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甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

このドラマって、どう解釈したらいいのか何を語ったらいいのか、かなり戸惑います。目が点になりながらも、最後まで見続けたのは、あまりに常軌を逸した物語の行方を、最後まで見届けたかったからかもしれません。


人の思考や行動の根っこにある記憶というものを、あまりに都合よく使い過ぎたことに、途中から疑問を感じました。医学的な知識のない私でさえ、聖花や、記憶を失った殉也の行動には、頭の中が?でいっぱいになりました。


何がイノセントなのか…と混乱していた所、ドラマの感想を書いているブロガーさんが書いていた記事を見て、なるほどと腑に落ちました。佳音をかばって刑務所に入り、いつも妹のことを気遣っていたお兄さんと、殉也への気持ちを胸に、聖花と共に生きていく決心をした昴の2人こそがイノセントなのだと。


成宮くんは多くを語らない、もの言いたげな目が印象的で、、「ブラッディ・マンディ」の方よりも、こちらの昴役の方が魅力的に感じました。HPのインタビューに答えているのを読んでいたら、もともとの自分のキャラより沈んだ、気持を内にしまうタイプなので、明るくなり過ぎないように気をつけたと書いてあって、そうなのかと思いました。


この頃、他の役者さんに対してもそう思うことがあるんですが、明るいトーンの役者さんが明るい役を演じるより、陰の雰囲気を持った人がやった方がその人の魅力が引き立ったり、逆に陽のタイプの人が暗い役をやった方が魅力的に感じることがあるなあと思うんです。過剰になり過ぎないのがいいのかな。


殉也役の北川さんは、役者さんじゃないのにいきなり主役だったので、どうなのかなと思いましたが、畑違いの人が役者をすると、プロの役者さんが持っていない、自然な雰囲気が出るものなんだなということを感じました。この役の感じに、とても合っていたような気がします。


何を表現したかったのか、もう少しそこが伝わりやすいストーリィーだったらよかったのにと思います。不思議な雰囲気を持ったドラマではありました。

たまきを演じる桃井かおりが、本人の個性とたまきのキャラが相まって、複雑に年を重ねた女性の雰囲気を醸しているのが素敵でした。ドラマが始まった頃から、たまきと哲夫は料理をしながら会話をするという場面が多かったのだけど、その切ったり混ぜたり、手際はいいのにどこかぞんざいで、観ながら「うわ~。」と、いつも溜息をついてしまう、なんともいえない雑な感じと夫婦の関係がとてもシンクロしていて、そういう描写での夫婦関係の見せ方ってすごいなあと、感心していました。


良純さんが桃井さんの夫役なのを見て、最初はびっくりしたのですが、話している様子を見ていたら違和感がなかったのが面白かったです。良純さんは、天気予報士でいいともに出てる人という認識しかなかったのですが、つかこうへい劇団で演劇をやっていた人なんですね。


虎之介さん演じる久木田は、結局なんか微妙なキャラだったなあ。悪いように見せかけて、理佐子を愛しているいい人だったし、キャラ作りがしにくい設定だった気がします。髪を染めるのは、必要だったのかな?あんなに個性のある俳優さんなのに、うまく生かされてなかったようで、残念だった気がします。


警察署の前での、たまきと刑事さん(小日向)のやり取り、洒落ていてよかった。軽口をたたき合いながらお互いを憎からず思っている、口先と態度の裏腹なやり取りが、上質な舞台を観ているようで、最後まで贅沢なドラマだったなあという印象でした。


悪女の雰囲気を漂わせながら失踪していた理佐子は、実は不器用で健気な女性だったんですね。「私、勝ったわ!」と言い放った時の彼女を見て、殺伐なスキャンダルのドタバタが始まるのかと思っていたので、こんな終わり方になるとは、意外でした。


事件がきっかけで、、4組がそれぞれ自分の足元を見直して、もう一度やり直そうという夫婦と、別れようということになった夫婦と、最後にそれぞれが違う結果になったのが、びっくりしたけどなるほどなぁという感じでした。哲夫(石原)と真由子(吹石)は、相手に頼ることをやめて、自立する道を選んだんですね。そうすることによって、たまき(桃井)と賢治(遠藤)も、相手を束縛していることに気づいたのかもしれません。


丁寧に作られた物語を、それぞれの役者さんが丁寧に演じていて、とても満足感のあるドラマでした。

番宣では、三浦くんと吉瀬さんばかりが出ていたような気がするけれど、「はなまるカフェ」に松重さんが出ていて、話を聞いていたら、松重さんと三浦くんのが話す様子も見たかったなあと少し残念です。


松重さんといえば、「ちりとてちん」のお父ちゃん役が記憶に新しく、コワモテの役もコミカルな役もできる個性的な舞台俳優さんです。この頃のドラマには、主役の他にこういうキラッと光る脇役俳優さんが出ていて、ドラマの奥行きを深めていますね。個人的には、そちらの俳優さんの方がツボだったりします。松重さんは、興味のありどころや考え方が個性的で、三浦くんがなつく(?)のもわかるような気がします。


結局、Kは安斎真子だったんですね。あまりに意外だったのでかなりの衝撃ではありましたが、最後にわかったので、彼女がどういう信条を持っていて、どんな気持ちで藤丸とかかわっていたのかという、細かい部分が描かれなくて、そのせいでラストがちょっと腑に落ちない感じでした。結局、時限装置が彼女の脈拍と連動していたとはいえ、真管はすでに抜き取られていたわけで。


そしてJは、何を企んでいたのか。


成宮くんのへらへらしたJのキャラが、最初かなり鬱陶しかったのですが、最後の方に行くにしたがって、内面的なものを少しずつ見せるようになってから、魅力的になって行った気がします。あのテロリストたちの全体的にへらへらした感じは、なんだか嘘っぽかった気がしませんか。そこだけコメディみたいで。


ブラッディXが撒かれた時の様子は、かつてのサリン事件を連想させて、なんだかぞっとする光景でしたが、途中から中性子爆弾が出てきたのは、いろいろ入れ過ぎでは?と感じました。裏切り者が多すぎて、途中からまたかという気分になったし、物語の進み方が素直に入り込めなくて、気がつくとダメ出ししていることが多かったです。


視聴率がもうひとつだったようだけど、やっぱりこういうアメリカ的なのは日本には合わないんだねということにならないといいなあ。脚本次第でもっと面白くなるような気がします。


「今年のクリスマスは、3人一緒だね。」と言っていた、遥の言葉が辛いですね。でも、裏切ったかもと思っていたお父さんが、実はそうじゃなかったことで、藤丸にとっての父親像は損なわれずに済んだことが救いです。


それにしても九条氏は、日本という国自体が危ないこの事態に、結局自分のことしか考えていないような人だったんでしょうか。Jやkのようなテロリストを生み出したものは、この人の中にある氷のように冷え切った心なのかも。


まだ、映画でも作りそうな雰囲気ですね。


映画の方はぜひ、しっかりした脚本でお願いしたいです。


あ、最後に、ハッキングは犯罪で現実世界ではあってはいけないことなのですが、虚構の中のファルコンの無敵ぶりは、かなりかっこよくてシビレました。そこが見所ではありました。