885系とは
特急かもめとして2000年3月に運転を開始したのが885系です。
2001年3月からは特急ソニックにも投入され、かもめ用は6両の1次車、ソニック用は5両の2次車と運用が完全に分けられ、カラーリングやロゴも別々なものとなっていました。
その後2003年に全編成が6両化され、2012年には全車のカラーリングも統一されています。
最高速度は130km/h、制御付き振り子式を搭載しており、運用は『リレーかもめ・みどり・かささぎ』の長崎方面と『ソニック』の大分方面の2つに投入されています。
(情報更新を行い、手直しをして再アップしています)
外観
前面は新幹線を彷彿とさせる流線型で、直線的な787系と対象的に全体に丸みを帯びていて、デザインはドイツのICE3が参考になっているとのことです。
デザイナーは水戸岡鋭治さんが担当しています。
同氏は最近だと木材を多用したデザインが多いですが、この車両ではその片鱗が見えるようなデザインとなっています。
塗装変更前は黄色のラインで、ロゴにきちんと『KAMOME』と書かれていました。
今はもう見られない長崎駅の旧駅舎時代に撮ったもので、787系と885系の2つのかもめが並びました。
同じ列車なのに白と黒と真逆のものでした。
デッキ
床はフローリングで、化粧板は白、フリースペースは美術館のようなおしゃれなオフィスのような趣になっています。
デッドスペースを化粧板で覆うだけではなく、デザインでカバーする手法は他の鉄道会社ではなかなか見られない手法です。
最近の列車は機器が小型化されて、余ったスペースも荷物置き場になるのでこういったスペースが生まれることも段々と減っていくでしょう。
グリーン車
座席は1+2(独立3列シート)配置、シートピッチは1,150mmとなっています。
半室グリーン車でこじんまりとした雰囲気です。
黒い本革張りの高級感が溢れるシート、木目調のフローリングですが…以下後述
レッグレストやフットレストは無く、1席ずつ独立したシートになっています。
背面や肘掛けにはテーブルがなく、固定式のテーブルが壁面や座席間に設置されています。
ただし、最近の車両と比べるとテーブルの面積が小さいと思います。
リクライニングは座席の下から生えている青いレバーを操作するとリクライニング、赤いレバーは座席の回転が出来ますが、慣れてないとちょっと分かりにくいかもしれません。
当初は黄色のレバーが設置されており、鉄道車両では珍しく座席の高さを操作することが出来ました。
なお、壁面はコンセントが増設されています。
キレイなオフィスのようだと前述しましたが、まさにそういった雰囲気です。
普通車
座席は2+2配置、シートピッチは980mmとなっています。
ぱっと見はオフィスチェアのように見える座席は横幅が広めでヘッド部分は厚く、在来線の普通席としてはかなり快適です。
1点だけ不満があるとすれば、通路幅を確保するためのせいか窓側に座席がピッタリとくっついているため、窓枠付近は肘の置き場が狭く、ほんの数cmだけでも通路側に寄せてくれれば嬉しかったです。
指定席に使われる2号車は座席間の肘掛けにコンセントが当初から内蔵され、1・3号車も壁面にコンセントが増設されるなど自由席との差別化が図られています。
ただし、2号車のコンセントは差込口がやや奥に入っているので形状によっては挿せない可能性があります。
実は今でこそ布シートですが、元々は全車が本革張りという驚きの設備を誇っていました。
一部編成では本革張りのシートは残っており、1号車指定席がグリーン車と同じ黒い本革張りの高級感あふれるものとなっているものが多いです。
この本革は、微細な傷などが入ったB級品なのでコストは大きく変わらないというアイディア製品で、当初は匂いがキツかったようですが、年数が経っていることから気になる方は少ないと思います。
本革張りは布張りに比べるとツルツルと滑るため、あまり好評ではなく、しかも885系は振り子式車両のため結構揺れも酷く、普通車はまだしも、横幅が広いグリーン車はさらに滑るために不評という悲しい逆転現象が起きています。
(グリーン車に乗る理由はあまりないかもしれない…。)
評判はともかく、確かに乗り心地こそ787系よりも揺れる感じがしましたが、横滑りはそんなにしないような気はします。
やがては劣化が進めば、革張りは無くなるものだとは思いますが、当初の885系を味わってみたい方は1号車を指名買いしてみるのもアリだと思います。
一応、九州鉄道記念館に保管されています。