ドクターイエローの引退について詳しく | 仙台はやての乗り鉄旅行ブログ

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JR東海HPより

JR東海から新幹線電気軌道総合試験車923形0番台(T4編成)が2025年1月をもって引退することが発表されました。

 

https://jr-central.co.jp/news/release/nws003998.html

 

黄色の車体に青いラインという特徴的な見た目から通称:ドクターイエローと呼ばれ、一般の乗客は乗ることができない新幹線にも関わらず、見た人は幸せになれるという噂から幸せを運ぶ黄色の新幹線として親しまれてきました。

 

T4編成は2001年9月から東海道・山陽新幹線を10日に1回程度の頻度で営業路線を走行しながら架線をはじめとした電気設備や軌道設備の状態をチェックしてきました。

各メディアでニュースとなっていますが、あまり取り上げられていない部分を深掘りしていきたいと思います。

 

  新幹線の老朽化とは

引退の理由に『老朽化』が挙げられていましたが、新幹線の寿命は平均15年と言われています。

今回引退するドクターイエローは登場から23年と比較的長く使われた車両ですが、その理由としては以下が考えられます。

  • 一般の営業車両に比べて、走行距離が短かった
  • 高価な計測機器を積んでいることから長く使いたかった
  • 代わりとなる車両を開発するか検討していた

10日に1回の頻度で東京〜博多間を往復するくらいの運用なので営業列車に比べれば、総走行距離は短く、またレーザーやカメラなどの計測機器は精密で高価なものだったので簡単に取り替えるのは難しかったと思います。

また老朽化は単に機械部品は古くなるだけではなく、段々と交換部品を作る能力が無くなっていきます。


ドクターイエローのベースとなる700系はJR東海から2020年に完全引退し、部品を取って確保してきたとは思いますが、たった1編成のために手間を考えると効率的が悪いのは明らかです。

 

2019年の台風19号による豪雨でE7・W7系に大量の廃車が発生した際、本来廃車予定だったE4系を延命させることで車両不足を補ったのですが、同年の車両基地まつりで話を聞いたところ、引退させるつもりだったので交換部品が無く、メーカーも作っていないことから整備が大変だとおっしゃっていました。

 

 

  新幹線の点検

また自動車と同じように新幹線にも点検があります。

  • 仕業検査(2日に1回)
  • 交番検査(30日以内もしくは3万km以内)
  • 台車検査(18ヶ月以内または60万km以内)
  • 全般検査(36ヶ月以内または120万km以内)

この中でも特に大掛かりなのは全般検査で、車体と台車を切り離し、機械を徹底的に検査と修繕を行うだけではなく、内装も全て取り外して、ほぼ新車の状態へ戻すものです。

 

つまり、手間もコストも掛かる大掛かりな検査です。

 

車検を通して乗り続けるのか新しい車に乗り換えるのかを考えるのと似ています。

T4編成は2020年5月に浜松工場から新車同然で出場しているのが目撃されていることからこのときに全般検査を行っていると推測され、5年に1回のペースで全般検査に入っていると考えられます。
そう考えれば、2025年に引退するために調整してきたとも言えるでしょう。

 

 

 

ちなみに今年3月16日から運用が始まったE8系ですが、置換対象であるE3系1000番台が3月20日から廃車回送がスタートしていたため、鉄道会社は数年前から新製と廃車を計画しているのがよく分かる出来事の1つでした。

 

 

  ドクターイエローの代替

 

そして新たなドクターイエローを製造しないことを残念に思った方も多いのでは無いでしょうか?

 

後継車を作らずに最新型N700Sに計測機器を載せることでフォローしていきます。

 

https://jr-central.co.jp/news/release/nws002770.html

 

実は2019年にN700Sに計測機器を載せるということがJR東海から発表されており、当時から次期ドクターイエローは製造しない可能性が高いと言われていました。

 

 

既に皆さんが乗っているN700Sがドクターイエローと同じように検査をしながら走っているかもしれないということです。

N700Sは従来の車両に比べて、各種装置が小型化され、計測機器を載せる余裕が生まれたと考えられます。

 

また昨今の人手不足や働き方改革の影響もあると思います。

東海道新幹線は2028年を目標に完全自動運転を目指すなど省人・省力化を一層進めています。

わざわざ10日おきに技術者を乗せて走るよりもたくさんの車両から得られた情報を人間とAIで分析したほうが効率が良いかもしれません。

 

 

一方、JR西日本が所有する923形3000番台(T5編成)は2027年以降を目途に引退することも発表されました。



T5編成は2005年に登場したため、車齢が少し若く、JR西日本ではベースとなる700系をまだ運用していることから交換部品にもまだ余裕があるものと考えられます。

 

 

通常の新幹線引退のようなお祭りにはならないと思いますが、より黄色い新幹線に出逢えた時の感動はこれから大きくなっていくと思われます。