農業と医療 | 秋山のブログ

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日経ビジネスを見ていたら、日本の農業補助金に関して問題視している記事があった。補助金を問題視する裏には、国の介入又は支援は悪で、それなしで市場は適切に働く、上手くいかないのは努力不足だといった、搾取者が広めたい嘘にまんまと騙されているということだろう。諸外国の現状を見れば、自由放任が最善などでないことはすぐに分るだろう。そして国の補助を受けている国との競争が、いかに厳しいかも分るはずだ。輸出補助金のような直接的な競争力強化でなくても、例えば経営を安定させる方策がとられていれば輸出では大胆に勝負もできるというものだ。

何度も書いているように、日本は医療に関して、独占等の弊害を防ぎつつ、インセンティブを維持するシステムを作り上げた。国民は、トップレベルの医療を(移植用の死体と病室の豪華さだけが足りない)圧倒的に低いコストで大量に消費している(他国から見れば罰当たりなことに満足していない)。自由競争にまかせた国は、市場機能で価格が安くなったということは全く観察されず、比較すれば価格が高くなっている。米国では保険会社が医療費が安くなるように医療機関と折衝しているが、それは保険会社が払う額を抑えたいだけで、医療費のベースが高い方が保険に入るためのお金が高くなるし、そもそもベースが低ければ保険に入る人も少なくなるから、ベースが高いのは歓迎なのだ。
医療に関しては統制していない米国も食料に関してはたくさんの補助金を出している。日本は医療に関して、人間の生存権に関わるものとして、様々なことを例外扱いしてきた。食料に関しても同じことがいえるのではないだろうか。
ただし、この例外扱いは、市場機能を壊して、例えば医師らに利権をもたらしてきたわけではない。逆に市場の問題をうまく解決する手段になっていたのだ。食料は工業製品とは、価格を形成するための様々な条件が異なる。価格の決定を希少性に集約させる誤った経済学ではこの問題は見えてこないだろうが、食料に関して調整が必要である。食料に対し補助金等の政策をおこなうことに最早異論はないはずである。