700系7000番台『レールスター』とは
JR西日本は航空機に対抗するため、『ウエストひかり』と呼ばれる12両編成の0系を山陽新幹線で運行していました。
普通車でも2+2のゆったりしたシートに加えてカフェやシネマカーなどの付帯設備を連結し、好評となりましたが、次々に登場する新型車に比べると速度が劣るため、さらなるサービス向上のため開発されたのが700系7000番台です。
2000年3月より『ひかりレールスター』という愛称で運転を開始し、『のぞみ』並のスピードに加えて、指定席は2+2シートという快適なシートを設置したためビジネス利用を中心に人気の列車となりました。
最高速度は285km/h、グリーン車のない8両編成となっています。
2011年3月に九州新幹線が全線開業し、ひかりレールスターの大半は九州へ直通する『さくら』N700系7000・8000番台へと置き換えられ、現在はこだま中心の運用となっています。
外観
通常の700系は伝統的な白と青のカラーリングなのに対して、レールスターはグレーに黒と黄色のラインが引かれ、先頭部分もライト周りが黒く塗装され、500系の兄弟のような配色になっています。
レールスターも500系もN700系に押される形でこだま運用に格下げされてしまっているのは少し皮肉でもあります。
『Rail Star』の愛称はひかり運用の際は強調されますが、こだまレールスターと公式には使っていません。
普通席(4~8号車)
主に指定席として使われる4~8号車の座席は2+2配置、シートピッチは1,040mmとなっています。
クッションが座面も背面も厚いため、従来の座席に比べるとかなり快適です。
N700系7000・8000番台は肘掛けが収納式で、座面が沈み込むのでホールド感があり上回る部分もありますが、普通車のグレードをアップしたような座席に見えた一方、レールスターはグリーン車からフットレストや絨毯を省略したような感じに見えて、やや設計が異なるように見え、他社ではばグリーン車でも通用するくらいの重厚感があります。
フィット感とコンセントの有無を勘案するとN700系7000・8000番台の方が好みではありますが、すっかり隣の席と仕切られていて、落ち着いた濃紺のシートはゆったりと寛ぐことができます。
背面テーブルはやや小さいですが、収納式のドリンクホルダーも装備されています。
コンセントは5~8号車の両端部に設置され、登場当初はパソコン利用を前提とした『オフィスシート』と呼ばれ、大きなテーブルも設置されています。
後の新幹線では当たり前のようにこういった形式が取られたため非常に好評だった様子が伺えます。
なお、4号車は放送と検札を省略する『サイレンスカー』だったため設置されませんでした。
(省略と言っても座席背面のチケットホルダーにきっぷを入れて、検札をするという方法でした)
こだま運用では7・8号車が自由席となるため、乗り得な車両となります。
普通車(1~3号車)
座席は2+3配置、シートピッチは1,040mmとなっています。
主に自由席に使われるため、一般的な新幹線の配置となっていて、500系普通席の色違いのようです。
リクライニングがそこそこ倒れるのもテーブルがちょっと小さいのも同じです。
残念ながらレールスターでも山陽新幹線でも一番地味な座席がこれだと思います。
コンパートメント
8号車の新大阪寄りには4人用個室4部屋が設定されています。
新幹線では唯一となった個室ですが、ひかり運用のみで使用されるためこだま運用では業務用室として閉鎖されています。
3人以上では追加料金無しで予約可能で、1人でも2人分の子供料金を払えば乗れなくもないです。
専有空間は4席分と変わらないのですが、ソファーのような座席、大きなテーブル、個別照明、コンセントがあり、こだまで使われていないのはもったいない限りです。
この仕切りは外すのを前提に簡単に作られているような感じで、普通の座席へ換装できるような構造なのですが、結局は放置されています。
展示品
大阪の交通科学博物館にはレールスターの座席が展示されていました。
現在は京都鉄道博物館に展示されていますが、実際に座ることは出来なくなりました。
専用のヘッドカバーも装着されていました。
セミコンパートメントの切り抜きもあり、狭くて暗いこの区画をよく見ることができました。
まとめ
16両700系は引退まであと僅かですが、こちらはまだまだ現役で、安い切符を狙って移動してみるのが良いと思います。
なお、500系とは違いレールスターは喫煙ルームがありません。
愛煙家の方は乗車の際、十分ご注意ください。
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