イエレン お前もか! | 秋山のブログ

秋山のブログ

ブログの説明を入力します。

FRB議長が利上げを発表した。イエレン議長は、スティグリッツ教授の教え子で、就任時賛辞を贈られていたが大変残念だ。周囲の圧力に勝てなかったのかもしれない。

 

景気が上がりかけたところで利上げをおこない、景気を低迷させた日銀の例から学んでいないのだろうか。

 

結局、「インフレを抑制すれば、それだけで経済は最適の状態になる。観察される不景気は、景気の変動で自然なことである。金利を上げることでインフレを抑制すべきだ。金利を下げる政策を開始したのだから、出口戦略で金利を上げる必要がある。短期的に経済が少し悪化しても、長期ではその方がよい」などの真っ黒な嘘が未だに有効であるということだろう。

一応指摘しておけば、インフレの抑制がよい効果をもたらすというエビデンスは全くない。理論的背景は、見えざる手とか、自然に一般均衡状態になるといった根拠のない思想だけだ。むしろそうすることで害があるということが容易に説明できる上に、上手くいかないという証拠は積み上がっていく。景気の変動は不規則で周期性は現在認められない(元々数学的に十分な内容ではない)。景気に変動がある可能性はあるが、現在の不景気が自然な変動によるという証拠も、背景となるモデルも全くない。金利を上げることの害はあまりにも確実におこるために、金利上昇の景気に対する悪影響を否定はできないだろう。出口戦略が必要だというのは、完全にイメージの話で、ナンセンスである。金利(金融政策)はその時の状況に合わせて調整するもの以上でも以下でもない。入口も出口もないのである。時間が立てば(例えば物価上昇で相対的に低金利になるなどのことがおこって)害が弱まる可能性もあるが、長期では上げた方がよくなっているという証拠もない。

 

有効需要は賃金によって左右される。経済学では購買意欲こそ重要という考えが主流であるが、それは需給曲線の想定がそうなっている(意思によってのみ決まる)だけで、現実における気分等による影響はないわけではないが小さい。具体例を上げれば、需要の主体になる中低所得層は入ってきた収入のほとんどを使って生活しているということだ。そしてその傾向は最近より強くなっている(貯蓄率が下がっているのは、贅沢になったからではない)。

以前書いたように、十分な借り入れがなされて、貨幣(現金である必要はない)が実体経済に入っていき(借り入れた貨幣がすぐに証券化してしまっては意味が無い)、人々の賃金を押し上げなければ、生産能力が上がっても価格は低下しにくいので消費にブレーキがかかり結局生産されない。物価は当然上がらず、むしろ生産能力が上がったことで失業を生まれる。つまりこの不況は、借り入れがおこなわれないこと、貨幣が実体経済から失われ易くしていることによっておこっている。そう、なんのことはない。主流派経済学者が言い出したインフレ抑制策こそ世界的な不況の原因なのである。