《江戸っ子》に学ぶ、心豊かな暮らし | チャイルドケアのお話

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チャイルドケア共育協会で運営しているオンラインサロン「Childcare HOUSE(チャイルドケアハウス)」では、本部講師の松本美佳先生から季節や行事、日々の暮らしなどをテーマに、コラムやホームケアレシピ、動画レッスンなど多彩な情報を掲載いただいております。

 

今日はそのコラムの中から、美佳先生の人気記事を1つご紹介しますね。 
「《江戸っ子》に学ぶ、心豊かな暮らし」、ぜひご覧ください(*´▽`*)☆

 

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《江戸っ子》に学ぶ、心豊かな暮らし
~チャイルドケア共育協会 講師 松本美佳~
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個人的に江戸文化やライフスタイルにとても興味を持っています。東京に生まれ育ったこともあり、町を歩いては、昔この辺りはどんな様子で、どんな人々が行き交っていたのだろうと思いを巡らせています。今はスマホアプリで古地図と比較もできるので、立派なタワーマンションが立ち並ぶところも昔は海だったなんてこともわかったり、老舗のお店は今も健在だったりすると、感動します。

ご存じの通り江戸時代は260年近く続きました。鎖国の影響で海外からの文化が入ってくることも少なかったので、日本独自の文化や伝統が多く生まれました。その多くは庶民から生まれたものです。江戸庶民の暮らしは、日の出で始まり、日没ともに寝るという自然のサイクルの暮らし。太陽の動きとともに暮らしがあったので、「暦」が大事な暮らしの指標でした。
庶民の暮らしは、けっして裕福なものではなく、質素で貧しいものです。でも、モノもお金もなくても、自由で人情があり、洒落があって、笑顔が絶えない人間らしいものがありました。テレビの時代劇などで見かける義理人情のあふれる温かい雰囲気そのものだったのでしょう。

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江戸っ子
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「江戸っ子」という江戸っ子の気質を表現する言葉があります。「江戸っ子は宵越しの銭は持たない」という言葉が有名ですが、これはお金に執着せず、細かいことにこだわらないということ、また「粋でいなせ」という言葉もありますが、これは威勢が良くてきっぷの良い様を表しています。これはいまだ「誉め言葉」のように使われます。江戸っ子のカッコよさは、時代を経てもどこか憧れが残っているのかもしれません。


そのほかにも江戸っ子は、意地っ張りでけんか早いとか、ダジャレ好きで、議論が苦手、人情家で涙もろい、正義感が強いなどと言われています。
江戸っ子気質は、男性をイメージさせますが女性の気質もあります。女性の特徴は、ざっくばらんで世話焼き。男性と同じで、きっぷが良くて誰に対しても言いたいことをはっきり言うということです。私の世話好きと物事をはっきり言うところは、やや江戸気質を受け継いでいるのかもしれません(笑)
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江戸の持続可能な社会
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未来の子どもたちに、未来の地球のために私たちは現在、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組むべく活動や行動に励んでいます。実はすでに、江戸の街は、循環型社会が形成されていました。自然を利用すること、モノを大切に繰り返し使うこと、貸し借りをしながら工夫すること、助け合っていくことなどです。例えば、着物は何枚も持つ必要はなく、襟を付け替えたり、綿を入れたり、重ね着して長く使います。汚れたら染め直したり、擦り切れたら小物に作り替えたり、そしていよいよ使えなくなったら、灰にして、その灰はまた「灰」として、洗浄することにつかわれたり、農耕の土になるのです。

高級なものは、代々受け継がれていきます。江戸はすでに持続可能な社会で循環していたことがわかります。そんな祖先の素晴らしい取り組みがいつの間にか失われ、モノは使い捨てになり、持続可能な社会を今一度考えなくてはいけない状況になりました。先祖の知恵をもう一度生かすことが持続可能な社会への一歩になるかもしれません。

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江戸しぐさ
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前述しましたが、江戸は粋な人が多かったようです。そのひとつに「江戸しぐさ」と呼ばれるものがあります。老若男女が質素で貧しい暮らしの中で、人々が思いやりをもって、コミュニケーションを図るための知恵です。よく知られているものでは、「一期一会」という言葉です。あらゆる出会いを生涯にただ一度と考え、大切にする心がけを表す江戸しぐさです。

それ以外にも見知らぬ人と渡し船に乗り合わせたときも「つかの間のお付き合い」と言い、お店で相席になったときなども「お近づき」という言葉で見知らぬ人同士でも和やかに挨拶を交わすのです。江戸は人と人との距離が近く、誰に対しても思いやりの心をもって接していたことがわかります。
また代表的なしぐさで挙げられるのは、「肩引き」です。人込みや狭い道ですれちがうときにお互いに肩を後ろへ引くことです。ぶつからないように相手の手を遮らないように、互いの胸と胸を合わせてからだを斜めにした格好ですれ違います。「傘かしげ」は、雨の日のしぐさ。傘を人のいない方へ傾けて知れ違えば、しずくで相手を濡らさずにすみます。相手を思いやり行動する何気ないしぐさは、粋ですね。

江戸の暮らしに興味をもって、本や文献を読んだり、落語や歌舞伎の演目で江戸の粋でユーモアのあるお話を楽しんだりする一方で、人々の生きる力の強さや、ユーモアのある暮らしの愉しみ方は、今の私たちに必要だと感じます。コロナ禍で人と人との距離が離れ、関係性を断ち切られるような状況の中、人に対する思いやりをもって、粋でいせな行動をとっていきたいですね。そして、見ず知らずの他人におびえて距離をとるよりも、「袖振り合うも多生(たしょう)の縁」で、お互いが笑顔で安心できるように暮らしていきたいものです。

※参考文献 暮らしうるおう江戸しぐさ  越川禮子 /朝日新聞社

 

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