講演ネタ レント1 | 秋山のブログ

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今回から経済を理解する上で重要な概念レントを説明していきます。お金と経済の関係はそのための基礎のようなものです。
まずレントを直訳すれば、地代のことです。土地の所有者から土地を借りて農作物を作り、その使用料を払う小作人制度は戦前の日本の仕組みとしてご存知の方も多いと思います。小作人に比べて地主の力は強く、小作人が働いて得たもののうちの大きな割合を支払わなくてはいけませんでした。地主は受け継いだその土地によって働かずして多くの収入を得て豊かな生活をおくっていたのに対し、小作人は汗水流して働いても食うに困るようなこともしばしばでした。
時代は進んで現在においては、土地こそが重要な生産の要素であるわけではなくなっています。様々な設備は生産力を飛躍的に高める要素ですし、企業が持っている知識や技術も重要な要素でしょう。企業を興したり、企業を買って自分のものとするにはお金が必要です。土地もお金があれば買うことができます。昔は土地だったものが、現在では金融資産こそその役目をはたすものになっています。
そのためか現代の経済学において、レントというのは正常な水準を上回る超過利潤といった定義で考えられるようになっています。
土地による搾取はたいへん分かりやすいものです。ですから例えば固定資産税や、土地から得た収入に対して課税するなど、各国で対策も取られています。中国のように土地の所有を認めない国もありますね。しかし金融資本による搾取は、なかなか規制することができません。
例えば株式の配当税率はかなり低いですし、タックスヘイブンでも分かるように脱税することもそれ程難しくないでしょう。自由な資本の移動が重要であると、まことしやかに言われていますが、実証された事実などではなく、規制を回避し、他国の国民からも搾取をおこなうための方便と判断すべきことです。
以前、フランスの経済学者ピケティの出した「21世紀の資本論」という書籍がベストセラーになりました。
ピケティはその書籍の中で、資本の収益率の推移に関して緻密な研究をおこなっています。資本の収益率が常に成長率よりも高かったという話が有名ですが、重要なのは成長率との差の推移です。
以前説明したように、収益率が成長率よりも高くても、資本家が得た利益を速やかに実体経済の貨幣の循環に戻せば経済はまわっていきます。しかし収益率が成長率よりもずっと高ければ、戻ってこなかったり、戻っても時間がかかったりするので、景気は悪化するでしょう。また速やかに戻ってくるとしても、収益率が高すぎれば資本家以外の労働者にとってそれはあたかも大量の年貢を納めなくてはならない小作人と同じ状況です。
ピケティはこのような状況に対し、世界規模の資産課税を提言していますが、他にも現実的な方法があります。ピケティもインフレ税に関しては言及したことがありますので、おそらく理解していると思われますが、インフレへ誘導するような政策、すなわち金融緩和と財政政策をおこない、資本の自由な移動に規制をかけるということです。お金は国が借り入れをおこなったり、民間の銀行からの借り入れによる信用創造で、いくらでも作り出せますから、海外の投資家からお金を借りて高い配当を払う必要は本来ありません。
ところが昨今この逆の政策がおこなわれるべきであるというプロパガンダがおこなわれており、その結果格差が増大し、不況が続いています。不況に対して金融政策や財政政策がおこなわれたりもしますが、間違った理論が信じられているために、少し改善しただけですぐに逆の方向に舵をきったりしています。
最後に間違った経済政策によってどのような変化が日本でおこったかまとめてみましょう。
 
◆レント増大(資本収益率と成長率の差の増大)によっておこっている変化
  • 高所得労働者→物価、生活費に対する収入の減少
  • 中間層、低所得層→物価、生活費に対して収入激減
  • 海外投資家→日本からの利益増大
拡大している格差というのは、資本家と労働者の間の格差であることを忘れていはいけません。