是枝監督について、過去(2018年頃)には「(映画製作に)政府から助成金を貰っておいて、『公権力と距離を持つ』などと言うのはケシカラン!」と、意味不明な非難(それにまさる称賛)を受けたことがあります。 

今回も『BPOの委員をしていながら、政府を批判するとは…』云々と言われそうですが、そもそもBPOは報道メディア業界が自律的に創った『第三者的機関』なので、政府・自民党政権や総務省とは全く関係無いことになっていますから、『政府(総務省)の外郭団体or下部機関』と勘違いしないようにしましょう。まあ、最近(第二次安倍政権)以降の明白(あからさま)な『政府(官邸)・自民党政権の政治介入』によって、BPOも本来の役割を果たせているのか、疑問に思うことはありますが… 

以前から繰り返している通り、『報道の自由と権力』と『報道(放送)の中立・公平性』とは、『権力及びそれを持つもの』に対して発揮されるべきものであり、それが近代民主主義の成果なのです。故に、現政権に限らず『政権交代』が起ころうとも、その権利は保障されなければいけない…それが憲法に基づく『放送法』の意味だと理解しています。 

しかし、放送法に限らず教育やその他の分野でも、『中立・平等・公平』を字面だけで解釈して勘違い…あるいは意図的に曲解して、権力が介入(強要)するのは当然と主張する勢力…私はそれを『反動右翼』と呼んでいます…に報道メディアも、その他の分野でも制圧されつつあるように思える状況です。

 『歴史を繰り返さない』ために、他の先進国と同様の『電波行政を担う第三者機関(独立機構)』の創設が何より必要であり、『政権交代』と『自民党解体』によって、それが現実になると確信しています🙇 


 #ストップ・自民党政権 


 【報道機関には黒歴史がある。太平洋戦争時、大本営発表を垂れ流し、軍政と一体化して悲劇を招いた過去だ。その反省から戦後、放送局の独立を保障する『放送法』が成立した。

  ところが、成立から70年以上を経て、形骸化が進んでいる。それに一石を投ずる一冊が出版された。『僕らはまだテレビをあきらめない』(緑風出版)。著者の一人で、番組制作会社勤務を経て映画監督になった是枝裕和さんに、真意を聞いた。

  「一言で言えば、『歴史に学ぼう』というところ」と是枝さんは話し出した。大学卒業後、番組制作会社に入り、水俣病認定訴訟を扱ったドキュメンタリーなど、数々の番組を制作してきた。…その経歴もあって、2010年4月に『放送倫理・番組向上機構』(BPO)の『放送倫理検証委員会』の委員に就任。2019年3月まで務め、番組について必要に応じて意見書などを発表してきた。

  「委員在任中、政府・与党による放送への介入を間近に見た。放送法の成り立ちからして『これはまずい』と感じた。退任から時間がたったが、多くの人に知ってもらおうと一つの形にまとめた」と言う。

  …欧米先進国には、過去に独裁政権が放送で国民を情報統制し、世界大戦の惨禍を招いたという共通認識がある。そこで“日本”を除く先進7カ国(G7)などには、『報道の自由』を守るために、電波行政は政府から独立した組織が担い、政府の介入を受けない仕組みがある。ところが、日本では「政府が担い、放送免許を交付して、過去には総務相が『電波停止の可能性』に言及したこともあった」(是枝氏) 

 (旧)民主党(政権)が、独立組織の設置を公約として、総選挙で勝利したことはあった。実現できずに下野したが…「言論と表現の自由」に関する国連特別報告者が、独立組織の不在を問題視して、「政府を監視すべきメディアが、逆に政府に監視されている」と指摘(2017年)していた。

  そもそも、政府が介入の根拠とする『政治的公平』を定めた放送法第4条は、『倫理規範』とみなすのが通説だ。罰則を科せる法規範ではない。…政府は施行後、長らく「番組が放送法違反という理由で、行政処分するということは事実上不可能」という見解を示してきた。 

 「(『表現の自由』を保障する憲法との整合性からしても)放送法は、放送局に『政治的公平』を求めているのではなく、公権力が放送局に対して保障していると解釈すべきだ。安易な政治介入は、『放送法違反』ではないか」(是枝氏) 

 ところが、是枝さんのBPO在任中、歴史を無視した政治家の発言が相次ぎ、「怒りを感じた」という。その矛先は公権力にだけでなく、圧力に向き合おうとしない放送局側にも向かった。BPO在任中の具体的成果として、「NHK総合テレビ『クローズアップ現代』”出家詐欺”報道に関する意見書」を挙げる。

  『出家詐欺』とは、檀家(信者)の減少などで困窮する宗教法人が、多重債務者を出家させて戸籍上の名前を変え、再びローンを組ませて融資金をだまし取る手口だ。それを特集した「クローズアップ現代」に、許容範囲を超えるやらせがあったとされ、BPOが検証した。

  BPOは「重大な放送倫理違反」と断罪する一方で、総務相が放送法第4条を根拠に、NHKへ厳重注意したことに「(同条は)番組の内容に介入する根拠ではない」と明言。自民党情報通信戦略調査会が、NHK幹部を呼び説明させたことについても「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又(また)は規律されることがない」とする同法第3条を盾に非難した。…NHKに対しても「干渉や圧力に対する毅然(きぜん)とした姿勢と、矜持(プライド)を堅持できなければ、放送の自由も自律も侵食され、やがては失われる」と警告した。

  「『放送法』は、番組を守る盾。放送局は理論武装して、公権力の介入に対峙し、自分たちの役割を果たすべきだ。それを前提に、BPOは政治介入への防波堤となる。そうでなければ、戦時下の反省から生まれた放送法の意味が失われる」(是枝氏)…】(本文より)


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