増税を考える | 秋山のブログ

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面白い記事を見つけた。『 消費税のここが優れている!』という記事である。その内容に賛同するわけではないが、増税に対する立場を分けているのは大変に分り易 い。

さらに簡略化して引用する。
増税反対派A:国の借金など気にする必要はない
増税反対派B:(借金は気にする必要はあるが)今の経済状況では増税すべきではない
増税容認派C:消費税以外の選択肢を考えるべき
増税推進派D:消費税で増税すべき

まずAに関して。
これは基本的には正しい。ただし、『国民が債権者であり債務者であるから、全体としてみたら借金はチャラになるから』ではない。インフレ、為替安を起す作用 があるので、それを見計らった程度におこなう必要があるというだけである。そしてある程度市場機能が存在する状況なら、需要が供給においつくまでは、インフレはなかなかおこらない。
通貨の信認を重視する立場から問題視する人間もいるかもしれない。つまりは北朝鮮のように国民が全く自国通貨を信用していない状況になるということだ。人がどう考えるかという予想の話なので、これはどんなとんで もないことでも主張することができる。ただ、日本人をよく観察してみれば、正解に近い予想は可能だろう。政府が財政ファイナンスをおこなったくらいでは、 信認は損なわれない。国債がGDPの何倍になっても信認は損なわれない。現実の生活を左右しないからだ。外債が天国などという事実もない(市場は日本国債が最上位の天国だと評価している)。ハイパーインフレにでもなれば皆考えるだろう。 しかしそのためには山程の条件(信認の著しい毀損と供給力不足と市場機能の喪失と莫大な通貨の供給)をクリアしなくてはならないだろう。
つまりは、気にする必要はあるが、優先度は全く低い、だ。(いつか清算しなくてはいけないなどというルールは国にはない。国債の拡大を好ましくないと思う人間の大部分は、国家と家庭を混同して、何となく困ったことになると考えているだけだろう)

B に関しては、増税すべきでないというよりは、財政再建するべきではないである。財政再建はマイナスに働く。これには例外はない。例えば隣国からの支援等、 経済にプラスに働く要素は存在するので、財政再建中に発展した国もないこともない。しかしそれは財政再建をしても大丈夫だとか、財政再建がマイナスになら ないということにはならない。そのような例は必ずなぜ成長したか必ず指摘できる。
成長を待つのはダメという話で、件のページはレーガン政権の政策をあげているがこれはとんでもない勘違いだ。この時おこなわれたのは、法人税減税だとか、キャ ピタルゲイン税減税などのトリクルダウン政策なのだ。これが成長につながるという考えが間違いなのであって、成長を期待するのがおかしいということにはな らない。いつもの繰り返しであるが、消費税増税と法人税減税の組み合わせは考えうる最悪の組み合わせだ。

C に関しては、件のページで、法人税を下げないと賃金が上げられない等の間違いをおかしていないことは評価できる。しかし法人税のダメな理由として、節税テ クニックや脱税をあげているのは今一だ。脱税は論外であり、それなら消費税だってネコババが難しいわけでもない。節税に関しては、研究に使う等々の使われることに関して納める税が減るのは全く問題がない。使われたお金を受け取った企業なり、個人なりが税金を払うからだ(もちろんおかしな抜け道がないことが重要だ)。明朗で有意義な使用がなされるなら、何割かの納税額がほと んどゼロで問題はない。件のページには、節税されたお金は消えてなくなるという勘違いがある。

さらにCとDに関して(ここが一番重要かも)。
現在の不況のカラクリは、生産性を増大させた労働者の賃金がその分増大せずに、投資家等の懐に入って、消費に回らないことだ。これが消費に回れば、生産性の増大で不要になってうまれた失業者が新たな仕事を見つけることもできる可能性は高い。新しい事業、産業も立ち上がるだろう(これがなければ利子がどう下がろうが、どう法人税率を下げようが、投資をどう優遇しようが事業はおこらない。需要こそ重要ということである)。当然労働者の賃金からいくらか取るということ(消費税や中低所得層の所得税増)は、不況に拍車をかけるだろう。だから取るべきところは、投資家等の懐というのが正解だ。そしてそうすることが経済に悪影響を与えるという主張には、まともな根拠が何もない。

そしてDに関して。
消費税の補足性や、単純性(企業経営者のふざけた主張で導入されている消費税還付金などのおかしな制度は即刻廃止すべきだ)、安定性はもちろん魅力である。ただし前述のようなマイナスの効果は大きいので、その分いろいろしなくてはならず、国は財政再建どころか出費を増やす必要すらあると思われる。件のページの、『物価が上がった分最低賃金を引き上げる』という提案は、消費税支持の経済界が賛成して当然という指摘を含めて、秀逸だ。このようにやるべきこと、やれることはたくさんある。しかし、消費税で下がる需要の他に、前段で指摘した消費に回らないお金のための需要不足は依然として残るので、これを何とかするのは相当大変ということだ。