「中島みゆき『もう桟橋に灯りは点らない』に思うこと~中島みゆき作品解説11~」S3406
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◇更新履歴
V1.0:2015.11.17 初稿
V1.1:2024.02.16 追記及び是正、修正
■「もう桟橋に灯りは点らない」編曲者:瀬尾一三
演奏時間 5:40
・1994年10月21日発売の22枚目のオリジナルアルバム『LOVE OR NOTHING』の2曲目(全11曲)
◆ミュージシャン
01.Drums:青山純
02.E.Bass:富倉安生
03.E.Guitar:今剛、鈴木茂
04.E.Guitar Solo:今剛
05.A.Piano、Hammond Organ B-3 & Keyboards:倉田信雄
06. Programming:浦田恵司
07.T.Sax:古村敏比古
Background Vocals:和田惠子、山根麻衣、山根暁
◆演奏実績
01.中島みゆきCONCERT '95「LOVE OR NOTHING」
02.中島みゆきConcert「一会(いちえ)」2015~2016
◆2015.11.17 夢野旅人 (2024.2.16 追記、修正)
「流星」と同じく、
アルバム『LOVE OR NOTHING』リリース直後の95年のツアーで歌われ2015年のツアーでは一曲目で歌われている。
発売当時、『LOVE OR NOTHING』について中島みゆきは「理論性よりも本能を重視した個人的な歌ばかり」と語っていた。
その最たる歌と思う一曲。
ノスタルジア。
人は懐古にとらわれる。
それは理性ではなく人の本能だろう。
世の中には時代とともに役目を終えるものがある。それは生命と同じで抗えない。
東京厚生年金会館。
2010年の閉館・売却はお国の都合であり、まだまだ役割は充分担っていた。
ただ、2010年、同会場で歴代3位の公演数、ファイナリストとしてステージに立った松山千春でさえ、2001年以降、東京公演は東京国際フォーラムでしか開催していなかったものも事実。
中島みゆきにしても、浜田省吾にしてもだ。
その観点だけで云えば、自分の中では役目を終えた会館である。
なのに閉館・売却に怒りを覚え、落胆した。
それは今後のコンサート事情を憂いたからではないのだろう。
いつまでも色褪せない
美しく
優しくて
愛しい
思い出が宿る場所がなくなってしまう。
建物の消滅と同時に、自分の存在証明さえも消えてしまう。
そんな喪失感にも似た空虚感のほうがはるかに大きかった。
あれから5年。
会館がなくなっても代わりの会場はあり、さびしいが困ることはない。
けれど、たとえ役目を終えたとしても、抗えないとしても、大切な風景・居場所を捨て去ることができないのが人間だろう。
♪ふりかえるひまもなく時は流れて
帰りたい場所がまたひとつずつ消えてゆく
すがりたいだれかを失うたびに
だれかを守りたい私になるの♪
「誕生」。
それはものだけではなく人にもいえるのだろう。
「もう桟橋に灯りは点らない」。
二人とって美しい場所・風景である桟橋が、真新しいビルになることのへ空虚感はこの歌には感じられない。
たとえ綺麗なビルが建とうとも、彼女の瞳に映るその場所の風景はいつまでも変わらない。
でも、無邪気だった二人が過去に戻れないことなど、彼女は遠の昔に悟っていて、もう過去の思い出の風景なのだろう。
そして、彼女のなかで、その先にある新しい風景が見えているのかもしれない。
そう考えると、刻々と変わりつつ時の中で立ち止まらずに、新しい風景を作り出すことも必要だと、逆説的な意味があるのかな。
そんなふうにも聴こえます。
◆歌詞
だれも覚えていないあの桟橋に
まだ灯りが点っていた頃のこと
だれも覚えていないあの桟橋で
いつもかくれて逢っていた二人のこと
何もない二人は与えあえる物もなく
何もない二人は夢の話だけをした
もうあの桟橋に灯りは点らない
ただ鉄条網が寒く光るだけ
だれも覚えていないあの桟橋は
きれいなビルになるらしい
星にたとえて名前つけた夏の日
夜の長さが変わるのを待てない秋の日
冷えた指先キスで暖めた冬の日
似合わない互いのスーツ笑った春の日
無邪気だったあたしはあいつだけのものだった
無邪気だったあいつはあたしだけのものだった
もうあの桟橋に灯りは点らない
ただ潮風だけが置き去りのまま
だれも覚えていないあの桟橋に
もう灯りは点らない
もうあの桟橋に灯りは点らない
ただ潮風だけが置き去りのまま
だれも覚えていないあの桟橋は
きれいなビルになるらしい
◆最新コンサート
・一般発売
・2024.1.19 東京国際フォーラム コンサートリポート
・2024.1.19 中島みゆきコンサート『歌会VOL.1』 東京国際フォーラム セトリ
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