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地元に突然出来たレコ屋その2

この前、駅前のレコ屋の前をボンヤリと歩いてたら突然頭上から気になる目線が!

・・・レコ屋のオッさんでした。2階から。っていうかその膨大なレコードは何だよ一体!

全然意味が分からない出だしですが、つまりはこういうことです。
数ヶ月前にレコ屋空白地帯として何十年を誇るウチの地元の駅前に中古のレコ屋ができたってことで、極々一部(っていうかオレの脳内で)で熱狂的な話題になったことがあったんですが、店主のふがいなさ兼やる気なさでここ最近はもう、たまに思い出したように営業してても余裕でスルーするに至ってました。いつのまにか店内の半分にまで及んでいたレコードコーナーなのに、テーブル什器に積んである部分は50円均一でハードオフのジャンクコーナーにも勝るとも劣らないゴミ的なセレクションだは、テーブル下の部分は山積みに次ぐ山積みで全く見れないのに必死に掘れば出てくるのは山下達郎とかクラシックばっかで、挙げ句の果てには壁面を飾ってるのは何故かブルーハーツでしかも3800円なんて値段がついてた日には店主の勝利宣言としか思えなかった。正直、地元にあろうがなかろうがどうでもよくなってたんですよ。
ただ、一つ気になっている事があって、店の建物が2階建てなんですけど2階部分がいっつもシャッターが下りてて中がどうなってんのか全然分からないんですよね。まあ構造上、他の店子が入ってるとも思えないし、ひょっとしてあの店主(廃人)が居でも構えてて、夜な夜な煮込みラーメン(具なし)に舌鼓でも打ってんのか?ってこっちも妄想を存分に膨らましてた訳です。
そしたら先日、たまたま通りがかりに目線を上にやったら、ああ、何とシャッターの中には無数のレコードがダバダバと連なってるじゃないですか!膝にくるのをグッと堪えつつ、うん、そうか、やっぱりな、隠れストックがない訳ないもんな、と後日改めて馳せ参じたんですが。。。。何故か店内に2階に通じる階段がないんですよね。聞こうとしてもオッさんはいつも通り涼しい顔で難なくシカトですし。
こういう隠れストックってもっと常連の上顧客とかだけ入れるスイートスポットなんだろうか。あの「レコ屋マップ」とか見るといつも疑問に思う、「店頭在庫」と「ストック在庫」の桁外れの差を抱えるレコ屋。これって誰が見れるものなんでしょうか。

ここまで書いてふと思い出したんですが、昔、僕がいた街にあったヒゲに坊主が似合ってたオッさんがやってた中古レコ屋。1階部分だけでもなかなかな品揃えで、結構お世話になってたんですが、ある日行ってみると店のド真ん中をぶち抜いて下に降りる階段が。チラリと下をのぞくとまたこれが息を飲むくらいの在庫が。オッさん曰く「いやあ、在庫が増えすぎちゃってさあ。置いとくだけのもなんだからもう1フロア使って大掛かりにやろうと思うんだ。まあまだ工事中だから出来るの期待しててよ」、とそんなホットな言葉もらっちゃったらこっちも鼻息をハリケーンばりのレベルまで発して待つよりほかないよねー、と完成を待つこと数週間。また改めて行ってみると何故か「貸店舗 入居者募集中」の文字が。あれ? 中を覗くと既に廃墟が。
周りからの情報を総合すると、どうも地下一階の工事費で資金繰りがショートしたらしくて、結果的にストック在庫が店を潰す原因になったみたいなんですよ。。それもすげえなあ、っていうか残念だけど、しかし普通もっと早く気づくだろ、ってレコ屋オーナーにありがちな経営感覚のなさに呆然としたってオチなんですが。

ああ、あの隠れストックいつか覗いてやりたい。

メスとレコード

「あたしとレコード、どっちが大切なの!!??」

↑正直、こんな不毛な啖呵なんて目の前で聞いた事ないですがまあよくある永遠のテーマですね。これで一本の映画ができちゃったくらいですから。一時期はレコ屋がデートコースのホットスポットになりかかってた時期もあって、カップル同士がペアルックみたいな感じで同じレコード袋持って練り歩いてるのをチラホラ見かけもしましたがまあ、今となってはそんなの幻想だったって事ですね。例えば同じ渋谷行くにしてもセンター街のHMVあたりで彼氏がちょっとしたウンチクを肴に女の子をくすぐりつつ店内をプラプラしてるのと、ユニオンの5階あたりで彼女そっちのけで「1枚も逃しやしねぇ。」ってラックをなめ回す勢いで中腰で2時間とか粘ってるのじゃ天と地以上の差があるもんな。勿論好感度としちゃ間違いなく後者だけど、おそらく一般的には音楽の知識なんて男女の付き合いの中では軽いエッセンス程度でいいに違いない。そんでこれが世の中の彼女付きコレクターの多くが勘違いしているポイントなんだろう。

要は限度を知れってことですね。バランス。何でものめり込むと回りが見えなくなるのは誰だって一緒。相手の機嫌を取りつつ自分の世界に没頭。これが出来る人って大人ですよ。レコードだけじゃなくて何に関してもそうだと思う。「自分が好きなモノは相手も好きだろう」ってのはしょせん単なる勘違いで、付き合いのテンションが高い時期だったらまだいいけど、いつまでもワッさワッさとラックを漁ってる横で彼女がいちいち盤に関するウンチクをウンウンと聞いてるなんて思えないんだけどな。
だから彼氏の付き合いみたいな感じでいそいそとレコードとかCDをレジに持ってってる女の子はよくいるけど、同時にそれを速攻で売りにいく子っていうのも同じ位よく見かける。偏見は承知で言わしてもらうと、彼氏の音楽の趣味で自分の趣味も決めている子って結構多くて、相手が変わると今まで持ってた盤たちをあっけないくらい簡単に手放すんだろうな。そのおかげで中古盤市場が潤ってるってのも事実なんだけど。

ところで女の人が一人で黙々とレア盤を漁っているのをみると異様にかっこ良く見えるのは何でだろうか。フェロモンを感じるっていうよりか、「同士」的な何かを感じるんですが。

何が言いたいんだか分からなくなって来たので、この辺で。

地元に突然出来たレコ屋

うちの地元って昔っから商売には全く不向きな土壌らしくて、まあ都下の小さな駅って言うのももちろんあるんだろうけど、駅前にはいつも色んな店が出来ては2~3年でつぶれてまた新しいのができるっていうのを延々と繰り返して来た歴史があるんです。もちろん音楽関連に関してなんかいうまでもなく、10年近く前に最後のCD屋がつぶれてからは地元でCDが買える生活なんて考えもしなかった。

それがこの前、駅前を歩いてたらいきなりできてたんです。レコ屋が。しかも新譜ゼロの中古レコ屋が。

内容はどうであれ、 全国的に見ても毎年ガンガンつぶれてく中古レコ屋が多いこの時勢で、新しく、しかもこんなローカルな土地に出店するって男気ある行為にもう、血とかその他色んなものが逆流した。

呆然としてその偉大な店構えを道の反対側からを眺めてるとどうも、前に見た事あるような奇妙な感覚がしたんですね。店のロゴとか、チェーン店じゃないはずなのにどっかで。。。って思ってたらああそうだ、これって確か2つ先のターミナル駅にあったよ!ってレコ屋だったんです。しかも曰く付きの。どういう訳かその店って駅から相当離れた寂れた国道沿いにあって、しかも週の半分以上はシャッターが閉まってるかなりレア度の高い店なんですね。あの「レコードマップ」にも載っていないくらいですから。しかもここの親父、全くビジネスの何たるかを放棄したやり口で、一言も口をきかずにカビの生えかかった未整理のレコードの山で半分廃墟になっている店内にムッスリと鎮座してる訳です。何しろ行くたびに客と遭遇した事すらなかったもんなあ。いくら何でもこれじゃあ商売として成り立たんだろう。。。って思ってたらいつの間にかこんな寂れたうちの駅前に移動してきてたんです。

しおれかけた店頭のオープン記念の花輪を横目に店内に入ると、ああやっぱりっていうか、まあ1ヶ月も持つかどうかっていうような塩梅だったんですね。何しろ10坪弱の店内にたった壁面棚4本分のラックには日焼けして手に取るのも躊躇われるじっくりと日焼けしたCD達が(KANとか大黒摩季とか)何となく並べられてて、しまいには中央のスペースには7インチだけを無造作に置いたテーブルが。。。誰が今「寺尾聡」とか「イモきんトリオ」とかを400円とか払って買うのか、っていうか買うのを期待してるのか?とまあ、この店主の人間性を疑うしかない品揃えなんですね。相変わらず「いらっしゃいませ」もないしなあ。さすがに駅前のいい場所っていうだけあって、僕がもさもさと7インチを閲覧している15分くらいの間に5人くらい客が入って来たけどみんなものの30秒くらいで出てってた。
このかなり先行きの暗そうなレコ屋、どのくらい持つのか分かりませんが行く末をしっかりと見届けたいと思っています。ちなみに、来店一回目の収穫は、浅野ゆう子の初期盤「サマーチャンピオン」700円、かまやつひろしの「ゴロワーズをすったことがあるかい」500円でした。

伝説のRecord Swap Party

しばらくご無沙汰しました。って言ってもほとんど誰も見てないから気にする
ことないか。今回は「Record Swap」つまり物々交換について少々書こうと思います。

 


日本でも最近はオークションで売り手と買い手のダイレクトな購買のやりとりが盛ん
で、今までの「売り手→店舗→買い手」っていう第三者が入る仕組みとはまた別の
手法が定着してますが、海外、特にアメリカではネットオークションって形式が根付く
以前から、ライブ会場では出演バンドのマーチャンダイズ以外にその辺の素人が中古
レコードを持ってきて即売会をやるってことが頻繁にあったりしたもんです。正直これ
って素晴らしいやり方で、特に僕らみたいな重箱の隅をつつくようなカスバンドを面白
がって探す人間に取っては「ネットじゃあ売れっこないから出品すらされない」か「店
じゃあニーズがなさすぎるから買い取ってすらもらえない」ようなレコードと遭遇する
可能性がすごく高い場所だったんですね。しかもそれが1ドル=100円程度の盤を投げ売り
みたいな感じで置いてるもんだから、多分に売り手としちゃ置き場所に困ってるレコードを
持ってきてたりしたんだろうな。

 

これがさらに発展して、売り手が沢山集まっていらないレコード
をさばきに来て、いらないもの同士交換したり、買値を付けたりしたのがいわゆる「Record
Swap」ってイベント。今でもこれは各地の色んなスペースで細々とやっているらしいが、
僕らが知り合い同士話すときに必ず話題に出てくるのが、あのGilman St.で90年代初頭前後に
やってたという「Record Swap Party」。今では当時の文献からでしか知る由もないが、想像
するにEast Bay Punk黎明~全盛期にその中心地でやっていたレコード市ってだけあって、今では
画像や文章でしか知る事の出来ない音源がアホみたいな捨て値でやりとりされていたんだろう。

 


やれやれ。毎回だけど、この話になるとため息しか出てこない。同じライブハウスで、同時期に、
CrimpshrineとかStikkyとかOPIVとかがショウをやってた別の日に、山のような中古レコードが
カス値で片っ端からやり取りされていた時代。。。

100円レコード(2)

100円レコードが100円たる所以は要するにレコ屋から「ほぼタダで持っていっていいんですよ、ええいくらでも」と言われてるのと同じであって、つまり売り上げ戦力になりえないリストラ要因てことだろう。野球でいえば無償トレード扱い。それでもフックアップされない盤は容赦なく廃棄となかなかに悲哀を感じさせるものでもある。

 


海外のレコ屋に行くとやっぱり店先(店内じゃないところがミソ)の雨ざらしになったとこに無造作に置かれた1ドルレコードコーナーがたいていのところにある。但しここで面白いのが日本の事情とはまったくかけ離れた、「ローカル的にいらないもの」というラインナップになっているところだ。勿論、どこに行ってもビリージョエルとかエルトンジョンとか、誰がいまさら買うんだ的なものはある。それでもたまにまぎれてる掘り出し物は日本ではまず手に入らないものがある。そして興奮がそこにはある。ニューヨークのイーストビレッジの某レコ屋ではLife Sentenseのセカンドがあったし、サンフランシスコのバークレーではLag wagonの「Angry days」がいきなり出てきたりもした。逆を言えば外国人が100円レコを漁って本国じゃあまず出てこないものを拾い上げたりなんて話も聞いたりする。

 


つまり何が言いたいかというと、モノの価値なんてその時々でいくらでも変わるってことだ。100円の常連だった盤が何かのきっかけで何十倍もの価格設定でクレーツから店の壁へと移動されるだってある話だし、逆のパターンだって勿論よくある。例えば倉木麻衣のアナログとかモーニング娘。のとかね。その辺をうまく捉えたライムを示したのが、コーヘイJapanの「冬を乗り越えろ」。この曲結構好きなんだけど、そういえばこの曲が入った12インチも一時期に比べてかなり価格が下落したよな。

\100レコード(1)

2ちゃんねるとかでよく話題に上がることが多い「100円レコード」、当たりがあるのかないのかって話になると、僕の答えは決まって「ある」なんだが、どうしても面倒くさくないですか?漁るの。一部ユニオンみたいにジャンルで分かれていればまだいい(その分掘り出し物にぶち当たる可能性は下がるけど)。レコファンとかハードオフみたいに量はあっても呆然とするくらいの山から光るものを探し当てるまでにかかる相当な時間を考えると止めちまおうか、って考えることが最近増えた。かなり増えた。損得だけじゃないって分かってるし、手間を放棄したらレコバカとして終わりってのも分かってるんだが、1~2時間ひたすら漁った後に得たものがネタじゃなくて疲労感だけだったりするのはもうやなんです!とまあ、自分の度量が試される100円レコード、実はレコードの階級からいっても最下層に位置しているにも関わらず、市場の状況をそのまま反映しているだけにたまにびっくりするような盤に巡り合うのもまた事実なんですよね。

 


マックでは「ワンコイン」でPRを続けているこの時勢、100円で買い求められるレコードてのはそのままアーティストの栄枯盛衰を表していてそれだけでも見ていて十分に楽しい。特に大量の自主盤が出る、アイテム数の多さではぶっちぎりのパンク市場は初めから見た事もない、オブスキュアとすら呼べないバンドのアイテムに100円でお目にかかる事も多いのと同時に、ちょうど10年くらい前に大ブレイクしたメロコアの残骸に度々巡り会うこともまた多かったりする。Dr.Strange、Epitaph辺りの、これから10年経っても価値としてはもう上がる事もなさそうなどん底のバンド達にはリアルタイム世代は食傷気味だろうし、今の若い子には特に訴える事もなさそうだしで、多分ある程度店頭に放置された後に廃棄処分になるんだろうな。それはそれで当時の状況を知る自分たちにとっては切ない、が、これが自然の摂理なんだろうね。

 


一方でジャパコアのレコードの浮き沈みはまた違った経過を辿っていた。ちょうど80年代の終わり頃に中央線沿線や地方都市ではかなり高騰していた盤が90年代に入るにしたがって徐々に低下していった。
95年頃なんか「不法集会」なんて全盛期の三分の一以下、Outoの7インチが50円で売ってたなんてこともあった。もっともその後で再評価の盛り上がりもあって以前と変わらないくらいかそれ以上まで値段は持ち直しているからもう、数百円でちょっとした盤が買えるなんてことはないだろうけど。

レコ屋にて、TPO

こんなタイトルから始めると何だかオッさんの小言みたいだけど、レコ屋も立派な社会、もっと言えば 小宇宙の縮図だから、それなりのマナーもあるはず。とはいっても、一般社会の階段から足を踏み 外しかけたオッさんとか、親からのしつけをまんまスルーしたB-Boy(バカボーイね)とか、そりゃあ他人のことなんかどうでもいい色とりどりの廃人らが集うのがレコ屋だから閲覧中にお互いムッとすることなんかよくある出来事だったりする。

 

よくある話で、横並びになって棚を漁っているんだったら常識的に一人一列ずつで見終わったら隣にずれていくのが当たり前だろう。なのにせっかちとか順番という言葉をしらない廃人は平気で横から手を伸ばして人が見てる棚を漁ろうとする。これ、相当にいらつくので何度かもめた。そりゃもめるだろう。みんな先走りたいのは本音では一緒、それを自分だけのペースでガツガツ漁っていこうするスタンスなんて認められるもんですか。

 

ピックアップしたレコードを隣の列の上に置いて次のラックを漁ってるのもあんまし良くないね。たいていはあうんの呼吸でレコードをどかしあったりしてるのが気持ちいいマナーだったりするもんなんだけど。隣で見ようとしてる人がいるのに全くどかそうとしないのは何か理由でもあるんだろうか。けっこうレコード見てる人って隣に人が近づくのを嫌がるそぶりする事ってあるよな。自分の目の前でお宝を取られちゃったりするのがやなのか、広いスペースでじっくり見たいのか。まあどっちにしろ気持ちは分からなくもないが、自分だけの店じゃあないんだから。

 

迷って買わなかったレコードを隠すつもりなのか、全く別のとこに置いとくのも勘弁してもらいたいよな。パンクのアルバムが何故か「クラシック/室内楽」ってコーナーから出てきたりとか。こういうのって、全然関係ないジャンルの棚を漁ってるときに思わぬ掘り出し物が出てきたりして楽しいっていえばそうなんだけど。

 

とにかく買い物なんだから、みんな気持ちよく漁れればいいのに。隣のラックで自分がずっと探してたネタを目の前で引っぱり上げられてるのを見るとそりゃ落ちるけどさ、それがある意味レコ屋の楽しさだったりするわけなんだし。他人の事を考えないでする買い物なんて、店出たあとでも気持ちよくないだろうに、と思います。

つぶれゆくレコ屋たち2

 毎年改訂版が出る「レコードマップ」を閲覧している人なら街のレコ屋の移り変わり、 特に閉店する店の多さに愕然とすることも多々あるだろう。例外で渋谷界隈ではフリーソウル、 レアグルーブ辺りの廃れの影響もありつつ、ヒップホップ、ハウス等の根強い購買層に支えられて新規でもちらほらオープンする店もある。あとカフェテイストでラウンジなのか レコ屋なのか分からない、マーケティングを意識したレコ屋も新しくちょこちょこ出来ている。 どっちかというとレコード漁るというより、ちょこっと見て楽しむといった感じね。反対に、都下、地方のいわゆる街の中古レコ屋はどんどん消滅していっている(ウェブショップに 置き換わる店もあるが)。                        

 

 僕が中・高校生で和モノインディーズを漁っていたころによく通っていたレコ屋が「オールディーズ」 だった。三鷹、中野の住宅地の中にポツンとある、相当に風味のある店だった。場所的とか店がまえ的に近所のジャリがターゲットかと思いきや、入るとまともな新譜は申し訳程度に壁を飾っている程度で 後は壁、棚とも意味不明のハードコアやビジュアルものの珍盤・レア盤のもっさりとした山になっているターゲットがいまいち読めない店だった。

 

 特に中野の線路沿いにあった店舗、ここがまたイイ香りは放つ店で、雑居ビルの怪しげな階段を上がって入店すると一発目に目に飛び込んでくるのが「○○○○年 万引き ○○高校 ○○ ○郎」と壁のレア盤の隙間を縫うかの如く張り巡らされたサラシ紙。いいのか? あれ見て普通に買い物が出来る訳がない。レジ横の壁に目をやればちょうどインディーで目の出始めたビジュアルバンドのデモテープが\9800とか恐ろしい値段が付けられている。ある意味シュールだよなあ。意味わかんない貴重盤と万引き告知のコントラスト。高校生には刺激が強すぎるよ。

 

 でも一番面白かったのは中野の商店街を抜けたところにあるもう一個の支店だった。2階建てで一階は最近のCDでこれは普通にスルーで階段を上へ。2階はひたすら壁から壁へと圧倒的なセコハンの山が待ち受けている。正直入った瞬間に眠気の襲ってくる面倒臭さだが、とりあえず堪えて順に端から攻めていくと何回も一期一会に遭遇する場所だった。プライスも駅の反対側の店にくらべて格段に安かったしね。                                        

 

 で、前に行ったら両方ともきれいにつぶれてた。まあ正直和モノ(しかも相当にニッチ)に強みがあって他のはボチボチって店構えじゃこの時勢やってくのは難しいと思うけど。。残念だ。ちなみに三鷹店はまだあるみたいだけど特に回転もしてなくて、三鷹で降りたときでも最近はあんまし立ち寄る事もない。

つぶれゆくレコ屋たち

 サーストンムーアとかダン・リルカとか、海外でも有名なコレクター達からはしょっちゅう日本の 中古盤屋事情についての賞賛の声が出るが、これはもう、どのジャンルのミュージシャンが来日する 時においても共通の声に違いない。ジャザノヴァのアレックスとかライナートゥルビーが和物のジャズ を来日するたびに全国で漁ってるって話は有名すぎるし、例えばギャングスターのプレミアとかスピナ が渋谷界隈で海外じゃ入手困難なプロモ盤を束で買っていくこともかなり知られた話だ。                   

 

 確かに日本のレコ馬鹿が買い出し旅行にロスやニューヨークに行ってあまりのレコ屋の少なさとモノの 少なさ、プライシーな価格に愕然とするのも、都内のレコ屋を見てきた感覚で行くからなんだろう。今となっちゃ向こうに行って買うより、向こうからこっちに買いにくる人の方が絶対楽しいと思う。あ、これもあんの?えー、この値段でこれがー??とか。    

                                             

 みんな知ってる事ですが、どのジャンルのレア盤もほぼ日本国内に集中しているという。で、果たしてそんなにみんな買うのか? 例えばニューヨークとかのアメリカの大都市のレコ屋と日本国内のそれと比較するときに決定的に違うのは、向こうでは値段が高騰しはじめると殆どのケースでそのまま値段が落ちる事がないんだけど、日本、特に都内だとモノが豊富な分、価格の乱高価がかなり激しい最近のライブドア株みたいな感じですよね。5年くらい前のレアパンクの7インチとか、2、3年前のブラジル音楽のアナログとか、はたまた8年くらい前のフリーソウルものの価格とかね。バブルがはじけてみんな適正価格に落ち着いたってことだろうけど、店にとっちゃ死活問題だろう。高いままじゃもう前程動かないし、かといってユニオンみたいな中古チェーンの投げ売りにもかなわないし。あきらかに供給過多。前にも書いたが需要はそこまで多くないだろう。 そういう事情もあってかここんとこ淘汰されるレコ屋が目立ってきた気がする。 

                                                              

 ちょうど僕なんかがリアルタイムで新譜のパンクものを買い漁っていた時にうろうろしてたのは西新宿界隈だったんだけど、だいたいのルートが「ラフトレードで新譜チェック→ビニール1号、2号店ハシゴで新譜チェックと中古の高さにおもらし→バーンホームズでロッキンもの掘り→ナット→余裕あればエジソン→ラフトレード戻って友達いれば談笑→反対口出てユニオン」てな流れだった。残念ながらラフトレはその後しばらくして閉店、同じ頃プライベートの事情もあって西新宿に行かなくなってかれこれ数年。この前所用の帰りに高田馬場から小滝橋通りを辿って新宿まで歩いてみた。           

 

 変わってないようで変わってたやっぱり。上に挙げたレコ屋はだいたい残ってたけど、何だか寂しい。道でレコ袋持ってる人間と殆どすれ違わなかったもんなあ。店はあっても売り上げはどうなんだろう。LOFTももう同じ場所にはないし。その周りにやたらあったあんまし縁のないレコ屋もかなり無くなっていた。                                               

 

 今でも西新宿はレコ屋の聖地と呼ばれているんだろうか。

ユニオン

 最近レコード、特に7インチは全然売れないとあちこちで聞く。新品も中古もひどいもんだそうだ。 90年代後期のアナログバブルも一段落してからはめっきり街中でレコードバッグ持ってる奴をみか けなくなったもんなあ。新宿行けばVinyl、渋谷行けばManhattan、Cisco袋ばっか見かけたけど最近 じゃユニオンの袋すらあんまり見ないよ。見るのはせいぜいDMRの袋くらい。最近どうも、特に若い子 には音楽のメディアに対する執着が薄い気がしてならない。CDにしろ、レコードにしろどっちもそこまで買うこと自体に興味がなさそう。mp3もあることだしね。だから中古屋とかに行くと若い子なんかあんま目につかない。例えばユニオンに行けば、特にパンクエリアは加齢臭がほのかに漂っているディープな場所に落ち着いている。

                                      

 よく知り合いと話すときに7インチの仕入れ場所がトピックになるんだけど、ユニオンの7インチコーナーは終わっているというのがだいたいの共通の意見だ。一時よりかなり価格崩壊したレアパンクとか、和物とかはそれなりに回転しているみたいだが残念ながらそういったモノに興味はない。逆に売りたいくらいだし。但し店側にとってもそれら以外のモノを仕入れるのに興味がないようでつまり、僕らにとっては掘り出しがいのない店なんですよ、最近は。 考えても見ればそれはもっともな話で、こっちが探してるのは普段鼻にもかけられない15年くらい前の内外のローカルパンクものを一本釣りしようとしているわけで、まず見つからない。あったとしても値段が付いてるわけもなく100円コーナーに沈んでる可能性の高い代物ばかりだ。そんなものを店が好んで仕入れようと思うかという話だ。「売れない→買わない→見つからない→切ない」それにしたってユニオンと言えば回転早く、掘り出し物多いっていう確固たるブランディングを築き上げてる店だからこっちとしても行くたびに期待してしまう訳ですよ。                                               

 

 でもねえ、最近はアナログまとめて売りにいっても買い取り拒否の盤て増えたしなあ。多分みんなそんなに中古は買わないんでしょ。前だったら50%オフに絶対入らないようなモノも普通に放り込まれてるようになったしな。それでも買う気起きないし、いつ行っても残ってるからいかにあのレコードバブルがイカれてたってことだよね。マニアはピンポイントで欲しいもの抑えてるけど、彼らが欲していない、時期的に旬だったレア盤なんて購買層が見えないからだぶつく一方でしょ。例えばニュースクールとかエモものね。                                        

 

 ところでBadtown Boysのファーストとか落っこってないかなあ、100円コーナーに。