池井戸潤『ハヤブサ消防団 森へとつづく道 第三回』(小説すばる8月号掲載)
ハヤブサ消防団、はじめて読みましたが、
みずみずしい。
そして池井戸さんの小説ってこんなに面白かったんだっけと嬉しい誤算がありました。
とにかくうまいのです。
短い小説なのに、印象に残るシーンが沢山あって、話の展開が、「さすが売れっ子作家」と思えます。
そして、主人公の行動ややりとりひとつでキャラがどんどん立体化され、まるで生きて、隣にいるよう。
これはたぶん才能。
小説家でも、こういう技を持っている人といない人がいますが、池井戸さんは一人の人物を描くにあたり
多方面からライトを浴びせて、その立体像をお披露目していくといった感じ。
しかもライトの置かれた距離もいちいち違うから、思いがけず深い心理描写場面も登場し、
それが、ライトのせいだと読者にはきずかせないような筆致のなめらかさがあるのです☆彡
そして、主人公のみならず、登場人物がいちいち「これは〇〇さんに似てるな」と
現実世界の知人を当てはめて考えられるくらい 面白いのです。
小説すばる、また買っちゃうと思います。
続きが読みたいもの☆彡笑
主人公が好きになりました!
荻原浩『旅の終わり』(連載第一回 小説すばる8月号掲載)
良いのだが、担当編集者が余計なリードを書いていきなりネタバレ、ぶちこわし。
ああ、残念。
荻原さんの小説は直木賞受賞作(第155回)『海の見える理髪店』を読んで「良いな~」と思い、短編集
「月の上の観覧車」を読んだままで終わっていましたが、ひさびさに読みました。
彼の持ち味は 登場人物の生きるスピード感が違っていて、そこから生じるハレーションみたいなものが面白いと思っています。
この小説もそのあたりが大いに表現されていたのが、店にやってきた2人の不動産会社の営業マンと主人公とのやりとりのシーンです。面白かった~。
萩原さんの小説は昭和を確かに生き抜いた人物が、今の世を「異質なもの」と感じてとまどっているような印象を持たせてくれて、この心象風景がいちいち「あるある、わかる」なのです。
今回も主人公の設定が絶妙で、自分に置き換えると、「自分とは絶対違うタイプ」だとは思いながらも、なぜか共感だけはしっかりできているんですよね。
荻原さんの小説世界は、宮本輝や吉田修一のそれとちょっぴり似ているかもしれません。
間宮改衣『交かん会』(小説すばる8月号 掲載)
傑作☆彡
かなりいいなと思いました。
小学生の女の子が主人公。仲良しのお友達が東京に転校してしまってからの日々の学校での様子を「お手紙」としてその子に送りますが、それを私たち読者も読みすすめるスタイルをとっています。
小説すばる8月号の大特集「ヒトがコワイ」の競作3本のひとつでしたが、テーマとのフィット度は一等賞です。
女の子4人組のちょっとした秘密の行いを見て、ほほえましく思っているのですが・・・。
いわば、快晴で「気持ちいいなぁ」とのんびり構えて公園で寝そべっていたら、
なんとなく雲が出てきて、雨粒がひとつ落ちてきたなとおもったら、
けっこうな豪雨になって しまう、そんな怖さを感じます。
間宮さんの他の小説も読んでみたいと思います。
注目されるにふさわしい小説家さんだと思いました。