あの日、俺は教室を出て行く君を見つけた


いつも気付いたらいなくなってる君を見つけたから


どうしても気になったっぽい(笑)


「ゴメン!俺今日帰る^^また今度な」


「えっ、ちょっ!輝莉人どうしたの??」


どうしても追いかけたくて、友達置いて帰ったんだ


人通りも少ない道を通って家も少なくなってきた時


俺は君を見失った


周りを見渡したんだけど・・・


そんな時ふいに聞こえてきた歌声に俺はひかれていた


それは橋の下に広がる野原にたった1本、


赤く輝くもみじの木が立っている絵画のような場所


そこで大の字に寝転んでいた女性


それが君


教室では見ることができない君の姿


俺だけの君


うわっ!俺、気持ち悪!!何言ってんだホントに・・・


まぁ、それはおいといて・・・


俺は君に声をかけた


「水鳥さん^^」


ヤバッ!めっちゃ驚いてる(笑)


でもそういうところもカワイイ^^


って、絶対ニヤけてるじゃん!


声かけるだけでも結構必死だったから・・・


ギリ笑顔でごまかそう!!


君が俺に「何でここに?」って言ってきたとき


話せた嬉しさと答え方が分からない困った気持ちが入り混じって


正直混乱してた


まさかいきなり告白、、、もないよな(笑)


それに俺にそんな勇気はないw


「ん~・・・?なんでって言われたらなんて答えたらいいのか


自分でも分かんない(笑)まぁ、教室でてったの見えたから追ってきた^^」


君が黙っちゃったとき、俺嫌われた?とか思って不安だったよ


この答え、普通な感じで言ったけど


俺にとってはめっちゃ頑張って導き出した答えだったから(笑)


相当びっくりしたんだなぁって俺も驚いた


途切れ途切れにだけど一生懸命話す君がものすごく愛しくて


顔が赤くなるのが分かった



俺はあの時君に出会った


俺にとっての冬の海はどんな場所より大事な、


つらい場所だったんだ


あの日は・・・忘れられない日だった


そんな時、ふと海を見ると、海の中に人影を見た


きっと俺の中で、その人と姉を重ねていたのかもしれない


何を考えるでもなく、海に飛び込んでた


それが詩衣奈さんと俺の出会いだね


あの時俺は、必ず助けたいと思った


この思い出の海からもう悲しむ人を作りたくなかったから・・・


いきなり抱きしめてごめん


もしかしたらあの時、海にいた君を姉だと思ったのかもしれない


姉を助けたいって思っていたのかもしれない


でも、君の、泣きもしない・怒ってもいない


もちろん喜んでもいない抜け殻のような姿を


俺はあの時から忘れることはなかったよ



俺が君の事を知ったのは冬休み明けだった


顔を見て驚いた


1年も一緒にいて、顔を覚えてなかったことに


多少失望して


それから君が気にかかるようになった


でも、見ることは出来なかった


俺、そういうタイプじゃないんだよな(笑)


目があったりすると、、、まぁ、、うん、照れるというか、、、


なんというか、、、ダメなんだよね(笑)


俺、その時初めて気付いたんだ


詩衣奈さんが好きだって^^


それからかな、詩衣奈さんを目で追ってたのは・・・



「あっ、いたいた(笑)詩衣奈さん^^」


いつものように明るく声をかける海野君は、


私を名字から名前で呼ぶようになっていた


私はいつもなら笑顔で返すはずの言葉が、


今日はつまって出てこない


心配そうに見つめる海野君に、私は、


心の中で『心配しないで』と言うことしかできなかった


ずっとうつむいていた私がふと顔を上げると


海野君は複雑そうな表情を見せた


今までに見たこともないような、どこか悲しい顔



二人の間に流れるくらい沈黙・・・


私は必死に声を発した


かすれた聞き取れないくらい小さな音


「あの、、、ごめん。私、、さっきお母さんに会って、、、それで、、、、、」


涙がこぼれた


何の涙かも分からない不思議な・・・


次から次へ流れる涙


止めようとしても止まらない


胸がグッと苦しくなって、足が震えた


すると突然、涙の道が途切れた


顔を上げると複雑そうな顔は変わっていない海野君が目の前に立っていた


そしてその指が、私の涙の道を止めていた


「詩衣奈さん。俺、詩衣奈さんが笑顔じゃないとつらい。

何があったのかはっきりは分かんないけど、、、

もっと俺を頼って?俺じゃ頼りないかもしれないけど、ずっと味方でいるから」


そして君は、私の頭を優しくなでた


「海野君、私ね・・・お母さんが怖いの。

私を産んで後悔してるって言われたことがあって・・・・・・・・

お姉ちゃんとか弟とかに見せる笑顔は私にはなかったんだ。

だから海野君と話せた時、すごく温かくなった。

私、そんな海野君に、絶対迷惑かけてるよね・・・」


今までずっと心に閉じ込めてた思い


誰にも言えなくて泣いていた思いがスッと出た


私の話を聞いていた海野君は何も言わなかった


でも、一瞬深くうつむいて、顔を上げたときの顔は


ものすごく笑顔だった


そしていきなり私を抱きしめた


えっ!、、、何!?


「ごめんね、詩衣奈さん、、、今だけでいいから

こうさせて」


私は何がなんだか分かんなかったけど


今はこうさせてあげたい、こうしたいと思った


海野君・・・実は泣いてなかった?


ばれないようにしてたかもしれないけど、息が変わってたよ


だんだん強くなる海野君の力にちょっと苦しかったけど


これで海野君が楽になれるならこれくらい


我慢しようと思った