて考えられない、
それを考えると、分離することで、黒人たちからしたらいいかもしれないけれども、
優位に立った白人たちは周りに黒人がいなかったら余計に差別意識が強まるんじゃないかっていう問題が生じる。
この構造は多分、周りに動物がいなかったら、
動物に対する権利とか、倫理の感覚は関心がなくなるんじゃないかっていうのと全く同じ問題なわけですね。
ペットをきっかけに動物の倫理とか動物の福祉に関心を持つって間違いなくあるから、そういう理念があるにしても、
個体として利用されているっていうようなことはあっちゃいけないんじゃないかっていうのもあるし、
どんどん動物利用が減っていけば、そもそも関心を持つ必要もなくなってくるだろう。
動物園の虐待というのは、野生動物にとっては虐待です。
例えば動物の権利を認めるとしたら、人間が一定の箇所に軟禁されて他の人間に見られるっていうのは完全な権利侵害ですね。
動物も同じでしょって話です。
考え方の基本は共通してるわけだよね。
動物の権利って何って考えたら、とりあえず僕らが人間の権利として基本的に認められているようなこと、
苦痛を受けないとかを前提にして考えたはこうあるべきでしょっていう。
生態系には利益になることもある狩猟を非難するのは少し違和感があったが、生態系よりも個を重視するの?
利益になる場合は、必要においてはその限りではないけれども、
少なくとも必要ないようなものは止めるべきだっていうのがこの意見だよね。
例えばスポーツハンティング、後は毛皮。
毛皮なんか使わなくていいだろ、ただの高級品として扱われているだけだろ、
それによって得られる利益が、動物に与えられる苦痛と比べたら、もうあまりにも違いがあって、もはや公序良俗を犯していると言えると。
少なくとも必要もなく動物が利用されるような場面は望ましくない。
生類憐れみの令とか宗教的なものと違うのは、権利概念はないわけですね。
宗教的な文脈とか動物福祉的な文脈とかだと、植物を食べるというのはどうなるって言う話とバッティングしやすいんですよね。
あらゆる生命が大事だったら、植物食っちゃダメだ、よくありますよね。
だけど、権利っていう問題にしたら、権利対象が問題になるんですよ。
植物は権利対象にあてはまるのか、あてはまらないのか。
あてはまらないんだったら、別に植物は食べても構わない。
動物福祉とか宗教的な考えってのは、命を大切にしましょうってことなんだけど、
動物権利は、権利を大切にしましょうって話なんです。
ここがね、ちょっと違ってくるんですよね。
つまり、権利があると考えられるようなものってのは、
自らに与えられている苦痛だと感じることができる、そういう認知能力を基準にしてるわけですね。
動物倫理の思考ってクリアーなんですよね。
シンプルなんですよ、原理が。
動物に苦痛を与えるべきでないっていう、たったこれだけの原理だから。
基本的にそれやれば、概ね間違うことはない。
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動物倫理は、苦痛を感じる動物に対して苦痛を与えるべきでない、というシンプルでクリアーな原理。
命を大切にしましょうではなく、権利を大切にしましょうという考えです。
この基本原理を軸にすることで、倫理的な選択というものが見えてくるわけです。
自分にとってどうか、人間にとってどうかという軸を持っている限り、倫理的な選択をするのは不可能であり、動物の苦痛を最大限に与える側にまわります。
この動画を上げた、ネオ高等遊民:哲学マスターさんは、2020年に菜食を始めようと考えたそうです。
2年悩んだ結果、ほぼ倫理的な判断で、肉食の機会を可能な限り減らすべきと判断した、とのことです。
肉からやめて徐々にシフトしていく方向のようですね。
倫理学を研究していった結果でそういう考えに至ったのかは不明ですが、
少なくとも、考えるきっかけにはなったのではないでしょうか。
人間のせいで、食べ物、衣類、動物実験、狩猟、ペットなどに利用される動物達には、
拉致、監禁、拘束、レイプ、無麻酔での切断、皮膚のひきはがしなど、ありとあらゆる残虐行為が行われています。
↑肉食の方、動物性の衣類を着る方、動物園水族館に行く方、動物実験された商品を買う方などは、まずしっかり映像を見ることから始めましょう。
感謝して頂くとか、余すことなく頂くとか、植物も命だとか、
こういうことを言ってる人たちは、映像を全く見ておらず知識もなく現実を何も分かっていないか、
共感力が乏しい倫理観がない人たちです。
後者の人は変わることはないので放っておくとして、
前者の人たちはまず映像を見るべきですし、これが一部で行われていることではなく、全て自らの欲が招いているということを知るべきだと今も思っていますし、私の発信はそういうものが大多数です。
ページをさかのぼってもらえば、9割以上がそういう記事です。
しかし最近は今回のような、動物搾取がなぜ間違っているのかを論理的に説いたものを取り上げる回数を増やしています。
きっかけは、年末にいただいたメッセージです。
夫婦でヴィーガンになった方の旦那さんが、ゲイリーヨーロフスキーのインタビュー動画をきっかけに変わったとのことでした。
元々は残酷な映像がないものはあまり意味がないと考えていた方だったのですが、
そこから、こうした論理的な説明も人を変えるきっかけになるかもしれないと考えるようになり、最近はこれ系の発信回数を増やしています。
すでにヴィーガンになった人たちが、考えを整理するきっかけにもなるでしょう。
確かに、なぜ反対するのか、その細部の考えがクリアーになっていく感覚はあります。
というわけで、他の記事も気になるものがあれば読んでみて、ぜひ自分を変えるきっかけや、考えを整理するきっかけにしてみてください。
⇒人間が肉を食べるのは食物連鎖の一部?
⇒ライオンがシマウマを狩るから、人間は肉を食べてもよい?
⇒人間は肉食動物? 雑食動物?
⇒人道的とは何か?
⇒ヴィーガニズムとは?
⇒健康目的でヴィーガンになりました、は正しいか?
⇒ヴィーガンですが、たまに魚を食べています、は正しいか?
⇒ヴィーガンやめました、は正しいか?
⇒種差別とは?
⇒植物も命?
⇒植物と動物は同じか?
⇒ヴィーガンは完璧なのか?
⇒アニマルウェルフェアとアニマルライツの違いは?
あと、ネオ高等遊民:哲学マスターさんは、栄養上は動物性食品の方が体に合っていると思う、という話が出てたので、
栄養面や健康面の発信もちょこちょこしていかなければならないと思いました。
肉食の優位は栄養を効率的にまかなえるという点のみで、むしろそのせいでカロリーオーバーに陥りやすいのです。
菜食で栄養は賄えますし、正しい菜食をすればむしろ健康になるという事実を発信していった方がいいのかもしれません。
アメブロで動物問題を発信されている同志である、おかめさん。
おかめさんは、15年前に余命一年と医師に宣告され、手術をされたそうです。
完全に菜食主義にしてからは、血液検査は全て正常、医師から褒められているとのこと。
肌年齢は、実年齢よりも20歳も若い肌なのだそうです。
ヴィーガンは肌がガサガサというイメージが刷り込まれてるでしょうけど、実際は綺麗な人が多数いらっしゃいます。
それはインスタで顔出ししているヴィーガンの人たちの投稿を見ていけばすぐに分かることです。
また、癌や糖尿病、肥満などの生活習慣病のリスクがかなり減らせます。
これは肉食の医師たちも認めていますね。
論文が多数出ているので認めざるをえないのです。
それでは最後に、アニマルライツ路上活動をされた方のレポートを紹介して終わりにします。
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1月28日(土)
川口駅東口
13:00~15:00
参加者6名
先週のリベンジで、メンバー全員が
意気込んで挑(のぞ)んだ本日の路活。
「川口の街に、
VEGAN旋風を巻き起こす!!!🌀🍃🌀🍃🌀🍃🌀🌀🌀🌀🌀」
そんな強い心持ちで開始しました💪🔥
そのお陰か今回は、川口駅開催至上
最高人数の、通行人の方々との対話が出来たと思います。🎉🎉🎉
おそらく50名位の方々と対話をすることが出来たと思います。
中学生位の男の子と映像を見ながら対話を進めて行くと、彼は
「牛乳を飲むと、何かお腹の調子が悪くなる。
牛乳は美味しくない!豆乳の方が美味しいと思う!!」
と話してくれました😊
彼は、自分の想いや感想をとても率直に私に話してくれたので、
「家に帰ってから、お父さんやお母さんにもこれを見て貰って欲しい」と伝え、
いつもの動画集のカードに加え、
メンバーが持っていた@peace.animals さんの
「きょう、あなたは「誰」を食べましたか?」のチラシと、
私が持参していた@sirutobillaさんの
「企業のイメージ戦略に、騙されないで。」と
「水族館に行かないで。」の小冊子をお渡しさせて頂きました。
@vivichirolさんが対話をした方の中には
開口一番に「私は、鳥インフルエンザとか動物達の逆襲だと思うんです」
と仰る方がいたそうです。
@vivichirol さんも、気候変動、地球温暖化などは動物達の反撃だと思っていたので二人で共感し合ったそうです。
テレビは真実を報道しないことを既によく理解していらした50代位の八百屋で働く男性は、
映像を見ながら対話を進めて行くと
「畜産って、こんなに酷いのかよ…。何かこれ見ていて、わかる気がした!💡」
と仰り
「政府がワクチンを国民に推奨しているけど動物にこんなに酷い事が出来るんだから、人間にも酷いことが出来るんだよな…。」
と、しみじみと仰っていました。
無我夢中で沢山の方々と繰り返し喋り続けたので、今日はあっという間の2時間でした。
取り敢えず、川口の街にVEGANのそよ風🍃🍃🍃くらいは吹かせられたと思います😊
また来週も、気合いを入れて全力を尽くします!💪🔥
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