《前編》 より


 

【ゾーンに入る】
 アニカと出会う前、ゾーンに入るには、周りの人を遮断してピリピリしたオーラを発しながらプレーすることだと思っていました。でもそのときのアニカの雰囲気はやわらかくて、一緒に回っている私と自然体で接しながらゾーンに入っていく。その様子を至近距離で見て、肌で感じられただけでも、すごく勉強になりました。(p.94)
 「ゾーンに入る」という記述があるので、下記の極めて重要なリンクを付けておきます。
    《参照》   『ゾーンに入る技術』 辻秀一 (フォレスト出版)

 

 

【能天気な言葉による救い】
 まだ高校生だった私は、自分は全く変わっていないのに、どんどん変わる周囲の状況や人に、戸惑いました。・・・中略・・・。ふと気付くと円形脱毛症ができていました。(p.128)
 で、家族の反応はというと、
 母、「あら、あなたは髪の量が多いからちょうどいいんじゃない」
 父、「そんなの俺のせいじゃないよ」
 長男、「マジックで塗ってやるから、そのまま空けとけ」
 あまりにも能天気な言葉の数々に、悩んでいる自分がバカらしくなって苦笑い。いつのまにか治りました(p.128)
 馬鹿マジメに共感してやればいいというものではない。
 お笑い芸人さんたちが得意としているように、「自虐ネタにして、笑い飛ばす」のは崇高な智慧である。

 

 

【世界とつながっている】
 沖縄北東部の人口2000人ほどの小さな村、東村で生まれ育った私ですが、不思議と都会に対するコンプレックスを抱いたことはありません。
 真っ白い砂浜と初夏には山つつじが丘を紅く染める素朴な土地柄だけど、小さいころから自分の住んでいる場所が田舎だという意識はなく、常に「この場所は世界とつながっている」という感覚があったような気がします。(p.151-152)
 海辺という開かれた環境は、世界とのつながりを想わせる場所なのだろう。だからだろうか、藍ちゃんは、学生の頃、すでにアメリカへゴルフ留学することを思い描いていたらしい。ところが、アマチュアで参加したミヤギテレビ杯に勝ってしまい、予定が狂い、プロになり、ここでも快進撃で、2年後に米ツアーに参加するようになった。
 なぜそれほどアメリカにこだわったのでしょう? それは私が生まれ育った沖縄の環境が、開放的で他人にあまり干渉しない、アメリカ的な雰囲気だったからかもしれません。(p.154)

 

 

【父が教えてくれたこと】
 父は私たち兄妹のスコアのことで怒ったことはなかったけれど、マナーに関しては厳しい人でした。武道と同様、ゴルフ道があると信じていて、道に外れたことは決して許さない。でも普段はおやじギャグを連発して私たちを笑わせてくれるムードメーカーでもあります。
 たとえば胸を張って前を向いて歩くことの大切さや、ゴルフに偏らずほかのスポーツを経験することの大切さ、自分の言葉で思っていることを伝えられる表現力の重要性などは、全部父が教えてくれたことです。(p.160)
 藍ちゃんの常なる姿勢の良さは、お父さん仕込みだった。
 お父様は、武道における至誠=姿勢であることも、きっと心得ていたのだろう。
   《参照》  『宇宙一切を救うアセンション・サイエンス』 榎本孝明&エハン・デラヴィ (徳間書店)
            【武道と武士道】

 「言葉による表現力など、スポーツ選手には関係ない」と思っているなら大間違い。表現力は、いかなる職業であれ全ての人々にとって、極めて重要なことである。
   《参照》  『だから、あなたの会社は若い社員が辞めるのです!』 三橋孝夫 (文芸社)
            【一応、課長です】

 

 

【優勝するために必要なこと】
 少し前まで私が考えていたのは筋肉を鍛えて、「強い体を作って球を飛ばさなければ」ということでした。でもいくら筋肉や腕力があっても、無駄な力が入っていたら、せっかくの力を使えず、飛距離が伸びないことがわかってきました。(p.163)
 早い段階で「筋肉化のデメリット」に気づいていた藍ちゃんは、流石である。
    《参照》   『「ゆる」身体・脳革命』 高岡英夫 (講談社新書)
              【筋肉お化けの凋落】

 

 

【いずれアメリカで必ず優勝します。】
 いつもたくさんの応援をありがとうございます。
 もう少しの間、結果よりもプロセスを大切にしていいですか?
 いずれアメリカで必ず優勝します。 (p.167)
 これが本書のクロージングセンテンス。
 本書が書かれたのは2008年で、その後の成績はウィキペディアによると、
 2009年全米女子3位、2010年世界ランク1位、2011年欧州女子1位、海外優勝11回とある。男女を通じて断トツの成績だろう。ウルトラ凄い。「さすが!」である。

 

 

<了>