去年の大晦日と今年の元旦のディナーは、2日続けてロースト・ビーフ(こちらの人はプライム・リブとも呼んでいるが、私にはいまいち違いがわからない。)であった。そして、どちらもとても美味しかった。
大晦日は夫の友人夫婦と過ごし、料理上手の奥さんのクリスティーンが作ってくれた。彼女はとても料理が上手で、特にタイ料理が得意なのだが、基本的にはどんな料理もささっと作ってしまう。この日は前菜にチーズ・プラターとバゲッド、ホタテを軽くバターソテーしたものを出してくれ、メインがこのプライムリブであった。作り方を聞くと彼女はいとも簡単そうに「お肉につぶつぶマスタードを縫って、オーブンに入れるだけ。入れたら初めの15分ぐらいは高温で、そのあとは温度を下げて、お肉の内側の温度が適温になるまで入れてままでいい」とのこと。簡単そうでしょ?そして、実際彼女が出してくれたロースト・ビーフはとてもおいしかった。
そして翌日の元旦、今度は夫の実家でのディナー。義母もお得意のロースト・ビーフを準備していた。彼女のレシピはクリスティーンのよりは手が込んでいるが、基本は同じ。彼女の場合、マスタードとバターを混ぜたものを肉に塗り、玉ねぎ一個を刻んだものを肉の下に敷いてオーブンに入れる。同じ要領で調理し、出来上がったら、鍋の底に残った玉ねぎの柔らかくなったのを取り出し、グレイビーソースの足しにする。
ね?やっぱり簡単そうでしょ?夫の妹のステファニーに至っては、「手がかからないから、平日でもよく作る」などと言っている。だったらトライしない手はない!やってみよう、ということになった私と夫は、早速週末に材料を買いに。日曜日のディナーとして、朝鮮してみる予定が、急なお客さんがあリ、予定変更。
そして月曜日。ブルー・マンデーというように、あまりやる気の出ないのが月曜だ。あいにくこの日は一日中雪が降り、帰宅も1時間以上遅れ、6時を回っていた。それでも私たちは、「マスタード塗ってオーブンに入れるだけ」「平日でも作っている」という希望に満ちた言葉を胸に、準備を開始した。途中、夫が「鍋にフタはしないのか」「本当に肉だけで、水は入れないでいいのか」とスルドイ質問をしてきたので、記憶があいまいだった私は義母に電話し、「水もフタもいらない」ことと、オーブンの温度の確認をし、自信を持って肉の塊を、オーブンに入れた。
一定時間がたったので、オーブンの温度を下げる。20分後、肉の内部の温度を測るとまだ120度にしかなっていない。温度計を刺したときの刺さり具合もなんだか生っぽく、予想と大きく違っている。それでも義母に言われた通りの温度で、さらに20分オーブンに入れておく。
オーブンのガラス越しにのぞいてみるのだが、なんだか様子が違う。ジュージュー音がなく静かである。温度を測ると130度。え??ゴールは180度なのに、20分で10度しかあがらないということは・・・。しびれを切らした夫が、肉を出して切ってみると、まだ中は真っ赤っか。おなかぺこぺこの私たちの脳裏を不安がよぎる。
今度は夫が義母に電話をし、何やら話している。早とちりな私たちは、オーブンの温度ばかり気にして、実際に180度になるまで、どのくらいの時間がかかるのか、最も重要な質問をするのを忘れていたのだ。そして、平日6時過ぎに帰宅して、ローストビーフを作ろうとした自分たちの愚かさを呪った。でももう後戻りはできない。肉はオーブンの中である。それでも、空腹に負けて理性を失った私たちは、とにかく早く食べたい一心で、オーブンの温度を上げた。ジュージューする音がうれしかった。でも肉料理の調理法としては最低である。が、もう出来はどうでもよかったのだ。
疲れ切った私たちがやっとのことで、この痛恨のローストビーフを口にできたときには、時計は9時を回っていた。唯一救われたことは、この無謀とも思われる調理方法にもかかわらず、出来上がったローストビーフは、ちぎれたり、細切れであったりして見た目は悪かったが、なかなかのミディアム・レアの色合いで、グレイビーもおいしくでき、最終的には二人とも満足度80%であったということである。
イメージおよび希望的仕上がり図
(実際の写真はとてもじゃないけどお見せできません。次、頑張りマス!)