それから私達は、よく会うようになっていた


一緒に帰ったりはしなかったけど、


会う場所は決まっていたから、帰る必要もなかった


初めて話せる人が出来た


初めて私を私だと感じてくれる人が出来た


私はいつもより明るい心持だったけど


きっと誰も気付かないだろうな(笑)


今日もいつものように木に向かって歩いていたら


道をすれ違う人の中にかすかな違和感を感じた


これは多分、あの人の気配・・・


『あの人』とは、私がこの世で一番怖く、


そして私を一番うっとうしいと思っている人だ


そう、私のお母さん


道で私と会うことなどそうそうない


私の気分は最低ラインよりもっと深く下がっていた


信号待ちをしているそのシルエットは


どこにでもいる普通の主婦だ


でも私はどうしてもそうは見れなかった。。。


私はもちろん声などかけず、


うつむいて後ろを足早に過ぎた


私は小さい時からそうだった


お母さんもお父さんも、先生や友達だって


私に近づいてはくれなかった


私には姉と弟がいた


そして二人は確実に私よりもできる子達で、


両親も周りの大人も私の存在を否定しているように感じてた


時々絵画で賞をもらったって、


そんなのは当然ってスルーされて、


何をやっても認めてもらえなかった


全ては、お姉ちゃんと弟に愛情がそそがれてた


それでもいいって思ったのは小五ぐらいの頃だった


それまではバレないように泣いたし、死のうとだってした


でも慣れすぎて、ある日、涙すらでなくなった、、、


それが私の日常


誰にも愛されず、認められなかった私の心は、


すっかり乾いてヒビ割れていた


それが続くんだろうと思っていたのに、


今、何かは分からないけど、


ものすごく心臓を締め付けられた気がした


乾いた心に水が染みこんだように、、、


ヒビはまだ直らないけど、潤っていくんだなぁっていうのを


初めて感じた


海野君のその笑顔が、言葉が、全部が、


私を満たした

「あっ、水鳥さん笑ったぁ~^^やっぱ笑った方が断然カワイイ(笑)」


カワイイ?私が?ん~・・・


分かんない事ばっかり増える。。。


「やっぱり、海野君は優しいね」


ボソッと独り言を言った


言おうとしたんじゃない


何か分かんないけど、こぼれた声だった


「ん?何か言った?」


キョトンとして私に訊ねる海野君


「なんでもない(笑)海野君、私なんかと話してて楽しい?」


あれ?今、スラスラ話せた、、、


おぉ!凄い(笑)


・・・けど、最後また『私なんか』って言っちゃった。。。


海野君はちょっと困った顔をしてたけど


「自分の事、なんかって言っちゃだめだよ?水鳥さんと話してるほうが

そこら辺の女子より断然おもしろいし(笑)」


ドキッ、、、


この私が、


こんな風に言われたことないのに


海野君は何でこんなにスラスラと・・・