朝はあんなに辛いのに、
太陽が沈むと体が起きる。

遅過ぎる。

そんな平日は、アルバイトでもしようかと思う。
探す、探す。探して、立ち止まる。

悪い癖。
考えて終わる。

持て余して持て余して、
手のひらから砂が落ちるようにサラサラと時間が溢れていく。

費やすもの。
費やす人。

落ちる砂を、受け止めなくちゃ。
毎日が落ち込んで過ぎて行く。
楽しく過ごしても毎日は過ぎて行く。

びっくりする事があっても、
友達に子供が出来て結婚しても、
熱を出して救急車で運ばれても、
あの子がストーカーの被害届を警察に出しても、
そんななかなかない事が起こるけれど、
それでもちゃんと毎日が過ぎて行く。

明日もきっと私は泣くでしょう。

酸素は足りている。
点滴ももう怖くない。
好きな人が残して行った物。

充分過ぎても、
私はきっと泣いてしまう。
いつかの恋人を思い出した。
正確には、恋人本人よりも、
その人の空気や話し方やぎゅってする感じや私のわがままに付き合わされる感じを。
よく喧嘩もした。
私の不機嫌のせいで。
あるいは、雨が降ったせいで。

彼の事が好きだったけれど、
許してくれる感じも好きだった。

いいよって。
声に出さなくても。

そんな風に思い出すのは、
きっと全てが終わっているから。

私の哀しがる癖が酷いときは、
いいよって言ってくれるその人の空気を思い出したい。

一人でひっそりと。
足の爪、形を整えるため。
短く切っている爪。

色はない。
もう数ヶ月、足の爪には色を付けていなかった。

素足をさらす季節には、色を欠かす事はなかったけれど、
すっぴんの爪が、無性に恋しくなって、塗るのを止めた。

今日、久しぶりに色をのせた。
鮮やかな血のような、そんな色。

久しぶりの色に、どうしてその色を選んだのかは分からないけれど、
私にとっては珍しい事ではなく、
足の爪は、度々その色に染められてきた。

ついでなので、手の爪もその色をのせてみる。
会社に不似合いな色。

それでもいい。
今は、その色を一部にしたいから。
頭蓋骨に穴をあける。
すると、第六感が芽生え始める。
見えないものが見え始める生活。
どんなだろう。
苦しいだろうか。

続きが読みたい。

山本英夫(著)ビッグコミックス
虚しさと哀しさが一気に訪れる午後。
いっその事、
なくなってしまえばいいのに、って。
そう思ったって、出来ない自分がいて、
何をどうしたらそうなるのかなんて、分からなくて、
分かっていても出来なくて、
とにかくとにかく、逃げたくなる。

いつまで経っても、留まっているような、
なんとなくそんな気分がして、
気持ちがもぞもぞする。

良くない癖。
哀しがる事。
何でも悪い事を想像して、泣く事。
うれしいのに、
うれしい事だけを見ることが出来ない。
悪い癖。

どんなに大好きな人が、隣にいたって。
いつからだったか、テレビのリモコンの調子が悪くなって、
TBSのボタンが使えなくなっていた。
「そのボタン、使えないの」
チャンネルを変える彼にそう言うと、
リモコンの設定を変えて、使えるようにしてくれた。

そうすれば、良かったんだ。
なぜ、もっと早くに気がつかなかったのかしら・・・

あれからしばらく経つ今、
TBSは7chになって、
戻ってきた。

こうやって、自分でしなくなって、
私、駄目になっていくのかも・・・
と大げさに思いつつ、反省。
その人は、ベランダで風を感じ、
そのベランダに少し見覚えがある私は、
迷いなくその人のところへ向かう。

少し大きめの窓の向こうに、
夜空とその人がいた。

オフの日。
めずらしく出かけない日。

窓の向こうに広がる空気。
「何をしているの?」
「毎日、この時間は出来るだけ、風にあたるようにしているんだ。」

ただじっとベランダにいる彼の背中めがけて、
静かに歩いた。

背中。
私の好きな背中。

その人の、知らなかった日常を、
少しだけ知ることが出来たような感じがして、
うれしくて、
お腹にまわした手に、
力が入ってしまう。

今年はあと何回、
そうやって過ごす事が出来るかしら。

そうして、穏やかな時間を。
その人の

お腹も
背中も
胸も
腕も
脚も
骨折した左指さえ

愛おしく思えるもの
「ごまかされてしまうわ。」

彼女はそう言った。
きっと、私が抱いていた違和感は、きっとそのことだと、確信した。
好きな人を待つ間に、誰か他の人に会うと、
例えばそれが男の子の場合、
そして、その男の子が私に優しい場合、
私の彼に会えないある程度の寂しさや、彼に対する思いが、
薄くはならないけれど、
自分の気持ちがどこにあるのか、その場所を少し忘れてしまうのではないかしら。

寂しさのない良い状態ばかり続くのは、
理想とも言えるかもしれないけれど、
でも、やっぱりどこか違和感が残ってしまう。

まつげの印象的な女性と会った、土曜日の午後。