ワイルド・ライフツアーを楽しんだ後、午後はトフィノを南に下り、ユクルレット(発音かなり不安:英語のスペルはUcluelet)という小さなハーバータウンへ。トフィノからは1時間ほどのドライブで、ここではカヤックを楽しむ予定である。
カナディアンの夫は、若いころカヌーであちこち旅をしたことがあるのでカヌーはお手の物。一方私は、ミクロネシアの島々でシーカヤックをすることを何より愛していたので、カヤックがお好み。ユクルレットは、入りくんだ入り江がとても美しいことで有名。ツアー・オペレータもいくつかここを拠点にしている。
私たちが訪れたのは、マジェスティック・オーシャン・カヤッキング。早速ダブルのカヤックを借りて、簡単なレッスンを受ける。夫はカヤックは初めてなので、ちょっとビビり気味。特に水がまだとても冷たい上に、「沈(チン)」した場合のリカバリー方法がなかなかスリリングなので、私も身が引き締まる。入江から外に出る場合はガイドをつけるが、この日は割と風があり、外海に出るのはかなりチャレンジングな様子。私と夫は、ちょっと気分だけ味わえればいいので、入り江の中にとどまること(とはいえ対岸まで軽く2キロはある)にして、教えてもらった注意スポットを頭に入れいざ出航。
http://www.oceankayaking.com/
クリスタル・ブルーとまではいかないが、大きなケルプが水面下に揺らめいているのが見える。カワセミが、ケケケケッと鳴きながら、ダイビングしている。水鳥が、つがいで滑るように通り過ぎる・・・。そして聞こえるのはカヤックとパドルの音だけ…。とてもリラクシングな情景である。
と、私たちのカヤックのすぐ横に、いきなりでっかいアシカが現れた。アシカの遠い祖先はイヌ科の動物だったというので、あえて比べるとすれば、セント・バーナードぐらいの大きさだ。それが、ボンっと水面から顔を出した。びっくりしてカヤックにぶつかってこられては大変と、ちょっと焦る。でも、野生動物に出会うのが大好きな私たちは大興奮。こういう遭遇は大歓迎である。
無事沈することもなく、1時間半ほどの入江探索を終える。午前中はホエール・ウォッチング、午後はカヤッキングとなかなか充実した一日だったね、と夫と帰途に就く。
ユクルレットとトフィノをつなぐ、パシフィック・リム・ハイウェイは、ハイウェイといえども両方向一車線ずつ。でも車の量が少ないので、80キロまでは出せる。途中、前を走っていた何台かの車が、一気にスピードを落とした。クラクションも聞こえる。見ると、ハイウェイの両側のあまり広くない路側帯に、停まっている車が2~3台ある。車窓から箱乗り状態で外に身を乗り出している人も見える。若者がふざけているのだろうと、私は気にも留めなかったのだが、数秒後、夫がと叫んだ。「熊だ!」
こうなったらもうUターンしかないだろう。急いで先ほどのスポットに戻る。路側帯のすぐ向こう側の林の中に、確かに熊がいる。ブラック・ベアーだ。何かを食べているようだが15メートルほど先なので確信はできない。
私の弱点の一つに、動物に関しては我を忘れてしまうということがある。早速カメラを手にした私は、意を決して車の外に出た。ちょっと足が震えていたし、愚かなことは分かっていたが、動物に関しては私は磁石のようにひきつけられてしまう。熊が本気で走ったら、どのくらい速いかということは知っていたので、およそ5メートルほど進むのが精いっぱい。で、撮ったのがこのショット!ジャーン!!
野生の熊にこんなに接近したのは初めてである。しかも車内からでなく、この写真を撮った時、自分の足で立っていたことで、また格別の思い出。
バンクーバー・アイランドは、こうした未知との遭遇がたくさん味わえる素敵な場所である。お出かけの際は、ぜひカメラを忘れずに。