露地草庵といったような一つの茶道環境ですが、
茶ではこういう露地に入りまして
それから茶席に入りますが、
そういうところは、これは寺でもなんでもない。
 
ごく狭い粗末な住居で、寺院などに比べますと、
とても貧弱でささやかなものであり、
本当に草庵という言葉がふさわしいような、
そんな住居の中へ比較にもならぬ
大きな禅院の庭園や伽藍をコンデンスして
容れてしまい、吸収してしまったのであります。
 
いわば茶道によって
露地草庵風な禅が
新しく建立されたのであります。
 ~中略
少し大げさな言い方かも知れませんが、
侘茶は、禅における宗教改革で
あったともいえましょう。

「茶道の哲学」より
久松真一 先生 / 岐阜県岐阜市出身


墓や仏壇に参り手を合わせる
神社に詣り祈るだけでなく
あなたが僧になり宮司になりきり
私達の祖先を敬う茶道もあります。

それは、あなたの一服の茶を
どこに向かわせるかだけの問題です。

茶道を道楽だと云う方もいます。
しかし、お詣りは道楽とは云いません。
茶道が神事、仏事であるわけないと
誰もが思います。

分かりやすい例でいえば
御家元の献茶式 の御奉仕を見た方なら
茶道が神事、仏事である事も
理解できるはずです。
裏千家でいえば北辰に構えた
行の行台子の点前などからは
もはや人以外に捧げる気持ちも
自覚できるはずです。

しかし、全ての基本となる
平点前が一番難しいと云われています。
祖父母の着物や茶道具を用いたり、
あるいは、日常の中で少し
気持ちを新魂り(あらたまり)
茶筅を振って点てた一服は
十分にあなた次第
祖先を敬う事も出来ると私は思います。

念仏を唱えるだけ、
座禅をするだけ、
茶を点てるだけ、もあるんです。




The tea ceremony has absorbed all the ideas of Zen that were introduced and developed in Japan, as well as the majestic gardens and architecture of large temples, all in small residential tea rooms. Furthermore, as a result of fusing with the ancient Japanese natural belief that gods dwell in mountains, seas, rocks, and plants, a new traditional Japanese culture called "wabicha"tea ceremony was created.